(切甘)片恋のparadox
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「…………」
「…與儀?どうしたの?眠れない?」
薄暗い部屋の中で、俺の隣で横になっているリイナちゃんがそっと呟いた。
いつからか、ふたつ一緒に並べるようになった枕。
俺は腕枕でも構わないんだけどな。
ぼんやり浮かぶスタンドの明かりをただ見つめていたから、さすがに不思議に思ったよね。
「なんでもないよ。ちょっと思い出したことがあって。」
「え?なに?」
「これをね、リイナちゃんがくれた時だよ。」
俺はずっと手首につけていた細いシルバーのブレスレットを見せた。
花礫くんが取ってくれたやつと一緒に、いつも肌身離さずつけてる。
「えー……いつだっけ、それあげたの。」
「えーとね…俺が、リイナちゃんに片想いだった頃かな。」
「え?そうなの?」
「ナイショ。」
そう笑いながら腕を布団の中に入れて、手探りでリイナちゃんの手を見つけてそっと指を絡めた。
俺の指をキュッと握り返してくれた指が、じんわりと温かい体温を伝えてくれてすごく嬉しい。
今はこんな毎日が当たり前になって、あの頃の自分が知ったらきっと泣いて喜んじゃうね。
傍にいて、笑いながら手を繋げるようになったから。
一緒のベッドにいるなんて知ったら、気絶するかも。
「ずっと、俺を好きになって欲しかったんだよ?」
「え?」
「…ね?」
いきなり言われてもわからないよね。
いいんだ、それで。
だから勝手に自己完結して、体を横向きに変えてそっと抱き締めた。
大切にしなきゃバチが当たるよ。
欲しくて欲しくて望んだ日々を、俺に与えてくれたんだから。
「與儀…。」
「うん?」
「私も、ずっと與儀に好きになって欲しかったんだよ?」
「本当に?」
「うん。」
「でも、俺のほうがずっとずっと前から好きになって欲しかったんだからね。」
「違うよ、私のほうが先だよ。」
「俺が先!!」
「…ぷっ…バカみたいだね。」
「あはは!うん。でもバカでいいよ。」
こんなふうに、二人でバカになれるならね?
だから、好きになってよかった。
苦しくて切ない先に、こんな幸せがあったよ。
これからずっと、大好きって言えるんだから。
この気持ちを忘れるなんてできないけど、忘れなくてよかった。
恋をして、本当によかった。
今まで気づけなかったたくさんのものを知ったから。
大切な宝物のぬくもりを感じながら、俺は何度もそう胸の中で噛み締めた。
ずっとずっと、君を好きでいると誓います。
……ううん。
愛し続けると誓います。
好きな人と恋人になれた奇跡が、俺のもとに舞い降りたから。
愛してるよ、リイナちゃんだけを。
その気持ちと誓いの意味も込めて、起き上がってリイナちゃんにキスをした。
大好きな恋人と手を繋いで、体を寄せ合って笑いながらキスをする。
そんな幸せな毎日を、今は送っています。
おわり
2014.02.21