(切甘)片恋のparadox
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君が貳號艇に配属されて、初めて会ったあの日。
正直に、すごく可愛い子だなぁ、って思った。
遠目に見てもそれは明らかで、ガチガチに固まっているのがまた初々しい…なんて、俺、下っ端だったのが早速先輩気分だったのかな?
隣でその俺の先輩であるイヴァ姐さんは、彼女をなんだかすごくキラキラした目で見てる。
なんだろう?女の子の仲間が嬉しいのかな。
嬉しいよね、同性の仲間って。
俺は、喰くんは壱組だし~…平門サンは上司だし。
イヴァ姐さんは、すごく美人だと思う。
そして彼女はすごく可愛い。
丁寧に俺たちのところに挨拶に来たとき、近くで見たらもっと可愛い子だって思った。
イヴァ姐さんも溺愛ってくらいに可愛がっているし、緊張していた彼女…リイナちゃんも、だんだん自然に笑うようになった。
その笑顔を見て、新しく加わった仲間とみんなで艇での生活が楽しくなりそう…なんて、呑気なことを考えていた。
特化だから、クロノメイのときから優秀だったのかな。
これは…ドジしないように気をつけなきゃ!!!
って、俺は密かに拳を握って張り切っていた。
リイナちゃんはいつも早起きで、俺が部屋を出る頃にはもう食堂に来て座っていたり、給仕の子の手伝いをしてる。
「リイナちゃんおはよう。」
「…あ、與儀さん。おはようございます。」
「ね、もう敬語じゃなくていいし、與儀でいいよ?」
「え、でも…。」
「いいからいいから。ね?」
「は、はい…。」
確かに、いきなり敬語で呼び捨てなんて、言われても困るよね?
それでどう言葉を出していいかわからなくなったのか、リイナちゃんは困惑してる。
もっと打ち解けてくれたらいいのになぁ、仲良くなりたいのに。
これからずっと同じ艇で生活をして、一緒に仕事もするんだから。
仲が良いほうが絶対に楽しいよ!!
リイナちゃんも仲間なんだから。
「艇には慣れた?」
「はい、時々迷って羊さんに道案内をしてもらいますが。」
「あはは、そうだよね!俺もそうだよ~。よかった、仲間がいた!」
「え…今も迷うんですか?」
「う…うん。」
「………………」
あ…リアクションに困ってる。
だってすごく広いし同じドアが並んでいるんだから、迷うよね?あれ?
「先に私が覚えちゃいそうですね…。」
「え?」
「…あ!!ごめんなさ…っ!」
「ううん、いい。それでいいよ!!そうやって話してよ。」
「はぃ…ぅん…。」
これだけでも、一気に距離が縮まったような気がした。
戸惑っているのが、また可愛いと思う。
他にも闘員はいるのに、一番リイナちゃんと仲良くなりたいって思って、そして今日一歩近づいたのがわかって、なんだか胸がフワッとした。
そこが、だんだん温もりを帯びて拡がり、まるで全身を温めていくみたいで。
不思議な感覚、こんなことは今までなかった。
具体的にどうしたらいいのかわからないけど、もっと……もっと仲良くなりたいって、少しづつ考え始めた。
(なんだろう、これ…。)
仲良くなりたいのはみんなに対して同じなのに、リイナちゃんだけは、何かが違うんだ。
どう仲良くなりたいの?
自分にそう問いかければ、決まって心臓がくすぐったい。
心臓?ううん…違う。
心…うん、"ココロ"が、くすぐったい。
そしてもうひとつ、決まって気になるのが…
(…リイナちゃんは、俺と仲良くなりたいって思ってくれているのかな…。)
彼女がどう思っているかが…すごく気になるんだ。
それは、日を追うごとに強くなって、いつの間にか心の中の大半を占めていった。
どんどん仲良くなって、すっかり普通に話せるようになっても。