(片思い)恋する王子と鈍感姫
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「與儀、リイナちゃんのこと好きだよ!」
「え?」
「リイナちゃんといるときの與儀、ここが温かい」
无ちゃんはそう言って、にこにこしながら自分の胸に手を当てた。
「でも、時々、ここが痛そう…なんでかな?」
「へえ、无のほうがよくわかってんじゃん。」
「……………」
无ちゃんが言うと、なおさら素直に心に響いていく。
なんだか今まで、気づかずに流していた自分が恥ずかしい。
なんで今まで、與儀が時々悲しそうな顔をしていたのか、わかった。
私が気づかなかったからだ…。
與儀は今まで、何度も何度も私に気持ちを伝えてくれていたんだ。
「くっつくなら、さっさとくっついちまえ。それかキッパリ断ってフれ。あんな何度も何度も救いようのない告白見せつけられて、いい加減うっとおしいんだよ。」
「あのねぇ……」
くっついちまえとかフれとか、ずいぶん簡単に言ってくれるね…。
仲間関係気まずくなったら色々大変になるじゃない。
だから與儀だって、ちゃんとわかるように真剣な告白をしないんじゃないかな…。
…好き。
仲間としてじゃない、好き。
それは恋として、ちゃんと深く想っている気持ち。
與儀はそれを持っているんだ。
「リイナちゃーん!」
勉強が終わって部屋に向かって歩いている途中、與儀が通路の向こうから歩いてきた。
すごく嬉しそうに。
なんだか意識しちゃう…もう、花礫くんが余計なことを言うから…。
「どこに行ってたの?姿が見えなかったから…。」
「花礫くんたちの部屋だよ。」
「…え!?え…な、なんで?」
瞬間、與儀は焦ったような不安そうな顔をした。
「ツクモちゃんがいないから、代わりに无ちゃんの勉強を…」
「あ!そ、そうなんだ!そっか…びっくりしたぁ。花礫くんと二人なのかと思った…」
「………」
不安そうにしたり、ほっとしたり、與儀は本当にころころと表情が変わる。
それは與儀の素直な性格さ故で、時々うらやましかったりする。
私は自分の感情を、表に出すのが苦手だから。
よく見れば、こうして態度にもちゃんと気持ちが表れていたね。
どうして気づかなかったんだろう。
與儀…ごめんね…ずっと気づかなくて…。
「…花礫くんと二人だったら、嫌?」
「そういうわけじゃ!!ない、よ、うん…。」
顔が、嫌だって言ってる。
こんなにも態度で伝えてくれていたのに。
あんなに仲良くなりたいって言っていた花礫くんとすら、私が2人きりになるのを不安がるなんて。
どうしよう。
與儀が私のことを好きだと思うと…なんだか恥ずかしい。
「?リイナちゃんどうしたの?下を向いて。」
「なんでもない…。」
ねえ、與儀。
私、いま與儀に…いつもみたいな感じじゃなく、本気の告白をされたら…
私はなんて答えるだろう。
「ねえリイナちゃん」
「なに?」
「大好きだよ!」
「……」
「だ…抱き締めても、いい?」
きっとまた断られると思いながら、それでも言ってくれるんだね。
「いいよ…?」
「え?」
「抱き締めるんでしょ?いいよ?」
「…え…え??」
抱き締められたら、わかるのかな。
與儀の、好き。
私を抱き締めたいと思う気持ち。
抱き締められたいな、って思ってる…自分の気持ちの理由を。
その理由がわかったら…私の予想どおりなら。
抱き締められたあと、ちゃんと言おう。
私も與儀が好きだよ?って。
おわり
2013.06.30