(片思い)恋する王子と鈍感姫
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「リイナちゃん、大好きだよ!!」
「あ、ありがとう」
顔を合わせればといえば大袈裟だけど、そうやっていつも言ってくれるキラメキ王子は、私がそう返すと何故かしゅんとする。
花礫くんにうざがられたときは、しょんぼりしながらもめげないのに。
そういえば无ちゃんに大好き!って言って、俺も與儀、好き!って言われたときには、もうすごく嬉しそうにしていたっけ。
私も言われ慣れすぎて、つい流しちゃっていたかも…。
たまにはちゃんと答えたほうがいいかな。
うん、そうしてみよう。
「私も與儀のこと好きよ?」
「リイナちゃん…!!」
あれ、ちょっと涙目になってる?
本当のことなんだけど。
與儀のことは好きだし、大切な仲間だよ。
その與儀は、何故か下を向いて体をぷるぷるさせながら、唇を噛んでる。
「ど、どうしたの?」
「…抱き締めてもいい!?」
「はい?」
ちょっと心配になって顔を覗きこんでみたら、なんだかとんでもないことを言われた。
呆気にとられて答えないうちに、與儀は両腕を私に広げてくる…待って待って!!
「そういうのは无ちゃんにやってね…?」
「やっぱりダメ?」
「ダメです。」
いくらなんでも私は无ちゃんじゃないし、男の人に抱き締められるのは…ちょっと。
だって與儀と私は仲間でしょう。
私は…與儀に抱き締められて、普通でいられる自信はない。
「でも…大好きだからね?」
「…うん…」
與儀の大好き宣言は、ここ一ヶ月ほどから始まった。
「もー、可愛いなぁ!」
とか
「そういうとこ好き!」
とか。
最初は、妹みたいな感覚で言っているのかなぁと思っていたの。
でもツクモちゃんには言わないし。
花礫くんや无ちゃんと同じ感覚?
どうして今ごろ?
よくわからないまま、私はいつも與儀のくれる大好きを受け取る。
受け取っても、一瞬寂しそうな顔をされるけれど。
好きって言われたから好きって返したのに、何がいけないのかな。
與儀の求めるものが、目的がわからないよ。
そして
今日はツクモちゃんの代わりに私が无ちゃんに勉強を教えていて、横で花礫くんは読書をしている。
ニコニコと文字をノートに広げていくのを、ジッと見つめた。
「うん、すごく字が上手になったね。」
「ほんと!?」
純粋なキラキラした瞳で見つめられたら…うん、抱き締めたくなっちゃうのは、よくわかる。
だって无ちゃん、可愛いもん…!!
そんな私たちのやりとりを、ふと花礫くんは顔を上げて見た。
「なぁ…お前ら、付き合ってんの?」
「え?お前らって?」
「だから…お前と與儀。」
……はい?
まったく身に覚えのないことに、私はびっくりして、持っていた本を落としかけた。
「付き合ってないよ!」
「だろうな……」
なんなの…
わかってるなら、なんで聞いてくるんだろう?
花礫くんはフッ…と鼻で笑いながら、また本に目を落とした。
「哀れなやつ」
「なんのこと??」
「マジでわかんねぇの」
哀れって私のこと?って思ったけど、どうやら違うみたい。
「どう見ても、與儀はお前のことを好きだろ。まぁどうでもいいけど。」
「え?好き?」
「あんだけ言われてて、わかんねぇの?」
好き?與儀が私を?
…うん、それは何度も言われているから知っているけれど…。
「仲間としてだよね…?」
「……………」
あ、本気で呆れた顔をされた。
ていうことは…つまり?
そういう好きってこと?
「え…うそ…」
そう言われたとたん、與儀の"好き"がグッと重みが増して聴こえる。