(切甘)それでも愛を離せない
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痛…い…
体、全身が熱くて痺れているみたい。
思うように動かせなくて、軋んでる。
これ…本当に私の体なのかなぁ…。
体と意識がバラバラになっているような、気持ち悪い感覚。
「姐さん…ごめん、ね…。」
「いいから、ゆっくり休みなさい。とりあえず着替えとか簡単なものは持ってきたけど、必要なものがあったら言ってね。」
「うん…。…ねえ。」
「ん?」
研案塔のベッドで身動きがとれない私に代わって、イヴァ姐さんが大きなバッグからタオルや洗面具などを出して棚にしまってる。
申し訳ないなとは思うんだけど、体が動かない。
全身打撲に左腕と右足の骨折。
手足を固められて、頭も打っているから脳への影響も考えて絶対安静。
内臓と背骨…とくに脊髄の損傷が無かったのは運が良かったと燭先生は言った。
もしそうなったなら、私の輪生命は終わるところだった。
「與儀と…あの子は無事…?」
「…あんたね。こんなときまで與儀の心配?ちとせのほうが重傷じゃないの。」
「そう…なんだけど…。」
顔の筋肉すらうまく動かせなくて、泣くも笑うもできない。
それでもイヴァ姐さんは私の気持ちを汲み取って、仕方ないわね…と言いたげな表情をして腰に手を当てた。
「二人とも無事よ。特に與儀なんか腹が立つくらい。でも、ちとせのことすごく心配していたわよ。」
「そう…よかった。」
二人とも、無事なんだ。
與儀も…あの子も。
それならいいの。体を張ってこれだけの怪我をした甲斐があった。
なんだかホッとして心の緊張が抜けた。
そう思いたい、けど…。
「姐さん、お願いがあるの。與儀に伝えて?」
「なに?」
「しばらく…ここには来ないで、って…。」
いま與儀に会ったら…
私はきっと、普通じゃいられない。
驚く姐さんの顔を…私は見られずに目をそらして、ただ何もない白い天井を見つめた。
しばらく
與儀はここに来ないほうがいい。
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