(狂愛)深愛のアメジスト
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「………」
静かに衝動にかられて、髪を撫でて頬に触れて、指先で唇もなぞった。
「ん…」
くすぐったかったのか、もそもそと動いて俺の首筋にふわっと髪が当たってくすぐったい。
ダメだよ…そんな声を出さないで…。
ダメだよ、絶対にダメだよ。
崩壊しそうな、ギリギリわずかに残っている理性が警笛を鳴らしながらも、震える指先がそっとマナちゃんのブラウスの胸元に伸びる。
ぷち、ぷちとボタンをふたつ外すとチラリと谷間が見えて、息と唾を飲み込んだ。
何もかもが柔らかそう。
舐めたら甘いかな。
……触りたい。俺だけのものにしちゃいたい。
それで、マナちゃんが俺でいっぱいになってくれたら…。
そうなった姿を、つい想像する。自分のその想像にすら嫉妬する。
想像の中の俺にすら、マナちゃんをあげたくない。
マナちゃんを手に入れるのは……俺だよ。
「メェ?」
「……いいよ、俺が運ぶから。」
なにかが、自分の中ではじけた自覚はあった。
それをいちいち確認するつもりはない。
ただこのまま、衝動に身を任せるだけ。
…いいよね?今までいっぱい我慢したんだから。
もう、素直になっていいよね。
起こさないように、膝の裏に腕を差し入れてそっとマナちゃんを抱き上げた。
クタリと俺に体を預けてまだ眠っているマナちゃんは、本当に無防備だね。
これから自分がどうなるかも知らないで。
「大好きだよ…?」
大切に、大切にするから。
絶対に後悔はさせない。いい思いをさせてあげる。
マナちゃんの手からパサッと落ちたリボンに目を落として…
もうそのまま、知らないふりをした。
俺以外の、マナちゃんに大事にされていたものなんか、もういらない。
もう必要ないよね?だってこれからは俺がいるんだから。
俺の全部を君にあげる。
もっと…いいものをあげるから。
マナちゃんの部屋じゃなく俺の部屋にこっそり運んで、ベッドに横たえた。
いつも一人で寝てる俺のベッドにマナちゃんがいるなんて、なんだか変な感じ。
でも、実はずっと夢見ていた光景。
現実はちょっと違う形になったけど、叶っちゃった。
このまま寝かせていてあげようか。
寝顔を眺めていたい気もする。
それとも………。
「ごめんね……」
好きになっちゃって。
純粋でいられなくて。
「花礫くんにも平門さんにも…他の誰の目にも映らないで…。」
ただ想うには、好きになりすぎたかもしれないね…。
薄い桃色に色づいている唇をキスで塞ぐと、その柔らかな感触に全身がざわついた。
これ以上は、ダメだよ。
そう囁くしつこい自分の声を無視して、ただ触れたい衝動のままに何度も唇を押し付けて、時々唇を舐めた。
柔らかい、温かい。…愛しい……。
もっと、もっと欲しい……。
「…んっ…?」
何度もキスを繰り返してさすがに気づいたのか、マナちゃんは目を開けて、目の前の俺が自分にキスをしていることに驚いて、目を見開いた。
すぐ俺の体を押してきたけど、離れないように余計に押し付けた。
「んんっ…っ!!」
柔らかくて愛しい。
そんな悲しそうな目をしないで。
ずっとずっと大好き。
マナちゃんに、俺をあげる。
「は…與儀さ…んんっ」
マナちゃんは俺を軽く押してはきたけど、それ以上の抵抗はしてこない。
男に寝込みを襲われた恐怖からかもしれないとも思ったけど
そんなに嫌がらないなら、期待、しちゃうよ?
俺は自分を輪だからと偉ぶったこともないし
君を助けたと恩着せがましく思ったこともない。
君を服従させたいわけじゃない。
ただ、好きになってほしいだけ。
俺を受け入れて、欲しがってほしいだけ。
ちゅくちゅくと舌先でマナちゃんの唇にイタズラしながら、これからについて考えた。
これで終わりにするのはもったいない。いくところまで、いっちゃおうか。
ねえ?マナちゃん。
たっぷりマナちゃんの唇を味わって少しだけ満足してようやく離すと、ただお互いに黙って見つめあった。
少し悲しそうな瞳をしているけど、逃げようとしない。
「與儀さん…?どうして…」
「大好き。」
受け止めて。
ここから、始めよう…?
~~♪
あ、マナちゃんの携帯が鳴ってる。
…また花礫くんかなぁ。
嫌だなあ、好きな女の子が他の男とやりとりしているなんてさ。
艇を降りた後の相談なら…もうしなくていいよ。
だってマナちゃんは、もうずっと俺のそばにいるんだから。
そのためなら俺、なんでもするよ。
ずっと君がここにいるために。
そのためなら俺…
もう、壊れてもいい。
他の誰も見ないで。
艇を降りて離れていって、誰かと結ばれるなんて耐えられない。
考えるだけで怖くて仕方ない。
俺って怖がりだね…。
自分が変わっていくのも怖いけど、君と離れるほうが怖い。
それでね、考えて考えて。
苦しみから逃げるんじゃなくって、この感情を、衝動を受け入れればいいんだ…って、わかったから。
君も俺を受け止めてね。
全力で愛し続けるから。誓うよ、君への永遠の愛を。
静かに微笑みかけて、またマナちゃんに手を伸ばした。
先に進もうとしたけど、マナちゃんはまだ受け入れたようには見えないのに抵抗もしないで、目をかたく閉じて体を震わせたまま動かない。
その反応は予想と違った。抵抗されたら、受け入れるまで愛を注ぎ続けようとは思っていたけど。
「…嫌じゃないの?」
てっきり嫌がられると思った。
体は震えていて表情も悲しげなのに、受け入れられている気はしない。
なのになんで逃げようとしないの?
「與儀さんの…好きにしてください。」
「え?」
……マナちゃん……?
それって、どういう意味?
「與儀さんへのお礼になるなら…」
「………っ」
お礼………?
なにを、言っているの?
俺が、助けた恩を笠に着て身体を求めるような男だと思ってる?
今、俺がやろうとしていることも、誉められたことじゃないことくらいは、さすがにわかってる。
だけどそれは……例え押し付けだとしても、マナちゃんを心の底から好きで、マナちゃんにも俺を受け入れて欲しかった、この想いが理由なのに。
「俺は…マナちゃんに、俺に従ってほしいわけじゃない…っ」
強引な手段には出たけど、嫌がられるよりつらい。
こんな…受け入れられていない受け入れ方なんて。
俺の想いをそんなふうに受け取られるなんて。
苦しくて泣きそうになりながら訴えると、マナちゃんは動揺した表情をした。
「すみません…私…與儀さんを傷つけるつもりじゃ…っ」
「謝らないで…。」
こんな好きになり方をした俺が、悪いんだから。
もっと純粋に君を愛せれば良かった。
マナちゃんを想うのが苦しい。こんなふうに自分が壊れていくのが怖い。
…それでも、マナちゃんを離せない。
どうか従わないで俺を受け入れて。
俺を好きになってほしい。
ずっとここにいて。…そばにいて。そばにいさせて。
マナちゃんの心がほしい。心ごとすべてがほしい。
ワガママだね。でも…。気持ちを止められない。
「ごめん…好きになって…。好きになってごめん……。」
俺を、思慮深く見つめてくる瞳がつらい。
君の目には、俺はどう映ってる?
きっと滑稽だよね。
だけど
ごめん…それでも…
俺は、君を離せない。
おわり
続編裏あります。
2013.09.13
リクエストありがとうございます。
狂愛な與儀と一般人ヒロインでした。
お時間を大変いただき申し訳ありません。
狂愛は3作目で與儀は初めてですが、考えた結果、與儀は直球な黒白とは逆に自分の中で悩んで苦しんで苦しんだ結果、ゆっくり狂愛に向かっていくのでは…との個人的解釈になりました。
ありがとうございました!