(狂愛)深愛のアメジスト
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☆☆
君を好きだと気づいてから…ドキドキして、バカみたいに浮かれてた。
その結果、すっかり今のお互いの立場を忘れて、このままずうっと一緒にいられたらいいな…なんて呑気に思っていたんだ。
だから花礫くんにこれからのことを相談しているって聞いて、焦った。
花礫くんが艇を降りたのも、寂しくて悲しかったのに。
だけど花礫くんは、クロノメイに入っていつか戻ってくると言ってくれた。
じゃあマナちゃんは?
このまま艇を降りたら、お別れ?
花礫くんを頼って相談していたのも寂しかったのは俺のワガママだし、降りないでずっとずっと一緒に過ごしたいっていうのもワガママ。
わかってる。
俺は輪で…彼女は一般人。
だからこの気持ちは言っちゃいけないんだって。
でも我慢できなかった。
俺は弱虫で怖がりだし、頼りにならない…だから、
俺を好きになって?
俺じゃダメ?
…なんて、言えるはずもないし。
だけど…気持ちの奥底では、やっぱり好かれることを望んでる…。
押し倒しちゃったときは、ヤバイって思った。
何をしているんだろ?俺は。
一方的に女の子を押し倒すなんて…。
しかもキスまでしようとして。
あのまま、ギリギリのところで止めて逃げなかったら…きっと無理矢理…。
…無理矢理でも、一度俺のものにしちゃえば……
マナちゃんは、ずっと俺のそばにいてくれるかも……。
そんな衝動にかられた自分が怖くなった…。
大好き…大好き…大好き。
苦しくて辛くてそれでも好きで。
このままじゃ壊れちゃう。
俺も…そしてマナちゃんを壊しちゃうかもしれない。
怖いよ…そんな自分が。
だけど俺に笑ってほしくて。
好きって言ってほしいよ。
どうしたらいい?
こんなに苦しくなるなんて…。
嫌だよ。
いつかマナちゃんが、俺じゃない他の誰かと恋をするのが。
誰かのものになっちゃったりするの。
それなら、いっそまた押し倒して…。
……ダメだよ。
だけどこのまま終わっちゃうなら…。
だからダメだって…。
どうしたら…こんな気持ちから解放される…?
君を好きでい続ける限りは、無理なのもわかっているけど…。
どうやって、このまま毎日を過ごせばいいのかわからなくなったよ…。
いつか去っていくかもしれない。
そう考えると、とにかく心臓が縮み上がって苦しくなる。
「ただいま…っと。」
今日は大変だったなぁ。
思いきり顔を殴られて頬は痛いし…なかなか強かった…。
みんないるかな~……って疲労した体を引きずりながらリビングルームに行ったけど、誰もいなくて。
そっか、イヴァ姐さんも平門サンも、まだ帰っていないんだ。
ツクモちゃんと无ちゃんは部屋かなぁ?
「……あれ?」
「メェ。メェ。」
ソファに座っているの、マナちゃんだ。
後ろ姿なのに心臓が跳ね上がるって…末期かな…。
下を向いていて、なんでか周りに羊が数匹集まってる。
ブラッシングでもしているのかなぁ?って思って近づいたけど、羊を抱っこしている様子がない。
「マナちゃ~ん?ただいま。」
声をかけても返事がない。
前に回り込んで腰を屈めて覗き込んだ。
……あれ、寝てる?
目を閉じて、時々頭がコクリ、コクリとしてる。
そっか…今朝、寝不足だったみたいだし、眠くなって寝ちゃったんだね。
「居眠りしたメェ。部屋に運ぶメェ?」
「う~ん…」
運んだら起きちゃうかなぁ?
寝かせていてあげたい気もするし。
でも…寝顔、可愛いなぁ。
ずっと見ていたい。
ここで一人で何をしていたのかな。
見回したけど、本とか暇潰しになりそうなものが、何もない。
ただ…何故か、俺があげたリボンが手に包まれてる。
まるで大事にされているように見える。
こんなの見ちゃったら、また期待する。
好かれたくて、振り向いてほしくて。
そのリボンみたいに、君に包まれてみたい。
「…マナちゃん?風邪引くよ?」
声をかけるとマナちゃんはうっすらと目を開けたけど、また閉じて頭をコクリコクリとし始めた。
ああ…これ、ダメかも。
熟睡しちゃってる。
本当…可愛い。
「無防備……ねえ、このままじゃ俺…。」
どうにかなりそう…。
俺より羊が運んだほうが…いいかもしれない。
少しでも触れたら戻れなくなりそう。
そう思って近くにいた羊たちにお願いしようとしたけど、グラッとマナちゃんの体が横に揺れて倒れた。
「わわっ…っ」
慌てて受け止めると、俺の腕にすっぽり収まった、柔らかくて温かい体。
静かな寝息が聞こえて、バクバクと心臓が早くなる。
痛いくらいに高鳴って苦しい。
「…………」
触れたら止まらなくなる、わかっているのに。
そのままギュッと包み込んで、髪に顔を埋めた。
いい匂い……柔らかい。ずっと触れていたい。もっともっと触れたい。
このままずっと閉じ込めてしまいたい。誰かに取られるくらいなら。
ねえ…俺だけのマナちゃんになってよ。
こんなに大好きなのに。
伝わらないなんて……。
心がざわついて、体がうずうずする。
触れたくて触れたくて…衝動に侵されていく。
心が手に入らないなら……身体だけでも……なんて……。
純粋に君を想っていたあの頃の俺は…どこに行っちゃったんだろうね…?