(狂愛)深愛のアメジスト
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「……ダメ?」
「そんな……いきなり、言われても…」
與儀さんはとても優しくていい人だけど…
ずっと、輪の恩人だと思ってた。
男の人だけど、恋愛感情として今から意識してと言われても…どうしたらいいのかわからない。
「ごめんね、本当に…。でも…大好きだよ。どうしたら、ずっとここにいてくれる…?」
右手を取られ、指先に與儀さんの唇が当てられた。
柔らかい感触に、唇にキスをされたわけでもないのに恥ずかしくて顔に熱が集まった。
そのまままたギュッと抱き締められ、耳元に與儀さんの呼吸を感じる。
押し倒された体勢のまま体が密着しちゃってドクドクと脈が早くなっていく…。
男の人にこんなふうにされたことも、こんなにくっついたこともないのに。
これをしているのが、まさか與儀さんだなんて。
「あのっ…とりあえず離れて…」
「離したくない。ずっとここにいるって言ってくれるまで。」
本気っぽい低い声に、初めて與儀さんを怖いと…思った。
なんとか押し退けてみようか…無駄かもしれないけど…でも、抵抗したらどうなるんだろう…と、色々考えているうちに、スッと與儀さんは私から離れてまた見下ろしてきた。
「…なーんてね。びっくりした?」
見下ろす與儀さんは、さっきまでの本気っぽさが嘘みたいに、いつもの明るい笑顔で笑ってる。
冗談だよー、って言いたげな、ふんわりした優しい顔。
だけど私は…
さっきまでのが嘘なのか本気なのか判断しづらくて、笑い返せない。
だって、こんな冗談をする意味は…?
「びっくりさせすぎちゃったかな?ごめんね、そんな顔しないで?」
腕を引かれてゆっくり起こされたけど…。
恐る恐る見上げた與儀さんの瞳は、いつもの色に戻ってる…ような…戻っていないような…。
「好きだって言ったのは本当だよ。少しづつでいいから、考えてくれたら嬉しいな…。マナちゃんといると楽しいんだっ。」
「……………」
「…言っちゃった…恥ずかしいな。ちょっと怖いけど…返事、待ってるから。」
「あ……」
「できたらずっと、君の傍にいさせて欲しいから…。じゃ…おやすみ。また明日ね。驚かせてごめんね。」
返事を…
返す前に、與儀さんはそう言って笑って、部屋を出ていった。
パタンと閉められた音が、静かな部屋にやけに響いて聞こえた気がしたのは、いまの私の心理が反映されているせい?
何も言えなかった。
さっきの怖い感じが冗談か本気か判別つかなかったし、返事を返すスキもなかった。
與儀さんが私を好き?
それが本当だとしても、ずっとここにいるかどうかを決めるのは私じゃないのに…。
暗いアメジスト色で見つめられた、あの瞳は怖かった。
與儀さん、どうしちゃったの…?
それとも、まだまだ私が與儀さんのことを知らないだけなのかな。
「…………」
いつの間にか床に落としていたリボンを、じっと見つめながら…
しばらく、さっきの與儀さんのことを考えた。
笑いながら渡してくれた優しい表情は…嘘には見えなかったのに。
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