(切甘)一緒にいようね。
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「そんなことないよ?すっごく嬉しかったし、ちゃんと大事に持っているよ。」
與儀の肩に手を置いて頭を上げさせながら、ほら…と、右手に握っている指輪を見せた。
「ね?なんだかもったいなくて、つけられなかっただけ。ごめんね…?」
「ほ、ほんと?」
「うん!!ねぇ…つけて、くれる?」
そう言いながら、リイナは左手をそっと差し出した。
「…いいの?俺、薬指につけちゃうよ?」
「うん。当たり前でしょ?」
そう笑ってくれたことに嬉しくなり、指輪を受け取って、左手の手袋を静かに脱がせた。
そして、ゆっくり薬指にはめる。
ぴったりサイズで、ニャンペローナが笑っている。
リイナは愛しげに左手をかざし、見つめた。
その姿に、抱き締めたい…という衝動にかられ、その気持ちに素直に、リイナを抱き締めた。
結婚式の儀式のよう。
叶わないと思っていた。
「こういうの、ちょっと夢だったんだぁ」
「ごめん、俺は首から下がニャンペローナだけど…」
「與儀らしくて、いいじゃない?」
きっと、こう言ってここまで愛してくれて、自分も愛せる女性はリイナだけだと、思った。
「ごめんね…ニャンペローナの指輪が嫌なのかと思ってた。みんなにも言われちゃうし。」
………みんな?
「それ、みんなに相談していたの?」
「うん…」
ああ…だから、みんな様子がおかしかったのか…と、合点がいった。
胸のモヤモヤが、すっきり晴れていく。
同時に、愛しさで胸がいっぱいになっていく。
「與儀がくれたものなら、なんでも嬉しいよ。」
…ツクモも言っていたと、與儀も思い出した。
好きな人からなら、なんでも嬉しいと。
「あの…ね」
「うん?」
「リイナちゃん…あの、こんなところでごめん。でも…言わせて。」
「なに?」
「あ…あらためて……俺の花嫁さんに、なってください!!」
「………え?」
「俺と……結婚してください……。そのドレス、俺のための格好に、させて…?」
「よ、與儀……」
あらたまった真剣なプロポーズに、リイナも心臓が跳ねて真っ赤になった。
「…元々…與儀に一番見せたかった格好だよ…。」
「リイナちゃん…」
「…よろしく、お願いします…末永く。もらってください。」
「うん…!!!」
嬉しくて
また、ギュッと抱き締めた。
着ぐるみ越しなのに、直にぬくもりが伝わってくるような、不思議な感覚。
「もらっちゃう。大事に大事にするからね。」
「うん…。」
泣きそうになってしまい、メイクが崩れないように、慌てて押さえた。
與儀の指が、優しくぬぐってくれる。
その與儀も泣きそうになっていて、なんだかおかしかった。
「指輪…普段は任務があるからつけられないけど、気持ちではずっと、つけてるからね。」
「うん…ありがと。」
涙をぬぐってくれた両の手がそのままリイナの手を包み、そっと誓いのキスを交わした。
二人だけの、秘密の結婚式。
「あの…リイナちゃん…」
照れて顔が見られず、そっと耳元に唇を寄せ、囁いた。
「あ…愛してる、からね?」
「…え…?」
「大好きとか大切とか…もうそんなのじゃ伝えきれないし…もっとこれ以上はどう伝えたらいいかわからないけど…。」
「わ…私も…愛してる、よ…?」
自分で言っていて恥ずかしい。
しかし、これ以上ないくらいに嬉しそうな與儀の笑顔に、たまらなく心から愛が溢れた。
「俺の大事なお嫁さん…パレードでいっぱい見せびらかせちゃお。」
「ニャンペローナの格好で?」
「いいんだ。にやけちゃいそうだから。いっぱい夢を配れそう。」
「そうだね。」
仲間はウェディングドレスのリイナに驚き、そしてキレイだと言ってくれた。
花礫すら…
「…まぁ、似合ってる」
と、言うほどに。
イヴァは内心、可愛い妹を與儀にとられるような気持ちだったが、幸せそうな姿に…まぁいいか、と思った。
リイナのために用意をしたドレスだから。
しかし泣かせたら絶対に許さない。
パレードで出会う先々、小さな女の子たちに
「花嫁さんだぁ!!」
と目をキラキラさせながら見つめられ…
「おおきくなったら、わたしもおよめさんに、なれる?」
と聞かれては…
「なれるよ。女の子はみんな、お姫様だからね。いつか王子さまがきてくれるよ。」
そう答えて、リイナも一緒に夢を配って歩いた。
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