(切甘)一緒にいようね。
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(どうしたんだろう?)
與儀もツクモも見当たらず、思いついて花礫たちの部屋の前まで来てみた。
中からなにやら話し声と、與儀の叫ぶような声がしたので、やはりここにいたのかと思った。
しかし、なぜ自分一人だけ加われないのだろう。
先程の與儀とツクモもそうだった。
別に必ず誘われないと嫌だとは思わないし、特別な用事があるだけかもしれない。
それでも、艇ではみんなで過ごすことも多かったから、寂しさはあった。
慌てて払拭し、思いきってドアをノックしてみる。
花礫の返事をする声が聞こえた。
「みんな、いるのー?」
中に顔を出すと、その場にいる四人全員の視線がリイナに向く。
なんだか、妙な雰囲気なのは気のせいだろうか…とリイナは思う。
「何をしていたの?」
「うんとね、リイナちゃんのお話!」
――无ちゃん(くん)!!!
と、花礫以外二人が一気に固まった。
とくに與儀。
指輪の話題は出さないで…!!と冷や汗をかいている。
そんな心配をよそに、无はあくまで純粋な顔で笑っている。
リイナは首をかしげた。
「私の話?」
「與儀がね、リイナちゃ…」
「わーーっ!!ななななーいちゃん!そうだおやつにしよう!おやつ!!!ね!?」
「おやつ?」
「そう!おやつ!!ほらほら!!」
なかば無理矢理、无を抱えて脱兎のごとく去っていく與儀を茫然と見つめるリイナと、残されて気まずい花礫&ツクモ。
「な、なんなの??」
「はぁ…………」
なんとかフォローを真剣に考えるツクモと、考えることをやめた花礫。
盛大なため息が、部屋の中に洩れた。
「リイナちゃーん!!」
夜も遅くなり、部屋に入ろうとした矢先、遠くから與儀が走ってくるのが見えた。
先程のこともありリイナはなんだか気分が浮かなくて、うまく笑えない。
結局、花礫とツクモも教えてはくれなかった。
そんな気持ちを知らず、與儀はリイナの前で立ち止まった。
「あのさ、今日部屋に入ってもいい?」
「え…」
與儀は先程のことはまるでなかったかのようにいる。
それがなんだかモヤモヤした。
「もう寝るから。」
「あ、じゃあ、一緒に寝てもいい?寝るだけでいいんだけど…。」
與儀としては、最近バタバタして一緒にいる時間が少なかったので、ちょっとでも時間をつくりたかった。
うまく、リイナの好みも探れたら…とも思っている。
服装や部屋の内装でだいたいの趣味はわかるが…やはりきちんと好みを把握したい。
ましてや、これからもずっと一緒にいるのならば。
「與儀…」
「うん?」
「さっきみんなで話していた、私の話ってなに?」
「え……」
一瞬與儀の表情が固まったのを、見逃さなかった。
與儀のことだから、悪い隠し事でないのはわかる。
しかし、仲間外れのようで気分が悪い。
誕生日が近いわけでもないから、その類ではないだろうと予測をつけている。
與儀は、正直に指輪のことを言うべきか迷った。
何故、ニャンペローナの指輪をつけてくれないのか。
気に入らないのか
ちゃんと普通の指輪のほうが良かったのか。
しかし聞きづらい。
「えっと…その…」
なかなか答えようとしない與儀に、これ以上は求めても無駄かと諦め、小さくため息をついた。
そのうち話してくれるかもしれない。
そこに希望を持つしかない。
「うん、もういいよ。…ごめん、明日はパレードだし、寝るから…おやすみ。」
「え?あの…リイナちゃ…」
バタン…と目の前で扉が閉まり、與儀は胸が苦しくなった。
なにか、誤解でもさせただろうか。
しかし煮え切らない自分が悪いのかもしれない。
(ちゃんと、言おう…)
明日、パレードが終わったら。
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