(切甘)初恋は甘く切なく
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「女と思って甘くみていなさい。」
「口は達者だな。…元・輪のヴァルガってのも一興だな…それで仲間の前に出してやろうか。」
「やれるものなら…やってみなさい!!!」
ヴァルガになんてされるもんか。
「ぐっあ!!」
後ろで私を羽交い締めにしていた男のスネを蹴りあげ、力が緩んだスキに護身術で腕をひねり、脇腹に回し蹴りを入れた。
身構えた前の男の前で咄嗟にしゃがみ込み、足払いをかけて転がす。
腕輪がなければなんて、輪も甘く見られたみたいね。
「この…っ!!」
3人目が私の右腕を強く掴んできたけど、それもうまくひねれば倒せることくらい、護身術レベルでわかる。
倒れ込んだスキに腕輪を取りに荷物に向かったけど、立ち直った男に再び捕まり、引き戻されながら首に結んでいた水着の紐を解かれた。
咄嗟に押さえたことで両手が塞がってしまい、仰向けに倒された。
「勝負あったな。一応、抵抗力の強さは認めてやる。だが…女でその格好でいたことをせいぜい悔やめ。」
「くっ…!!」
両手と、足も押さえられて動けない。
悔しい…っ!!こんな奴等、腕輪さえあれば。
自分の甘さに嫌気がさす。
「輪の女か…輪じゃなきゃ、いい女なのにな。」
ス…と、男の手が水着にかかった。
首は解かれたけど、かろうじて隠れている胸の部分。
「やっ…」
その時はじめて…
自分が女であること、そして男に対して、恐怖を感じた。
「その子に触るなっ!!!」
(!!與儀!?)
声のした方を向くと、私が連れてこられた場所とは違う場所から、與儀が剣を両手に走ってくるところだった。
與儀は近づいてきて、仰向けに押さえ込まれ水着を解かれた私を見て、これ以上ないほどの怒りに満ちた顔をした。
「離せ!!さもなくばここで全員…殺す!!!」
剣を向けられたことにより一瞬、男たちの空気が凍った。
だけど、その空気はすぐに破られた。
「俺たちを殺ったら、全部闇の中だぜ?」
「…っ…」
だめだ
私がいるから、與儀はうまく動けない。
こんな奴等、與儀の技なら一発なのに。
慰み者や実験に使えないなら、今度は人質。
泣かない…ここでは泣かない。
私は……!!
敵に涙は見せない。
「與儀…っ!私ごとやって!!」
「なっ!!?」
「お願いだから…っ!!」
酷なのはわかってる。
でも、ここまできたら、足手まといの仲間なんか切り捨てて。
私は最期まで輪でいたい。
だけど、私の言葉に與儀は、ますます躊躇した。
表情は崩さないけど、剣先が震えてる。
「お前、ちょっと黙れよ。」
「ぐっ…ぅ…っ」
首に手をかけられ、苦しくて息ができない。
死ぬ…っ!
「リイナちゃ…!!こ、の…!!!」
與儀が剣を高く振り上げた。
震えながら。
…それで、いい。
こいつらに惨めに殺されるより。
少しでも…助けに。
気が…遠くなる。目の前がかすむ。
「く…は…っあ」
『シュテロネ!!!』
「なっ!?」
幾つもの星が駆け抜け、首にかかっていた力が緩んだ。
私を押さえていた男たちが吹き飛び、ようやく体が自由になったけど…動けない。
「リイナ!!」
「ツク、モちゃ…げほっ!!げほっ!!」
駆け寄ってきたツクモちゃんに抱き起こされ、優しく背中をさすられた。
同じように駆けてきたイヴァ姐さんが、大きめのタオルを私にかけて隠してくれる。
「大丈夫!?」
「なん…で…」
「與儀がシャワー室で隠し扉に気づいたの。リイナも現れないって連絡がきて…」
「そ、か…」
與儀は…冷静に判断して動いたんだ。
その與儀は、檻を作って男たちを生け捕りにしている。
(與儀がいなかったら、私…)
そう思ったら…涙が出た。
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