(切甘)初恋は甘く切なく
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火不火関連企業の潜入捜査のため、平門さんからご指令を受けた私と與儀。
何故かイヴァ姐さんはピリピリしているし
ツクモちゃんはにこやかだし
花礫くんは妙に面白そうにニヤついてるし
无ちゃんは羨ましげだし
…なんで?
とは、思っていたんだけど。
いざ着いてみて、よぉぉくわかった。
「…どうでしょうか」
「……………」
ソレに着替えて出てきた私を、真っ赤になった與儀は顔ごと横にそらして、見ようとしない。
「なにか言ってよ…」
「…うん、可愛いと…思う…」
ゴニョゴニョと呟かれたその言葉をようやく聞き取り、私も恥ずかしくなった。
赤と白のチェック柄のビキニ。
うなじと背中で紐を結んで、胸元に大きなリボン。
腰の両側にも大きなリボンがついて、ヒラヒラした大きめのフリルが腰をぐるりと囲んでる。
髪は後ろでポニーをふんわりまとめて、花飾りをつけてみました。
與儀は膝まであるゆったりした黒の男性用水着。
裾にチラッとついているニャンペは見なかったことにする。
波が出る大きなプールがメインの施設を運営している会社の関連企業が、どうやら火不火と繋がっているらしい。
その話を聞いたときは予想だにしなかったんだ。
実際に水着を着て潜入捜査をするなんて。
私と與儀なのは、男女両方の更衣室から徹底的に調べて欲しいからと、一見して男女でプールで遊んで一番違和感のない組み合わせだから。
(そりゃそうよ…実際に付き合っているもの。)
だけど、與儀の前で水着なんて…あまりない。
だから與儀もモジモジしてこっちを見ない。
まさに初めてプールデートにきたカップル。
だめだって…これは任務なんだから。
「と、とりあえず、ずっと水に入らないのも怪しまれるし…入ろうか?プール。」
「そう、だね。」
私は與儀に手を引かれ、メインの大きなプールに入った。
本物の海の波打ち際みたいに、小さな波が打って段々と深くなっていく。
屋内だし、温水で寒くない。
「うわ、リイナちゃん、足元に気をつけてね?」
「うん!」
ゆっくり水に浸かる最中、後ろでなにか声がした。
「わ、ねえ見てよ、あの金髪の人!!イケメンじゃない?」
「え?どれ?…あ、ほんとだ。背ぇ高いー!体つきもいいじゃん!キレイな筋肉ついてるし。」
「やだ、どこ見てんの!でもいいなぁ…優しそうだし、カノジョいなかったら声かけるのにぃ。」
(……………)
ちょうど波が出る時間に当たったのか、ブザーが鳴って、グンッと大きな波が押し寄せた。
「うわっぷ…」
その強さに押されて、引き際に引っ張られ、私は深いほうへ流された。
足がつかなくなって、必死にバタ足で立ち漕ぎして手でも扇いだけど、あちこちの人にぶつかってなかなか泳げない。
「與儀?與儀どこー!?」
「リイナちゃーん!!」
はぐれた與儀が人波をかき分けて泳いできて、うまく私を捕まえてくれた。
腰に両腕を回して抱き抱えてくれる。
「大丈夫!?」
「ありがとう!」
與儀なら胸くらいまでの水が、私だと首まですっぽりと浸かっちゃう。
水着っていう薄い布一枚で密着してしまう。
ますます私と與儀でよかった。
ふと見ると周りのカップルも同じ状況で密着して、イチャイチャモード。
あれ、そういえば家族連れがあまりいない…。
まぁ、こんなに深いところまで子供は来ないかな…。
「あのさ…そろそろ、ここ出ない…?」
密着していることが恥ずかしいのか、與儀は赤い顔で提案してくる。
でも、ごめん。
そんな與儀とは裏腹に、私はしがみついた。
「リイナちゃん?」
ごめんなさい、任務は決して忘れていません。
でも今だけ…お願い。
嬉しいの。こんな普通のデートが。
こういうとき、私は輪なのに、年頃の女子なのだと思い知る。
任務のことしか考えられなかった私が、こういう年相応の感情を知ったのは…きっと與儀に恋をしたから。
それがね、嫌じゃないの…。
普段は恋愛にかまけないよう、輪であることに神経を集中させているけど。
「あ、ああああの、そろそろ出よ?ね?」
「どうして?」
やけにアタフタする與儀に疑問を投げ掛けたけど…またなにかゴニョゴニョしてる。
「や…ばぃ、から…」
「?じゃあ出る…?」
「……あ、ごめ…っ!やっぱりちょっと待っ…て」
「な、なに?さっきから………あ」
(あれ…?)
「ちょっといま上がれそうにな…」
密着している体の、腰あたりに何か……。
「…與儀ぃぃ~~~~???」
「ぅ?わ!?ちょっ…!!蹴らな…っ!痛いっ!いたたた!!!」
「バカっ!!なに考えてんの!!」
腰に当たっていたものの正体がわかってしまって、恥ずかしくて與儀を押して離した。
與儀は涙目になってる。
「しょうがないでしょ!考えていなくたって勝手に反応するんだよ男はっ!!ていうか痛いから!!」
「知らないっ!」
「使い物にならなくなったらどうすんの!!困るでしょ!?」
「知りません!!私は困らない!!」
「うう…酷い…俺は困るのに…」
周りの喧騒のおかげで、このやりとりは聞こえないけど…ちょっと、いやかなり恥ずかしい…。
仕方ない…と、與儀に背中を向けて陸に向けて泳ぐ体勢に入る。