(甘)フォーチュン・ラバー
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見るからに一般人だし、今の私を輪だと知っているわけはないから、本当になんだろう?と首を傾げてみる。
「ねぇ、お姉さん可愛いね。一人?」
「え??」
か……可愛い………?なに?
いきなりのことでよくわからなかったけど、男の人の1人は無遠慮に向かいの席に座ってきて、もう1人は囲むように私の横に立った。
座る私を見下ろす形だけど、あくまで悪意や害意は感じない………ただやたらと浮かべている笑顔が印象的ではあった。
「なんかさ、さっきからすごい可愛い子だな〜って見てたんだよね。近くで見たら本当に可愛いよね。びっくりしたよ。」
「はあ…どうも………?」
こんな可愛い可愛いを連発されても、反応に困るのだけど……お礼を言うのも変だし…どうしたらいいかわからずにいると、隣の男性が援護射撃のように喋りだした。
「もしかしていま、1人だったりする?こんな可愛いのにさ、こんなところに1人でいるなんてもったいなくない?」
「え、あの……」
「絶対もったいないよね!楽しいほうがよくない?」
1人じゃない、て言おうとしたけど、それを塞ぐようにもう1人が言葉を重ねる。
さっきから見ていたって言うけど、與儀といたところは見てないのかな?
……そうだ與儀…と思ったけど、店内のこの混み具合だとレジカウンターも混んでいそうだし、まだまだ来なさそうだな…。
…それにしても……悪意を感じない男の人二人組…もしかして、だけど。
まさかこれが、噂にきくナンパっていうもの?
うわぁ、初めてだ……本当にあるんだ、こんなこと。
漫画とかドラマではよく見る光景だけど、まさか私がナンパなんてされることがあるとは……。
(……滅多に任務以外で外を歩かないからなあ…)
…なんて、つい物珍しく思っちゃって、返事をしない私に、2人はまたズイッと身を乗り出した。
「ね、一緒に遊びに行かない?」
「俺らこのあたり詳しいし、めちゃくちゃ楽しませてあげられるよ?」
「あ…いえ、連れがいるので…。」
「え?もしかして友達?じゃあ2対2でちょうどよくない?お友達も可愛いの?今どこにいるの?」
「あの…」
困った、どうしよう。
矢継ぎ早に繰り出される攻撃に、口を挟む暇がない。
これって変に断ったら逆上されたりする?
なるべく揉めたくないし、治安部が出る事態になったら身分を明かすはめになる……うまく当たり障りなく断ることはできないかな……ナンパなんてどうかわすのが正解なんだろう…経験がないからわからない……うーん……
……と、すっかり困っちゃって戸惑っていたら、一人に右手を掴まれて引っ張られた。
「ね、行こうよ?お友達も一緒に探そ?」
「え、あの、本当に私………」
「…すみません、その子、俺の連れなんで離してもらえます?」
(…………え)
背中から聞こえてきた低い声に振り向くと、少し怖い顔をした與儀が立っていた。
與儀は真剣に怒っているような表情で二人を交互に見比べたから、男の人たちは一瞬ひるんだ。
私も、あまり見たことがない顔にビックリ。
與儀って、こんな顔もするんだ。
そういえばなんかヴァルガと対峙した時の雰囲気に似ているかも。
それに………なんか、怒ってる…………?
「…つ、連れって男なの?なんだ…。」
そう言って二人は素直に去って行き、なんとなくそれを目で追っていたら、カタン…とテーブルにトレイが置かれて與儀が向かいに座った。
與儀はハー………と深く息を吐きながら項垂れた。
本当に怒っているのかな?と顔をのぞき込んでみると、さっきまでの怒り顔はどこへやら、情けなく眉を下げて目を閉じていた。
「……はぁ…怖かったぁ……ケンカを売られたらどうしようかと思ったぁ……。」
「えっ…っ……………」
……ええええええっ!?
それが、さっきまで怖い顔をしていた人のセリフ!?
「…売られていたらどうするの…?」
「一般人を相手にケンカなんかできないし、そもそも争いは苦手だし…。」
「…まぁ、與儀はそうだよね…。でも、ありがとう。どうしたらいいか困っちゃった。来てくれてホッとしたよ。」
「本っ当に油断してた…リイナちゃんを一人にするべきじゃなかったね…。」
「どうして?」
別にこれくらい…と思っていたけど、突然、項垂れていた與儀がバっと顔を上げた。
びっくりして思わずビクッと身体が跳ねる。
「だって!さっき歩いている時とか、リイナちゃんを見てる男の人、いっぱいいたんだよ!?そりゃ1人になったら声かけたりするよね!?」
「ええ!?まさか…!!」
「まぁ最初は正直…俺の彼女、すごく可愛いでしょ~?なんて思っていたりしたけど…あんまりみんな見るから…やっぱりリイナちゃんてモテるんだなあって………。」
「ないないない!!やだな、私なにか変だったかな…髪がグチャグチャだったとか…………。」
手をぶんぶん振って否定したら、またムーッて顔をされた。
與儀がさっきからずっとよそ見をしていた理由はわかったけど…なんでそんなにジロジロ見られていたんだろう……………。
困惑していたら、與儀が抗議の声を挙げた。
「…リイナちゃんは可愛いから、もっと自分のことを自覚するべきだよ~…だからナンパされちゃうんだよ…。」
「た、たまたまだよ……ほら、1人でいたし、周りはカップルばかりだし、たぶん誰でも良かったんだよ?」
「普段は艇にいるからわからないかもしれないけど!外に出れば男なんていっぱいいるんだから!!リイナちゃんは思わず目を惹くし声をかけたくなるくらいすごく可愛いの!!自覚して!?わかって!?」
「う、う~ん……。」
そ、そんなに怒る…………?
実際、ナンパされたのはこれが初めてだったし、そんなに力説されるほど自分は可愛いとは、私は思ったことがない。
それを自覚しろと言われても。
第一、可愛いとか自覚したところで、私がこれからどうしたら與儀の気が済むのか。
カラン…と、透明なプラスチックカップに入っている氷が崩れた。
戸惑っていた私はふいに右手をとられ、與儀にゴシゴシゴシッとひたすらこすられた。
「ちょっ!いたたたっ!!與儀、痛い!!」
「消毒!!」
消毒っていうか、ただの摩擦!!
本気で痛い!!!
無理矢理に手を引っ込めてさすったけど、赤くなって熱を持ってるし。
それだけあの男の人に触られたのが、嫌だったんだなぁ…。
表情もまだすねてるし、不満そう。
ナンパが物珍しくてついボケッとしていたとは言えない…揉めようがさっさと断ればよかったな。
「あのね…どんな人にナンパされても、ついて行ったりしないから。…ね?」
「う、ん…。」
「さっきはビックリしたけど、無理矢理に連れて行かれそうになったら……ねぇ?わかるでしょ?」
「そ、そうですね…。」
與儀がひきつった顔をして私から目をそらした。
本気モードの私を、與儀はよぉく知ってるから。
一般人相手に輪が本気のケンカをするわけにはいかない。
だけど無理矢理に連れて行こうとするなら、いくら一般人でも正当防衛の範囲内でなら、ね?
さっきの二人も、男性とはいえまとめて相手にできるくらいの実力は私はあるから、ねじ伏せるのはマズイけど戦意を失くさせるくらいならできる。
例えあの時に與儀が来なくても、私はついて行かない。
危ないことになったらそれなりに対処もする。
それでようやく納得してくれたみたいで、ハアァ…って大きな溜め息をつきながら、與儀はストローをくわえてゴクゴクとジュースを飲んだ。
それからまた、息を吐いた。
「…リイナちゃんはさ、どうして俺を選んでくれたの…?」
「どうしてって?」
「だって…周りには、平門サンや朔さんや燭先生や…喰くん…いっぱいいるし…大人でカッコいい人…なのにリイナちゃんが付き合っているのは、俺とか……なんで……。」
「……なんでだろう?」
「えっ!?」
ショック!!
って感じの顔で、涙を浮かべた與儀の顔が面白くて、思わず笑っちゃった。
だって、そんな改まって言われたって、ねえ?
今更だよ。返す言葉なんか、決まってる。
「與儀だからだよ?」
「俺だから…?」
「確かに、みんなかっこよくて良いところがいっぱいあるね。でも、與儀もかっこよくていっぱいいっぱい良いところがあるんだよ?」
「そうなのかな…。」
「そ。與儀も自分のことを自覚すべきだね。與儀はすごくかっこいいよ。」
「そ…そうかな…………………。」
優しくてかっこよくて強くて可愛い、そんな與儀が大好き。
素直なところも。戦いが苦手なのに、いざとなるとちゃんと戦うところも。
さっきみたいに私を助けようとしてくれたところも。
全部が大好き。
「じゃあ、どうして與儀は私なの?イヴァやツクモちゃんやキイチちゃん…可愛い子ならいっぱいいるのに。」
「…リイナちゃんだから、だよ…。強くて可愛くて優しくて…うまく言えないけど…可愛いからってだけで好きになったわけじゃないよ。」
「ふふ、ありがとう。」
それならお互い様。
好きなところなんて、いっぱいありすぎて伝えきれない。
「ねぇ、お姉さん可愛いね。一人?」
「え??」
か……可愛い………?なに?
いきなりのことでよくわからなかったけど、男の人の1人は無遠慮に向かいの席に座ってきて、もう1人は囲むように私の横に立った。
座る私を見下ろす形だけど、あくまで悪意や害意は感じない………ただやたらと浮かべている笑顔が印象的ではあった。
「なんかさ、さっきからすごい可愛い子だな〜って見てたんだよね。近くで見たら本当に可愛いよね。びっくりしたよ。」
「はあ…どうも………?」
こんな可愛い可愛いを連発されても、反応に困るのだけど……お礼を言うのも変だし…どうしたらいいかわからずにいると、隣の男性が援護射撃のように喋りだした。
「もしかしていま、1人だったりする?こんな可愛いのにさ、こんなところに1人でいるなんてもったいなくない?」
「え、あの……」
「絶対もったいないよね!楽しいほうがよくない?」
1人じゃない、て言おうとしたけど、それを塞ぐようにもう1人が言葉を重ねる。
さっきから見ていたって言うけど、與儀といたところは見てないのかな?
……そうだ與儀…と思ったけど、店内のこの混み具合だとレジカウンターも混んでいそうだし、まだまだ来なさそうだな…。
…それにしても……悪意を感じない男の人二人組…もしかして、だけど。
まさかこれが、噂にきくナンパっていうもの?
うわぁ、初めてだ……本当にあるんだ、こんなこと。
漫画とかドラマではよく見る光景だけど、まさか私がナンパなんてされることがあるとは……。
(……滅多に任務以外で外を歩かないからなあ…)
…なんて、つい物珍しく思っちゃって、返事をしない私に、2人はまたズイッと身を乗り出した。
「ね、一緒に遊びに行かない?」
「俺らこのあたり詳しいし、めちゃくちゃ楽しませてあげられるよ?」
「あ…いえ、連れがいるので…。」
「え?もしかして友達?じゃあ2対2でちょうどよくない?お友達も可愛いの?今どこにいるの?」
「あの…」
困った、どうしよう。
矢継ぎ早に繰り出される攻撃に、口を挟む暇がない。
これって変に断ったら逆上されたりする?
なるべく揉めたくないし、治安部が出る事態になったら身分を明かすはめになる……うまく当たり障りなく断ることはできないかな……ナンパなんてどうかわすのが正解なんだろう…経験がないからわからない……うーん……
……と、すっかり困っちゃって戸惑っていたら、一人に右手を掴まれて引っ張られた。
「ね、行こうよ?お友達も一緒に探そ?」
「え、あの、本当に私………」
「…すみません、その子、俺の連れなんで離してもらえます?」
(…………え)
背中から聞こえてきた低い声に振り向くと、少し怖い顔をした與儀が立っていた。
與儀は真剣に怒っているような表情で二人を交互に見比べたから、男の人たちは一瞬ひるんだ。
私も、あまり見たことがない顔にビックリ。
與儀って、こんな顔もするんだ。
そういえばなんかヴァルガと対峙した時の雰囲気に似ているかも。
それに………なんか、怒ってる…………?
「…つ、連れって男なの?なんだ…。」
そう言って二人は素直に去って行き、なんとなくそれを目で追っていたら、カタン…とテーブルにトレイが置かれて與儀が向かいに座った。
與儀はハー………と深く息を吐きながら項垂れた。
本当に怒っているのかな?と顔をのぞき込んでみると、さっきまでの怒り顔はどこへやら、情けなく眉を下げて目を閉じていた。
「……はぁ…怖かったぁ……ケンカを売られたらどうしようかと思ったぁ……。」
「えっ…っ……………」
……ええええええっ!?
それが、さっきまで怖い顔をしていた人のセリフ!?
「…売られていたらどうするの…?」
「一般人を相手にケンカなんかできないし、そもそも争いは苦手だし…。」
「…まぁ、與儀はそうだよね…。でも、ありがとう。どうしたらいいか困っちゃった。来てくれてホッとしたよ。」
「本っ当に油断してた…リイナちゃんを一人にするべきじゃなかったね…。」
「どうして?」
別にこれくらい…と思っていたけど、突然、項垂れていた與儀がバっと顔を上げた。
びっくりして思わずビクッと身体が跳ねる。
「だって!さっき歩いている時とか、リイナちゃんを見てる男の人、いっぱいいたんだよ!?そりゃ1人になったら声かけたりするよね!?」
「ええ!?まさか…!!」
「まぁ最初は正直…俺の彼女、すごく可愛いでしょ~?なんて思っていたりしたけど…あんまりみんな見るから…やっぱりリイナちゃんてモテるんだなあって………。」
「ないないない!!やだな、私なにか変だったかな…髪がグチャグチャだったとか…………。」
手をぶんぶん振って否定したら、またムーッて顔をされた。
與儀がさっきからずっとよそ見をしていた理由はわかったけど…なんでそんなにジロジロ見られていたんだろう……………。
困惑していたら、與儀が抗議の声を挙げた。
「…リイナちゃんは可愛いから、もっと自分のことを自覚するべきだよ~…だからナンパされちゃうんだよ…。」
「た、たまたまだよ……ほら、1人でいたし、周りはカップルばかりだし、たぶん誰でも良かったんだよ?」
「普段は艇にいるからわからないかもしれないけど!外に出れば男なんていっぱいいるんだから!!リイナちゃんは思わず目を惹くし声をかけたくなるくらいすごく可愛いの!!自覚して!?わかって!?」
「う、う~ん……。」
そ、そんなに怒る…………?
実際、ナンパされたのはこれが初めてだったし、そんなに力説されるほど自分は可愛いとは、私は思ったことがない。
それを自覚しろと言われても。
第一、可愛いとか自覚したところで、私がこれからどうしたら與儀の気が済むのか。
カラン…と、透明なプラスチックカップに入っている氷が崩れた。
戸惑っていた私はふいに右手をとられ、與儀にゴシゴシゴシッとひたすらこすられた。
「ちょっ!いたたたっ!!與儀、痛い!!」
「消毒!!」
消毒っていうか、ただの摩擦!!
本気で痛い!!!
無理矢理に手を引っ込めてさすったけど、赤くなって熱を持ってるし。
それだけあの男の人に触られたのが、嫌だったんだなぁ…。
表情もまだすねてるし、不満そう。
ナンパが物珍しくてついボケッとしていたとは言えない…揉めようがさっさと断ればよかったな。
「あのね…どんな人にナンパされても、ついて行ったりしないから。…ね?」
「う、ん…。」
「さっきはビックリしたけど、無理矢理に連れて行かれそうになったら……ねぇ?わかるでしょ?」
「そ、そうですね…。」
與儀がひきつった顔をして私から目をそらした。
本気モードの私を、與儀はよぉく知ってるから。
一般人相手に輪が本気のケンカをするわけにはいかない。
だけど無理矢理に連れて行こうとするなら、いくら一般人でも正当防衛の範囲内でなら、ね?
さっきの二人も、男性とはいえまとめて相手にできるくらいの実力は私はあるから、ねじ伏せるのはマズイけど戦意を失くさせるくらいならできる。
例えあの時に與儀が来なくても、私はついて行かない。
危ないことになったらそれなりに対処もする。
それでようやく納得してくれたみたいで、ハアァ…って大きな溜め息をつきながら、與儀はストローをくわえてゴクゴクとジュースを飲んだ。
それからまた、息を吐いた。
「…リイナちゃんはさ、どうして俺を選んでくれたの…?」
「どうしてって?」
「だって…周りには、平門サンや朔さんや燭先生や…喰くん…いっぱいいるし…大人でカッコいい人…なのにリイナちゃんが付き合っているのは、俺とか……なんで……。」
「……なんでだろう?」
「えっ!?」
ショック!!
って感じの顔で、涙を浮かべた與儀の顔が面白くて、思わず笑っちゃった。
だって、そんな改まって言われたって、ねえ?
今更だよ。返す言葉なんか、決まってる。
「與儀だからだよ?」
「俺だから…?」
「確かに、みんなかっこよくて良いところがいっぱいあるね。でも、與儀もかっこよくていっぱいいっぱい良いところがあるんだよ?」
「そうなのかな…。」
「そ。與儀も自分のことを自覚すべきだね。與儀はすごくかっこいいよ。」
「そ…そうかな…………………。」
優しくてかっこよくて強くて可愛い、そんな與儀が大好き。
素直なところも。戦いが苦手なのに、いざとなるとちゃんと戦うところも。
さっきみたいに私を助けようとしてくれたところも。
全部が大好き。
「じゃあ、どうして與儀は私なの?イヴァやツクモちゃんやキイチちゃん…可愛い子ならいっぱいいるのに。」
「…リイナちゃんだから、だよ…。強くて可愛くて優しくて…うまく言えないけど…可愛いからってだけで好きになったわけじゃないよ。」
「ふふ、ありがとう。」
それならお互い様。
好きなところなんて、いっぱいありすぎて伝えきれない。