(片思い)LOVEとLIKEの境界線
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(はぁ……)
ここのところ毎日、気づけばため息ばかりついてる。
それでもおさまることなく、次々に溢れてくる感情。
ドキドキ…
ソワソワ…
モヤモヤ…
胸の中で渦巻くたくさんの想いが、俺を切なくさせて…それらが思い切り表に飛び出てしまいたい!!て暴れると、途端に苦しくなって無意識に吐息として溢れ出す。
このため息の理由を、俺はとっくに知っていた。
わかってる。
これは、恋なんだって。
少し前から同じ輪の、同じ艇の闘員の女の子に、俺は誰にも言えない気持ちを密かに抱えていた。
まさか、仲間にこんな感情を抱く日がくるなんて思わなかった。
でもね。毎日、艇に帰ってくれば、おかえりと迎えてくれる。
逆に、俺がおかえりと迎えれば、ただいまと答えてくれる。
そんな彼女に惹かれて…ああ、これは恋なのだと…気づいてから、ため息が止まらないんだ。
どうして?どうして彼女?
よりによって毎日一緒に生活をしている仲間に恋をしてしまうなんて。
命をかけた任務に追われて、一生懸命に闘う毎日の中で、同じ責務と使命を抱えた仲間の女の子を、一緒にいるとどうしても恋愛感情を挟んで見つめてしまう。
俺に好意を抱かれていると知ったら、彼女はどう思うだろう?
気まずい思いもさせてしまうかもしれない。
だけどそんなこと、好きになっちゃった今はどんなに考えたって、どうしようもなくて。
べつに彼女自身に何か問題があるわけでもないし。
ただ、俺が一人で、慣れない片想いの落ちつかなさに戸惑っているだけ。
ただ仲間を好きになっちゃったことに、色々後ろめたさとかはあるかもしれない。
ひたすら出口が見えない、そんな考えばかりが浮かんで。
ふらふらぐるぐる、空回り。
「與儀、さっきからどうしたの?ため息ばかり。」
「…えっ?」
その片想いの相手、リイナちゃんと、今は俺の部屋で次のパレードに備えて飾りを作ってる最中で…
リイナちゃんは、どうやら無意識にため息を繰り返していたらしい俺を、不思議そうに見ている。
目の前に本人がいれば、どうしたって気持ちが昂ってしまい。
しかもバッチリ目が合って、また心臓が跳ねた。
「な、なんでもないよ」
平気なふりをして笑って取り繕ってはみたけど。
ため息がよほど酷かったのかな…?
それでも不思議そうに、じっと見つめられる。
ああ、また…
ドキドキ…ドキドキ…
心臓が鳴りっぱなし。
大丈夫かな。
バレていないかな?そう考えると、どうしてもぎこちなくしか笑えない。
真っ直ぐな目で見つめられると…リイナちゃんの視界に入っているのが嬉しい、その瞳の中で、俺はどんなふうに映っているの?って、聞きたくてたまらなくなる。
そして、そんなに見つめられたら、この気持ちまで見透かされそうで。思わず目を逸らして俯いた。
こんな態度を取るなんて、嫌な気分にさせていないかな?と、ヒヤヒヤもするんだけど。
リイナちゃんはさらに気遣う言葉をかけてくれた。
「具合、悪い?疲れてるなら今日は終わりにしようか?」
「あ、違う!違うから!」
せっかく一緒にいるのに、これで終わりなんで嫌だ!!
慌てて手をぶんぶん振って否定したら、「そう…?」と言いながら、また作業をするために飾りに目を落としたリイナちゃん。
真剣に作業をする表情を、そっと見つめる俺。
ああ、やっぱり可愛い。
胸がギュッと苦しくなる。
心配、してくれたのかな。俺が、体調が悪いのかと思って。
もう…好き。大好き。
その優しいところも、決して作業の手を抜かない真面目なところも。
……このまま、こうしていたい。
同じ空間にいて同じ作業をしながら、ずっとこうしてリイナちゃんを見つめていられたなら。
ううん、こうしているだけじゃなくて、叶うなら…。
もっと、傍に。
リイナちゃんに一番近い男になりたい。
こうして一緒にいるのが当たり前になって、その瞳に映る権利を独り占めしたい。
そう思うとまた息ができないくらいに胸が苦しくなって、吐き出したくてたまらなくなった。
「あのね、リイナちゃん…」
「うん?」
「…俺ね、リイナちゃんのこと好きだよ…」
少し震えてる声で、頑張って言ってみた。
声だけでなく、胸も手も震えてる。
フラレたらどうしよう。俺をそんなふうには見られないって言われたら。
ただの仲間に想いを寄せられていると知って、困った顔をされたら。
でも、できれば受け止めてほしい。そして受け入れてほしい…と、願いを込めてリイナちゃんを見つめた。
なんの前触れもないいきなりの俺の告白に、リイナちゃんは手を止めて、顔を上げた。
あー…やっぱり、怖い。
本当は、好きなんて一言だけじゃ伝えきれない。
この胸の中を、全部見せられたらいいのに。
君のどんなところが、どんなふうに好きかとか。
俺の恋人になってください、リイナちゃんの傍にいさせて、できれば俺を好きになって…と、いっぺんに伝わったなら。
そしたら、少しは何かが変わる?
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