年下の彼
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「考える時間は、たくさんあったはずですよ…?」
私は、彼に愛される立場になっても、いいのかな。
彼を愛する立場になってもいいの?
一ノ瀬くんがくれるまっすぐな愛を、私は私なりの愛で返していいのかな。
ずっと、明るいいじられキャラをやってきた私を、真面目だと言ってくれた⋯励みになると言ってくれた。
私の水面下の努力をきちんと見て感じてくれた人。
明るくて楽観的なタイプなのは本当だけど、私のそれだけじゃない部分は世間には求められない。
自分の本音と世間の求めるイメージのギャップに、時々つらくなるときが私にもあった。
私の真面目さは私のイメージには必要ないんだって。
悩みが全くなさそうなのが良いんだって。
悩みくらいいくらでもあるし、ここまで来るのにそれなりに苦労も努力もしてきたのに。
だって、ずっとアイドルに憧れていたから。
歌って踊れる、キラキラした可愛いアイドルになりたかったから。
清純派で売ってもウケるリアクションが重視のバラエティータレントのお仕事が多いのは、それが世間が求める私のキャラクターだから。
でもそれを抑えて頑張ってきた私のアイドルとしての振る舞いややり方を、励みになると言ってくれた人は一ノ瀬くんだけだった。
私の本質は社長も日向さんも嶺ちゃんも見抜いていてはくれたけど⋯⋯その私を心から好きだと言ってくれたのは、一ノ瀬くんが初めてだったから。
(⋯そりゃ意識しちゃうよねぇ〜⋯⋯⋯。)
こんなの、好きになってしまうに決まっている。
もう素直になるしかないのか。
アイドルだからとかアイドルなのにとか、そんなものは全部吹っ飛ばして。
いま、答えを出すときなら。
それなら…。
私は一ノ瀬くんの手を取って、その指先を自分の首筋に当てた。
「な…かなでさん?」
「…わかる?いま、すごくドキドキしているの……これ、お酒のせいじゃないからね?」
ドクン…ドクン…
私が言ったあと、一ノ瀬くんは指先にグッと軽く力を入れて、私の脈を感じ始めた。
その鼓動の早さで察した彼の顔が赤くなっていくのを、私は間近で見つめた。
…やっぱり、可愛い
って言ったら、怒られる?
年齢より大人びた男性なのに、時々こうして年相応の男の子になる彼。
私は意外と年下タイプが好みだったのかな。
「…好きだよ、一ノ瀬くん。あなたは私にとって充分に男性として魅力的だよ。2年たったら、一緒にお酒を呑もうね…?それまで一緒にいよう?」
「…私は2年たったあとも、お酒を飲みながらずっと一緒にいたいです。」
「あはは…っ!そうだね、ずっと一緒にいようね。」
好きになった人は、ちょっと大人びた、ふたつ年下の男の子でした。
まだまだこれから花開く彼を捕まえるからには、しっかり覚悟して責任を持たないとね。
その彼のまっすぐな瞳が、甘さを含めて私を見つめてくる。
「⋯好きです、かなでさん。」
「うん。一ノ瀬くんはまた妙なタイプの女が好みなんだねぇ。」
「ここはふざける場面ではありませんよ?」
「わりと真面目に思ったことを言ったんだけどな。」
「かなでさんは決して妙なタイプではありません、少し変わってはいますが。」
「それフォローになってなくない⋯?」
じゃあその変わっている女を好きなあなたはなんなのよ?
⋯⋯と言いたくなる、ふざける場面ではないのに思い切りふざけ合う私と一ノ瀬くんは、これまた意外と似合っているのかもしれない。
「⋯キスしても?」
「…ん……」
恥ずかしくて目を伏せる私の唇に、そっと一ノ瀬くんの唇が触れる。
触れ合わせた唇はとても柔らかく、お酒よりずっと甘くて温かくて、私を充分に酔わせてくれた。
これなら2年待たずに一ノ瀬くんも一緒に酔えるね。
(…やーれやれ)
「頃合いを見計らってこ〜っそりと帰るつもりだったんだけど、タイミング逃しちゃったなぁ……。このまま上でニャンニャンし始めちゃったらどうしましょ…。」
ま、トッキーもかなちゃんも幸せなら、めでたしめでたし。
僕ってば、いいお兄さんじゃなーい?
でも、かわいそうだから、おとやんにはしばらくナイショかな。
いいなー…僕ちんも可愛い彼女ほーしーいー!!!
「ところで、明日からの仕事の予定は?」
「明日から…一週間くらい北海道の網走かなぁ」
「網走?なぜこの寒い時期に…」
「…真冬の網走カキ氷レース…」
「好きですね、そういうの…。」
「そういう仕事ばかりなんです…」
「貴女…本当に清純派アイドルですか?完全にリアクション芸のバラエティタレントのくくりじゃないですか…」
「……言わないで。実はすごく気にしてる…………。」
「……世間に求められるものと自分のギャップというものですね………勉強になります先輩………。」
「くっっ………私のようにはならないでね……っ!!!」
おわり
→おまけ