(切甘)この感情の名は。
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学園の寮から事務所の寮に引っ越しをする日。
俺は自分の片付けをそこそこに、かなの部屋の片付けを手伝いに来た。
女性一人では、重い荷物など大変だと思ったからだ。
もちろん、彼女のプライベートなものには触らない。
段ボールにはきちんと衣類、食器など書かれていたので、中身を開けてしまう心配はない。
しかし、積み上げられた段ボールがひとつだけ、何も書かれていないことに気づいた。
それを上から下ろすと、段ボールから中身を出して片付けているかなのほうを向いた。
「かな、これはどうしたら良い?」
振り向いたかなも、一瞬なんの箱だかわからない…という顔をしたが、何も書かれていないことに気づくと、目を見開いて慌てたような表情になった。
「あっ…それは…実家に送るもので!!混ざっちゃったんだね」
「そうか?ならばとりあえず隅に置いておこう…」
よほど見られたくない物か…と思ったが、人間そんな物のひとつやふたつ、あってもおかしくはないだろう。
そう考え特には気にしなかったのだが、隅に運ぶ途中、なかなかの重さがあるその箱は、底のガムテープがもはや限界だという音を立て、バサバサと中身が散らばってしまった。
かなはその音にビクッとなり、振り向いた。
「すまない!……ん?」
「わ…わぁあっ!!見ないでーっ!!」
床に散らばったのは、最高の笑みを浮かべた一ノ瀬……いや、HAYATOか?
そのHAYATOの、大量の写真やCD、DVDなどの類だった。
あらゆる表情やポーズのHAYATOの数々。
そうか、忘れていたが、かなはファンだったのだな…。
そのグッズを、顔を真っ赤にしながら必死にかき集めている。
あまりに慌てているので、俺も手伝おうとしたのだが…
「だ!大丈夫!!」
と、拒絶されてしまった。