一万打ヒット記念短編集
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喰
『蝶は赤い糸に囚われる』
買い出しに行ってくれたキイチちゃんが、お土産に赤い実を買ってきてくれた。
それを喰くんと二人で食べていたとき、じぃ…っと実を見つめていた喰くんがポツリと呟いた。
「そういえば、こんな話を聞いたこと、ある?」
「なに??」
「この実についている長いヘタ、口の中で結べたらテクニシャンなんだって。」
「え…知らない…。」
なんのテクニシャン
………とは、聞けない。
「ちなみに僕、20秒で三つは結べるよ。ねぇ、キス上手い?」
「し、知らないよ!!」
私の顔を覗き込んできた喰くんが、くすりと笑った。
「だよねぇ、リイナちゃんは僕以外を知らないからね。」
うう…それは、そうだけど。
実際にキスの経験なんて、あまりないもの。
比べようにも、過去の相手がいません。
「やってみよっか?」
喰くんは実からヘタを引き抜き、口に含んだ。
少しの時間だけ口をモゴモゴさせ、すぐに手のひらに出した。
え…早っ!!!
「ほら、できた。」
手のひらにはしっかり、結び目のついたヘタ。
呆然とする私。
20秒で三つは嘘じゃなさそうだ。
「どうやったの?」
「ん?ちょっと歯を使って、あとは舌かな…説明が難しいけど。やってみる?」
「え!?ムリムリ!!」
そんな高等技術、私にできるわけがない。
ぶんぶんと手を振って断ったけど、逆に楽しそうにヘタを口元に持っていかれた。
実に楽しそうだ。
「できなくてもいいよ。やってみて?」
「う…ん」
その、口元にあるヘタをパクリと口に入れて…えっと、確か歯?と舌を使うんだよね。
言われた通りにやってみるけど…アゴが疲れてきた。
でも…。
(…………ん?)
口の中でくっきり結ばれたヘタ。
「できた…」
舌の上に乗せたまま、べーっと出して見せた。
さすがの喰くんも驚いてる。
できてしまった…。
「わぁ、リイナちゃんて意外とテクニシャン?」
テクニシャンかは、わからないけど。
いとも簡単に出来てしまって、自分でもビックリしてる。
「これ、できない人もいるからね?」
「そうなの…?」
喰くんほどの早さではないとはいえ、自分の意外なスキルを知った。
実践する機会も、披露する機会もないだろうけど。
でも。
眼鏡の奥の瞳が、笑ったように見えたことに気づいた。
嫌な予感。
絶対に何かのスイッチが入ったと、そこそこ長い付き合いでわかる。
「リイナちゃん、実はテクニシャンなんだ?僕としたことが、気づかなかったな。」
「わ、わからない…よ…?」
ソファで。じりじりと距離を詰められる。
うわぁあ!絶対にスイッチ入った!!!
「いつも僕からするほうだったから、君は受け身だったもんね。じゃあ…今日はリイナちゃんからキスをしてみてよ。うんと激しく。」
「……はい!?嫌だよ!!」
逃げようとしたけど背中からしっかり捕まって、頬に手が添えられた。
獲物を見つけたときみたいな…そんな瞳。
「してもらうほうが好き?大丈夫、恥ずかしいなら眼鏡を外すよ。」
「…いやいや!!それ目が悪いからかけているわけじゃないでしょ!!」
むしろ余計に見えちゃうでしょ!!
狼狽える私に、喰くんは余計に笑った。
「じゃあ、目を瞑っているから。ほら…早く。」
「う…。」
喰くんは本当に目を瞑って、受け身の体勢に入った。
やるまで離してくれないんだろうなぁ。
諦めるしかない。
(えーーい!!!)
覚悟を決めて、そっと顔を近づけて唇を開いた。
チュッとただ当てるだけのキスではなく、まるで鳥がお互いのクチバシを食み合うような、バードキスのために。
開いた唇で喰くんの唇を食み包むと、軽く唇が開かれた。
ええと、このあと喰くんはどうしていたっけ。
いつも私が受けていたキスを必死に思い出してみる。
確か…と、舌を恐る恐る入れて唇を舐めた。
私、これをされるのが結構好きなの。
くすぐったくて、愛しい気持ちになるから。
だんだんと、喰くんにも同じ気持ちを感じて欲しくて、舌先を口内に差し入れた。
上顎をくすぐって、おとなしくしている喰くんの舌の裏側に、私の舌を差し入れて掬い上げ、絡めた。
少しづつ喰くんもノッてきて、絡ませ合って吐息が漏れる。
「んっ…」
「………」
ああ、ヤバいかも。
火がついたみたいに、体が燃えていく。
喰くんが欲しくなる。
「ちゅっ…ん……」
キスが…気持ちいい。
ゾクゾクする。
お願い喰くん。喰くんからも、してほしい。
焦らされるようにおとなしかった喰くんが、まるで私のそんな気持ちを感じ取ったか、いきなり舌を絡めてきた。
「んんっ」
後頭部を押さえつけられて、貪るように唇と口内、両方を犯されていく。
私も自然と喰くんの首に両腕を回して、受け入れた。
お互いに息苦しくなるころ、そっと離した唇が濡れてる。
「うん、リイナちゃんのキス、気持ち良かったよ。」
「そう…?」
親指で唇を拭われ、ウットリとした瞳で見つめられた。
「たまには受け身もいいかもね?」
「もう勘弁して…。」
恥ずかしくて死にそう。
途中で、つい燃えてしまったけど。
くすくす…と笑いながら、優しく頭を撫でられた。
「さっきのキスもそうだけどね?その前にヘタを結ぶのに、口が動いていたでしょう?」
「うん?」
「そのあとリイナちゃんがヘタを乗せたまま舌を出すから…ちょっと、ムラッときちゃったんだよね…?」
「……え。」
よくよく見ると、喰くんの瞳には欲を含んだ男の色が浮かんでいる。
うわぁ、余計なことをした。
絶対に離してくれなくなる。
「いっぱいキスしてあげる。もちろん、それ以外もね?」
「!いらない!!」
「君がしてくれてもいいよ。そのテクニックで僕の…」
と、ガチャガチャとベルトを外し始めたので身構えた。
「何をさせる気!!?」
「さぁ?何を想像したのかな?」
「へ…変態ー!!」
「その変態が好きなんでしょ?」
アゴを掴まれて
片手は私の指に指を通して繋がれた。
「リイナちゃんはねぇ…蝶みたいにキレイだけど、いつもひらひら自由だから、いい加減に捕まってくれない?」
「喰くんは蜘蛛?」
「一緒に飛ぶんじゃないんだ?いいけどね。じゃあ…君の行く先々で、糸を張って待っていてあげる。赤い糸でね?」
私は、とっくに捕らわれているよ?
喰くんが好きだもの。
離れたくなんて、ないもの。
「キスしようか。」
絡めとられたら離れるなんてできない、蜘蛛の糸。
私はもうずっと、あなたの作る巣に捕らわれているよ。
おわり
『蝶は赤い糸に囚われる』
買い出しに行ってくれたキイチちゃんが、お土産に赤い実を買ってきてくれた。
それを喰くんと二人で食べていたとき、じぃ…っと実を見つめていた喰くんがポツリと呟いた。
「そういえば、こんな話を聞いたこと、ある?」
「なに??」
「この実についている長いヘタ、口の中で結べたらテクニシャンなんだって。」
「え…知らない…。」
なんのテクニシャン
………とは、聞けない。
「ちなみに僕、20秒で三つは結べるよ。ねぇ、キス上手い?」
「し、知らないよ!!」
私の顔を覗き込んできた喰くんが、くすりと笑った。
「だよねぇ、リイナちゃんは僕以外を知らないからね。」
うう…それは、そうだけど。
実際にキスの経験なんて、あまりないもの。
比べようにも、過去の相手がいません。
「やってみよっか?」
喰くんは実からヘタを引き抜き、口に含んだ。
少しの時間だけ口をモゴモゴさせ、すぐに手のひらに出した。
え…早っ!!!
「ほら、できた。」
手のひらにはしっかり、結び目のついたヘタ。
呆然とする私。
20秒で三つは嘘じゃなさそうだ。
「どうやったの?」
「ん?ちょっと歯を使って、あとは舌かな…説明が難しいけど。やってみる?」
「え!?ムリムリ!!」
そんな高等技術、私にできるわけがない。
ぶんぶんと手を振って断ったけど、逆に楽しそうにヘタを口元に持っていかれた。
実に楽しそうだ。
「できなくてもいいよ。やってみて?」
「う…ん」
その、口元にあるヘタをパクリと口に入れて…えっと、確か歯?と舌を使うんだよね。
言われた通りにやってみるけど…アゴが疲れてきた。
でも…。
(…………ん?)
口の中でくっきり結ばれたヘタ。
「できた…」
舌の上に乗せたまま、べーっと出して見せた。
さすがの喰くんも驚いてる。
できてしまった…。
「わぁ、リイナちゃんて意外とテクニシャン?」
テクニシャンかは、わからないけど。
いとも簡単に出来てしまって、自分でもビックリしてる。
「これ、できない人もいるからね?」
「そうなの…?」
喰くんほどの早さではないとはいえ、自分の意外なスキルを知った。
実践する機会も、披露する機会もないだろうけど。
でも。
眼鏡の奥の瞳が、笑ったように見えたことに気づいた。
嫌な予感。
絶対に何かのスイッチが入ったと、そこそこ長い付き合いでわかる。
「リイナちゃん、実はテクニシャンなんだ?僕としたことが、気づかなかったな。」
「わ、わからない…よ…?」
ソファで。じりじりと距離を詰められる。
うわぁあ!絶対にスイッチ入った!!!
「いつも僕からするほうだったから、君は受け身だったもんね。じゃあ…今日はリイナちゃんからキスをしてみてよ。うんと激しく。」
「……はい!?嫌だよ!!」
逃げようとしたけど背中からしっかり捕まって、頬に手が添えられた。
獲物を見つけたときみたいな…そんな瞳。
「してもらうほうが好き?大丈夫、恥ずかしいなら眼鏡を外すよ。」
「…いやいや!!それ目が悪いからかけているわけじゃないでしょ!!」
むしろ余計に見えちゃうでしょ!!
狼狽える私に、喰くんは余計に笑った。
「じゃあ、目を瞑っているから。ほら…早く。」
「う…。」
喰くんは本当に目を瞑って、受け身の体勢に入った。
やるまで離してくれないんだろうなぁ。
諦めるしかない。
(えーーい!!!)
覚悟を決めて、そっと顔を近づけて唇を開いた。
チュッとただ当てるだけのキスではなく、まるで鳥がお互いのクチバシを食み合うような、バードキスのために。
開いた唇で喰くんの唇を食み包むと、軽く唇が開かれた。
ええと、このあと喰くんはどうしていたっけ。
いつも私が受けていたキスを必死に思い出してみる。
確か…と、舌を恐る恐る入れて唇を舐めた。
私、これをされるのが結構好きなの。
くすぐったくて、愛しい気持ちになるから。
だんだんと、喰くんにも同じ気持ちを感じて欲しくて、舌先を口内に差し入れた。
上顎をくすぐって、おとなしくしている喰くんの舌の裏側に、私の舌を差し入れて掬い上げ、絡めた。
少しづつ喰くんもノッてきて、絡ませ合って吐息が漏れる。
「んっ…」
「………」
ああ、ヤバいかも。
火がついたみたいに、体が燃えていく。
喰くんが欲しくなる。
「ちゅっ…ん……」
キスが…気持ちいい。
ゾクゾクする。
お願い喰くん。喰くんからも、してほしい。
焦らされるようにおとなしかった喰くんが、まるで私のそんな気持ちを感じ取ったか、いきなり舌を絡めてきた。
「んんっ」
後頭部を押さえつけられて、貪るように唇と口内、両方を犯されていく。
私も自然と喰くんの首に両腕を回して、受け入れた。
お互いに息苦しくなるころ、そっと離した唇が濡れてる。
「うん、リイナちゃんのキス、気持ち良かったよ。」
「そう…?」
親指で唇を拭われ、ウットリとした瞳で見つめられた。
「たまには受け身もいいかもね?」
「もう勘弁して…。」
恥ずかしくて死にそう。
途中で、つい燃えてしまったけど。
くすくす…と笑いながら、優しく頭を撫でられた。
「さっきのキスもそうだけどね?その前にヘタを結ぶのに、口が動いていたでしょう?」
「うん?」
「そのあとリイナちゃんがヘタを乗せたまま舌を出すから…ちょっと、ムラッときちゃったんだよね…?」
「……え。」
よくよく見ると、喰くんの瞳には欲を含んだ男の色が浮かんでいる。
うわぁ、余計なことをした。
絶対に離してくれなくなる。
「いっぱいキスしてあげる。もちろん、それ以外もね?」
「!いらない!!」
「君がしてくれてもいいよ。そのテクニックで僕の…」
と、ガチャガチャとベルトを外し始めたので身構えた。
「何をさせる気!!?」
「さぁ?何を想像したのかな?」
「へ…変態ー!!」
「その変態が好きなんでしょ?」
アゴを掴まれて
片手は私の指に指を通して繋がれた。
「リイナちゃんはねぇ…蝶みたいにキレイだけど、いつもひらひら自由だから、いい加減に捕まってくれない?」
「喰くんは蜘蛛?」
「一緒に飛ぶんじゃないんだ?いいけどね。じゃあ…君の行く先々で、糸を張って待っていてあげる。赤い糸でね?」
私は、とっくに捕らわれているよ?
喰くんが好きだもの。
離れたくなんて、ないもの。
「キスしようか。」
絡めとられたら離れるなんてできない、蜘蛛の糸。
私はもうずっと、あなたの作る巣に捕らわれているよ。
おわり