一万打ヒット記念短編集
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ニャンペローナ(與儀)
『猫は少女に夢を』
「はいはぁい、押さないでね。並んでねー?」
パレードの真っ最中、與儀はいつものようにニャンペローナに入って子供たちにキャンディバーを配っていた。
笑顔の花が咲く子供たちに心がほっこりしながら。
「じゃあみんな!また会おうね!バイバイペローナ☆」
あらかた配り終わり少し子供たちの相手をしたあと、與儀はそう言って手を振り、パレードの列に加わった。
(ふふ…今日も子供たちに喜んでもらえたぁ!!)
今夜は自分もいい夢が見られそうだと、着ぐるみの中で笑顔になる。
もうすぐ行列の終わり、休憩スペースであるテントに辿りつきそうになったとき、與儀…もといニャンペローナは、やたらにキョロキョロと列を見回している女の子を見つけた。
パレードが好きなのかな?と思いながら歩いていると、バッチリ目が合った。
(ツクモちゃんくらいの歳の女の子だ。)
可愛らしい顔にはどこか、憂いと必死さが伝わり、パレードを楽しんでいるようには見えない。
街の人みんなに楽しんで欲しいと思っている與儀は、彼女のことがなんだか気になった。
「ニャンペローナ!!」
女の子は自分と目が合った瞬間、小走りに駆け寄ってくる。
途中で通行人にぶつかり、弾き飛ばされて転んでしまった。
それを見た與儀は慌てて彼女に駆け寄った。
「大丈夫!?」
女の子は痛そうに顔を歪めている。
手を差し伸べてあげると、見上げながら遠慮がちにその手を取って立ち上がった。
「ありがとう、ニャンペローナ。」
「ううん!怪我はないかにゃ?」
「大丈夫!!」
女の子はそう言って笑った。
「パレードは楽しんでる?」
「うん…」
先程までの憂い顔が気になって、言葉を紡いだ。
すると、笑顔だった女の子はまた憂いを伴った表情になり、俯いてしまった。
笑顔にしてあげなきゃ。
與儀はそう思い、カゴから残り少なくなったキャンディバーを出して、渡した。
「はい、君にもあげちゃうっ。」
女の子は驚き、そしてまた笑って受け取った。
「ありがとう。」
小さな子供と違い、着ぐるみからお菓子をもらって喜ぶ歳ではなさそう…。
いやいや、いくつだろうと、夢を配るのが仕事!!
この笑顔は本物だ。
「あ、あのねニャンペローナ…ちょっと聞きたいことがあるの。」
「うん?なあに?」
女の子は少し気まずそうに視線を泳がせ、そしてなにかを決意したかのように真っ直ぐ見つめてきた。
「輪の人に直接会うことはできないかな」
「え?直接?どうして?」
「あの……」
闘員は何人かパレードに参加して歩いたり、ショーに出ていたはずだ。
それだけではなく、本当に直接会いたいということだろうか。
「一斉捜査のときにね、ちょっと危ない目に遭いかけて。助けてもらったの。一言お礼が言いたくて探しているんだけど、見つからないんだ。」
ああ…だから、あんなに必死にパレードを見ていたんだ。
納得した。
会わせてはあげたいけど…ちょっと難しいかもしれない。
「ちなみに、どんな人か覚えてるかにゃ?」
「えと…金髪の人。」
(金髪?ツクモちゃんかな)
ツクモならばショーに参加している。
探さなくとも、姿を見ようと思えばできるはず。
…………あれ?と、ふと気づいた。
彼女の表情に、「お礼」「感謝」のほかに、なにか別の感情が含まれていることに。
「金髪で、ほかには…?」
「背が高くて、両手に剣を持っていたよ。」
(それ俺だーーっ!!!)
たしかに先日一斉捜査には参加していたが、まさかそのときに…女の子を助けていたっけ…。
どうしよう…と思った。
まさか正体を明かすのは今さら憚られる。
なにより、彼女の表情に浮かぶ感情。
いくら與儀でも気づく。
うっすら赤く染まった頬に、うるんだ瞳。
(うぅ…)
「あのね、本当に…一言、お礼が言えたらそれでいいの。パレードが終わったら、輪とはお別れでしょ…?」
「そう、だね…」
このパレードが終われば、輪はまた飛び去ることになる。
次にまた会えるかは…わからない。
だからこそ必死になっているのだろう。
ニャンペローナは夢を与えるのが使命。
ならば彼女にも夢をあげたい。
それは山々あるのだけど。
「えーとね、ちょっと直接は難しいかな…」
「そう…」
とてもガッカリした顔に胸が痛んだ。
休憩スペースで着ぐるみを脱ぎ、会えばそれで済む。
しかし…あまり一般人と関わっていいのだろうか。
「でもね、君の気持ちはちゃあんと、俺が伝えるからね?」
「本当?」
「うん!なんだったら俺宛に手紙をちょうだい?渡してあげる。」
「あ…ありがとう…!!」
「君の名前を聞いていいかにゃ~?」
「リイナです!」
「リイナちゃん?可愛いお名前だね。」
可愛らしい彼女にぴったりだ。
先程までの憂いはどこへやら、すっかり笑顔を取り戻したことに安堵した。
ごめんね、会ってあげられなくて。
ズキッと胸が痛む。
「あの人の名前…だけ、聞いちゃダメかな?」
「えっとね…與儀、だよ。」
「與儀さん…素敵な名前だね。」
「そうかにゃあ?」
名前を褒められることはあまりなくて、ガラにもなく照れてしまった。
ありがとうね?
何度も心の中で繰り返す。
これも出会い。
そして…別れ。
「会えないのは残念だけど…助けてもらって嬉しかった。本当にありがとう。そう伝えてくれる?」
「もっちろん!」
ちゃぁんと伝わったよ?
君の気持ちは。
「ありがとー!!」
「わわっ」
女の子…リイナはニャンペローナに飛びつき、與儀はそれを受け止めた。
もふもふの肉球で頭を撫でてあげると、くすぐったそうに笑った。
「ニャンペローナにも会えて嬉しい!絶対に手紙を書くからね?」
「待ってるね。…あ、そうだ。」
「?」
與儀は彼女をそっと離して、3歩ほど後ろに下がった。
「リイナちゃんのためだけに!!みなぎる男子の心意気!!」
ポーズを取ってニャンペローナで名乗りをする。
リイナは驚いた顔をして、そしてまた笑った。
「じゃあそろそろお別れ。バイバイペローナ☆」
「うん!バイバイペローナ!!ニャンペローナのこと、うんと大好きになったよ!」
「ありがと!!」
ニャンペローナの中で與儀はニッコリ笑い、名残惜しく思いながらその場を去った。
これで彼女とお別れなんだ。
いいのかなぁ…よかったのかなぁ…という気持ちになる。
休憩テントには、すでに到着して休憩をとっている闘員が何人かいた。
「あら與儀、遅かったわね。」
イヴァは席に着いてお茶を飲んでいる。
「ちょっとね。」
頭を取って、タオルで顔に流れる汗を拭く。
ニャンペローナの出番は、終わった。
今日も素敵な出会いがいっぱいあった。
次の街でも、きっとたくさん出会いがあるだろう。
(でも、よかったのかな…)
これでよかったのか。
夢を与えるのがニャンペローナの使命で。
そのニャンペローナになるのは自分の使命。
彼女に、夢を与えることはできただろうか。
(一言、お礼を…か。)
「姐さん、俺ちょっと抜けます。」
「え?帰ってきたばかりじゃないの。」
「ちょっとだけ!」
與儀はその場でバサッと着ぐるみを脱ぎ、テントを抜けて飛んだ。
上から見下ろした街はまだパレードが少し続いて賑わっている。
先程リイナと話した場所のあたりを中心に視線をめぐらせると、一人歩いていく彼女を見つけた。
「リイナちゃん!!」
突然名前を呼ばれたリイナは、立ち止まって回りをキョロキョロしている。
まさか上にいるとは思っていないのだろう。
「リイナちゃーん!!」
もう一度呼ぶと、リイナは今度は上を向いた。
與儀の姿を見て、非常に驚いた顔をしている。
與儀はとびきりの笑顔で、リイナに大きく手を振った。
リイナも最高の笑顔になり、両手を挙げて振っている。
ありがとう、と全身で表現するように。
伝わったよ、君の気持ち。
俺の気持ちは、伝わったかな。
後日、ニャンペローナ宛に彼女から心からのお礼の手紙が届いて…
與儀はまた笑顔になった。
「さぁ、次も頑張るぞ!!」
大事に大事に、その手紙をしまった。
おわり
ニャンペローナメインなので恋愛なしですみません。
『猫は少女に夢を』
「はいはぁい、押さないでね。並んでねー?」
パレードの真っ最中、與儀はいつものようにニャンペローナに入って子供たちにキャンディバーを配っていた。
笑顔の花が咲く子供たちに心がほっこりしながら。
「じゃあみんな!また会おうね!バイバイペローナ☆」
あらかた配り終わり少し子供たちの相手をしたあと、與儀はそう言って手を振り、パレードの列に加わった。
(ふふ…今日も子供たちに喜んでもらえたぁ!!)
今夜は自分もいい夢が見られそうだと、着ぐるみの中で笑顔になる。
もうすぐ行列の終わり、休憩スペースであるテントに辿りつきそうになったとき、與儀…もといニャンペローナは、やたらにキョロキョロと列を見回している女の子を見つけた。
パレードが好きなのかな?と思いながら歩いていると、バッチリ目が合った。
(ツクモちゃんくらいの歳の女の子だ。)
可愛らしい顔にはどこか、憂いと必死さが伝わり、パレードを楽しんでいるようには見えない。
街の人みんなに楽しんで欲しいと思っている與儀は、彼女のことがなんだか気になった。
「ニャンペローナ!!」
女の子は自分と目が合った瞬間、小走りに駆け寄ってくる。
途中で通行人にぶつかり、弾き飛ばされて転んでしまった。
それを見た與儀は慌てて彼女に駆け寄った。
「大丈夫!?」
女の子は痛そうに顔を歪めている。
手を差し伸べてあげると、見上げながら遠慮がちにその手を取って立ち上がった。
「ありがとう、ニャンペローナ。」
「ううん!怪我はないかにゃ?」
「大丈夫!!」
女の子はそう言って笑った。
「パレードは楽しんでる?」
「うん…」
先程までの憂い顔が気になって、言葉を紡いだ。
すると、笑顔だった女の子はまた憂いを伴った表情になり、俯いてしまった。
笑顔にしてあげなきゃ。
與儀はそう思い、カゴから残り少なくなったキャンディバーを出して、渡した。
「はい、君にもあげちゃうっ。」
女の子は驚き、そしてまた笑って受け取った。
「ありがとう。」
小さな子供と違い、着ぐるみからお菓子をもらって喜ぶ歳ではなさそう…。
いやいや、いくつだろうと、夢を配るのが仕事!!
この笑顔は本物だ。
「あ、あのねニャンペローナ…ちょっと聞きたいことがあるの。」
「うん?なあに?」
女の子は少し気まずそうに視線を泳がせ、そしてなにかを決意したかのように真っ直ぐ見つめてきた。
「輪の人に直接会うことはできないかな」
「え?直接?どうして?」
「あの……」
闘員は何人かパレードに参加して歩いたり、ショーに出ていたはずだ。
それだけではなく、本当に直接会いたいということだろうか。
「一斉捜査のときにね、ちょっと危ない目に遭いかけて。助けてもらったの。一言お礼が言いたくて探しているんだけど、見つからないんだ。」
ああ…だから、あんなに必死にパレードを見ていたんだ。
納得した。
会わせてはあげたいけど…ちょっと難しいかもしれない。
「ちなみに、どんな人か覚えてるかにゃ?」
「えと…金髪の人。」
(金髪?ツクモちゃんかな)
ツクモならばショーに参加している。
探さなくとも、姿を見ようと思えばできるはず。
…………あれ?と、ふと気づいた。
彼女の表情に、「お礼」「感謝」のほかに、なにか別の感情が含まれていることに。
「金髪で、ほかには…?」
「背が高くて、両手に剣を持っていたよ。」
(それ俺だーーっ!!!)
たしかに先日一斉捜査には参加していたが、まさかそのときに…女の子を助けていたっけ…。
どうしよう…と思った。
まさか正体を明かすのは今さら憚られる。
なにより、彼女の表情に浮かぶ感情。
いくら與儀でも気づく。
うっすら赤く染まった頬に、うるんだ瞳。
(うぅ…)
「あのね、本当に…一言、お礼が言えたらそれでいいの。パレードが終わったら、輪とはお別れでしょ…?」
「そう、だね…」
このパレードが終われば、輪はまた飛び去ることになる。
次にまた会えるかは…わからない。
だからこそ必死になっているのだろう。
ニャンペローナは夢を与えるのが使命。
ならば彼女にも夢をあげたい。
それは山々あるのだけど。
「えーとね、ちょっと直接は難しいかな…」
「そう…」
とてもガッカリした顔に胸が痛んだ。
休憩スペースで着ぐるみを脱ぎ、会えばそれで済む。
しかし…あまり一般人と関わっていいのだろうか。
「でもね、君の気持ちはちゃあんと、俺が伝えるからね?」
「本当?」
「うん!なんだったら俺宛に手紙をちょうだい?渡してあげる。」
「あ…ありがとう…!!」
「君の名前を聞いていいかにゃ~?」
「リイナです!」
「リイナちゃん?可愛いお名前だね。」
可愛らしい彼女にぴったりだ。
先程までの憂いはどこへやら、すっかり笑顔を取り戻したことに安堵した。
ごめんね、会ってあげられなくて。
ズキッと胸が痛む。
「あの人の名前…だけ、聞いちゃダメかな?」
「えっとね…與儀、だよ。」
「與儀さん…素敵な名前だね。」
「そうかにゃあ?」
名前を褒められることはあまりなくて、ガラにもなく照れてしまった。
ありがとうね?
何度も心の中で繰り返す。
これも出会い。
そして…別れ。
「会えないのは残念だけど…助けてもらって嬉しかった。本当にありがとう。そう伝えてくれる?」
「もっちろん!」
ちゃぁんと伝わったよ?
君の気持ちは。
「ありがとー!!」
「わわっ」
女の子…リイナはニャンペローナに飛びつき、與儀はそれを受け止めた。
もふもふの肉球で頭を撫でてあげると、くすぐったそうに笑った。
「ニャンペローナにも会えて嬉しい!絶対に手紙を書くからね?」
「待ってるね。…あ、そうだ。」
「?」
與儀は彼女をそっと離して、3歩ほど後ろに下がった。
「リイナちゃんのためだけに!!みなぎる男子の心意気!!」
ポーズを取ってニャンペローナで名乗りをする。
リイナは驚いた顔をして、そしてまた笑った。
「じゃあそろそろお別れ。バイバイペローナ☆」
「うん!バイバイペローナ!!ニャンペローナのこと、うんと大好きになったよ!」
「ありがと!!」
ニャンペローナの中で與儀はニッコリ笑い、名残惜しく思いながらその場を去った。
これで彼女とお別れなんだ。
いいのかなぁ…よかったのかなぁ…という気持ちになる。
休憩テントには、すでに到着して休憩をとっている闘員が何人かいた。
「あら與儀、遅かったわね。」
イヴァは席に着いてお茶を飲んでいる。
「ちょっとね。」
頭を取って、タオルで顔に流れる汗を拭く。
ニャンペローナの出番は、終わった。
今日も素敵な出会いがいっぱいあった。
次の街でも、きっとたくさん出会いがあるだろう。
(でも、よかったのかな…)
これでよかったのか。
夢を与えるのがニャンペローナの使命で。
そのニャンペローナになるのは自分の使命。
彼女に、夢を与えることはできただろうか。
(一言、お礼を…か。)
「姐さん、俺ちょっと抜けます。」
「え?帰ってきたばかりじゃないの。」
「ちょっとだけ!」
與儀はその場でバサッと着ぐるみを脱ぎ、テントを抜けて飛んだ。
上から見下ろした街はまだパレードが少し続いて賑わっている。
先程リイナと話した場所のあたりを中心に視線をめぐらせると、一人歩いていく彼女を見つけた。
「リイナちゃん!!」
突然名前を呼ばれたリイナは、立ち止まって回りをキョロキョロしている。
まさか上にいるとは思っていないのだろう。
「リイナちゃーん!!」
もう一度呼ぶと、リイナは今度は上を向いた。
與儀の姿を見て、非常に驚いた顔をしている。
與儀はとびきりの笑顔で、リイナに大きく手を振った。
リイナも最高の笑顔になり、両手を挙げて振っている。
ありがとう、と全身で表現するように。
伝わったよ、君の気持ち。
俺の気持ちは、伝わったかな。
後日、ニャンペローナ宛に彼女から心からのお礼の手紙が届いて…
與儀はまた笑顔になった。
「さぁ、次も頑張るぞ!!」
大事に大事に、その手紙をしまった。
おわり
ニャンペローナメインなので恋愛なしですみません。