ショートショート・ストーリー集
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「リイナ、どうした?こんなに沢山のメンズ雑誌を開いたりして。」
「⋯あ!ひ、平門さん⋯」
「今度のパレードで男装でもするのか?」
「ええと、違くて、あの⋯⋯」
「ん?」
「⋯この際、サプライズは諦めて直接聞いちゃいますね。平門さん、10月がお誕生日でしょう?何か欲しい物はありますか?」
「ああ、それで。祝ってくれるつもりだったのか。」
「すみません。私、平門さんがどんなものが好きかを知らなくて。とりあえず男性の今の流行りのものや定番のプレゼントとか、色々見ていたんですけど。」
「⋯⋯⋯ふむ。ひとつ欲しい物なら、あるな。」
「!!それ、教えてください!!私でも用意できますか?高価でも頑張ります!」
「ふっ⋯どんな高価なものでも、俺のために頑張ってくれるのか?」
「う⋯艇長のお給料でも厳しいくらい高い、ですか⋯⋯?」
「そうだな、希少性ならかなり高い。ずっと手に入れたいと願っているが、なかなか難しいな。」
「⋯⋯一応、聞いてもいいですか?」
「お菓子だ。」
「へ?お菓子??」
「ああ、お菓子が欲しい。」
「ええと⋯かなり手に入れるのが難しい珍しいお菓子とかですか?すごく高級な、有名パティシエが滅多に作らない、とか。遠い異国にしかないとか。」
「用意するのは難しいか?」
「⋯う、うーん⋯お金はなんとかできても、それだけ希少なのは⋯すぐにはちょっと⋯⋯。」
「お前に用意できるものもあるぞ。お菓子が難しいならそちらでも構わないが。むしろそちらのほうが望ましい。」
「え!?なんですか!?用意します!!」
「それを、俺にくれるか?」
「はい!絶対にプレゼントしますから!!」
「⋯⋯⋯ふっ」
「?平門さん?なんで笑っているんです?」
「いや。⋯そういえば、異国と言えばリイナは毎年10月に異国にあるとある伝統の祭りのことを知っているか?」
「え?⋯知らない、です。」
「イタズラをしにやってくる悪魔やお化けに、彼らが求める品を納めてイタズラをしないようにしてもらう祭りらしい。まあ、本来の古代の儀式が今は色々と混ざっているらしいが。」
「へえ、そうなんですか。納めなかったらイタズラされてしまうんですか?」
「そうだ。そうなったら大変なことになるな。⋯さて、リイナ。」
「はい。」
「悪魔が求める品とは、なんだと思う?」
「え?⋯えーと⋯⋯悪魔⋯⋯供物、ってことですよね。古代からの儀式だし⋯え、生贄とか!?」
「まさか。彼らの求める品⋯それは、お菓子だ。」
「え?お、お菓子?⋯っ?」
「そう、お菓子を与えなければ大変なイタズラをされてしまう。⋯用意できなければ、どうなってしまうのだろうな?」
「⋯っ⋯ひ、平門さ⋯なんで、私の背中⋯抱きしめ⋯っ」
「リイナ。お前が俺の欲しいお菓子が用意できないのであれば、代わりにお前が用意できるものを差し出さなければならないが。⋯どうする?」
「な、なな、な、なんで、すか!?何を、用意、すれば⋯ていうか、ちょっ、離して⋯っ」
「お前は既に持っているだろう?お菓子より甘く、世界にただひとつしかない希少な、金では買えないほど貴重なものを。今、俺の腕の中にあるだろう。」
「えっ!!??」
「絶対に用意するんだろう?先ほど言質は取ったからな。俺にプレゼントしてくれると。楽しみだな。」
「え、え?あ、あの、⋯え???⋯や!ちょっ!どこ触っ⋯!!」
「用意できないと言うなら、イタズラするまでだ。」
「イタズラ!?って、え!?」
「さてどうする?トリックオアトリート。⋯お菓子をくれなきゃイタズラするぞ。」
「えええっ!!??」
「代わりのものを用意してくれるならそちらを存分に味わってやろう。さあ選べ、用意して味わわれるか、用意せずイタズラされるか。お前はどちらを選ぶ?」
「それどちらにしろ⋯っ⋯!!ぎゃーーっ!!!!どこに連れ去る気ですか!!??」
「ちなみに俺はお菓子が一番欲しいとは一言も言っていないからな。俺が一番欲しいものは、リイナにしか用意できない。お菓子はあくまでそれを手に入れるための口実だ。さあそれでも俺が満足するお菓子を用意できるか?できなければその身を差し出すか、差し出したくなるまでイタズラするか⋯⋯。」
「あ!悪魔ーーっ!!!本物の!!悪魔!!!」
「ずっと欲しかったものがようやく手に入るとは。最高の誕生日祝いになりそうだ。さあ俺の部屋で2人きりで誕生日をたっぷりと祝ってもらおうか。」
「悪魔に生贄にされるーーっっ!!!」
お菓子をくれなきゃハッピーバースデー
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