一万打ヒット記念短編集
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嘉禄
『サラサラとした流れの中で』
「嘉禄さんの髪、とてもキレイですね。」
ポットから注いだ紅茶からふわりと湯気が昇り、いい薫りが鼻をくすぐった。
「そうかな?…ありがとう。」
渡したカップを受けとりながら、嘉禄さんは優しく笑った。
本当に優しい人なんだなと、表情から読み取れる。
一応私も輪の闘員だから、ある程度なら人の感情を、表情から読み取れるつもり。
読ませない人もいるけどね。
「キラキラして、サラッとしていて羨ましいですよ。」
「それ昔、无にも言われたな。」
「无ちゃんに?」
「うん。初めて会った、无がまだニジだった時に。いきなり俺の髪をニジが食べていてビックリしたんだ。」
「ええ?髪を?」
「キラキラして、水に見えたんだって。」
「ああ、それ、なんだかわかります。」
日に透けるとキラキラして、サラッと輝く水色の髪。
羨ましくなっちゃうくらいに。
水と間違えたニジの无ちゃん。
髪を食べられて驚いた嘉禄さん。
想像してみたら、微笑ましかった。
「リイナさんの髪もキレイだよ?」
「え!?」
ニコッと笑った顔は、おせじや冗談を言っているようには見えない。
だから、妙にドキドキしてしまう。
「女の子の髪って、男とはちょっと違うしね。感触とか柔らかさが。」
「そうですか…?」
他意はないとわかっていても、恥ずかしくなる。
髪を褒められるなんて、普段あまりないから。
「まぁ、言えるほど触ったことはないんだけど。」
「それは嘘でしょう?」
「本当だよ。」
絶対に冗談だと思ってクスクス笑いながらカップに口をつけたけれど、嘉禄さんはニコッと口角を上げた穏やかな微笑みで私を見ている。
嘘…じゃない?
嘉禄さんなら…女の子が放っておかなかったでしょう…?
おかしいな…
ドキドキしすぎて人相を読めなくなっちゃったかな。
そういえば、どうして私はドキドキしているんだろう。
勝手に一人気まずくて、どうにかしたくて、どんどん紅茶を飲んでカップが空になっていく。
喉が渇いているわけでもないのにね。
なんとかごまかそうと、ポットを持って二杯目を注ぐ。
「好きなの?」
「えっ!?」
「紅茶、好きなの?」
…え、ああ、紅茶!?紅茶ね!?
「あ、は、はい。好きです。すっごく好きです!!」
「そうなんだ。さっきからすごく飲んでるから。」
び、びっくりした。
なにを動揺しているんだろう。
…なにと、間違えたの?私………おかしいよ。
「それじゃあ、紅茶の有名な産地を知ってる?」
「え?産地?」
「今度、もし艇で寄ることがあったら、是非行ってみて。世界中の紅茶も揃っているみたいだから。」
「あ…ありがとうございます。」
正直、あまり紅茶の種類を気にしたことはない。
でも…嘉禄さんがそう言うなら…。ちょっと気になった。
行ってみたくなった。
それまでにたくさん勉強して、美味しい紅茶を飲んでもらいたい…って、思ったの。
パチッと目が合って、フッとそらしてカップに目を落とした。
私の顔を映した紅茶が揺れてる。
「買ってきてあげられたらいいんだけどね…ごめんね。」
「え!?どうして嘉禄さんが謝るんです!?」
「守られるばかりで、返せることが何もなくて。」
「そんなことないですよ。无ちゃんはずっと嘉禄さんを探していましたし…嘉禄さんのおかげで、きっと火不火との戦いも進展に向かいますよ…。」
「………そっか。」
一生懸命に私なりに言葉にしてみたけれど、なぜか嘉禄さんは浮かない顔のまま。
どうしてだろう。
どうしたらいい?
「私も嘉禄さんと知り合えて嬉しいですよ?」
これは本当だよ。
知り合えて嬉しいよ。
だけど、やっぱり嘉禄さんは笑わない。
「火不火との戦いが進展したら…当然、リイナさんも戦いに出るんだよね…?」
「はい、もちろんですよ。絶対に倒してみせますから安心してください!」
「そうだね。リイナさんは輪だから…当然、行くよね。」
さっきまで見つめていた紅茶みたいに、嘉禄さんの瞳が私を映しながら揺れている。
今度は何故かそらせなくて、見つめ合ってしまう。
「絶対に、無事に帰ってくるって約束してくれる?」
「まだ先の話ですよ?いつになるかわかりませんし…」
「お願いだから。…約束してほしい。」
私の言葉をさえぎり声を荒くして話すなんて、珍しい。
驚いて黙ってしまったけど、かわりに首を縦に振った。
「約束だよ。」
「は、い…。」
本当にどうしたの…?
わからなくて視線をさ迷わせると、いつの間にか嘉禄さんのカップが空になっていることに気づいた。
「あ、おかわり入れます…」
テーブルに置かれたそのカップに手を伸ばしたとき、その手を握られた。
(………え?)
すぐそこに、嘉禄さんの顔があった。
「本当は怖いんだ。この記憶で火不火との本格的な戦いが始まって…一生懸命に、守ってくれたみんなが戦いに行くのが。傷つくのが。」
「嘉禄さん…」
「でもなにより一番、君が傷つくのが怖い。」
「え…」
「君が傷ついたらいくらでも治療するよ。だけどできたら少しでも無事に戻ってきて…無茶だとはわかっているけど。せめて命だけは絶対に無事に…。」
揺れた瞳が近づいてきたかと思うと、閉じたと同時に唇に柔らかいものが当たった。
嘉禄さんの……唇?
なんで私、いま嘉禄さんにキスをされているの?
なんで私、逃げも拒みもせずに、じっと受け入れているの…?
なんで私、目を…閉じたの…。
スルッ…と、優しい指が私の髪を撫でた。
「やっぱりリイナさんの髪、やわらかくてキレイだね。」
毛先にまで口づけられ、心臓が高鳴った。
「好きなんだ…君が。」
だから絶対に無事に戻ってきて。
嘉禄さんはそう言って、また私にキスをした。
私は黙って、赤くなった顔を縦に振った。
必ずこの人の元に帰ると、自分にかたく誓って。
おわり
嘉禄の穏やかな笑顔が好きです。
『サラサラとした流れの中で』
「嘉禄さんの髪、とてもキレイですね。」
ポットから注いだ紅茶からふわりと湯気が昇り、いい薫りが鼻をくすぐった。
「そうかな?…ありがとう。」
渡したカップを受けとりながら、嘉禄さんは優しく笑った。
本当に優しい人なんだなと、表情から読み取れる。
一応私も輪の闘員だから、ある程度なら人の感情を、表情から読み取れるつもり。
読ませない人もいるけどね。
「キラキラして、サラッとしていて羨ましいですよ。」
「それ昔、无にも言われたな。」
「无ちゃんに?」
「うん。初めて会った、无がまだニジだった時に。いきなり俺の髪をニジが食べていてビックリしたんだ。」
「ええ?髪を?」
「キラキラして、水に見えたんだって。」
「ああ、それ、なんだかわかります。」
日に透けるとキラキラして、サラッと輝く水色の髪。
羨ましくなっちゃうくらいに。
水と間違えたニジの无ちゃん。
髪を食べられて驚いた嘉禄さん。
想像してみたら、微笑ましかった。
「リイナさんの髪もキレイだよ?」
「え!?」
ニコッと笑った顔は、おせじや冗談を言っているようには見えない。
だから、妙にドキドキしてしまう。
「女の子の髪って、男とはちょっと違うしね。感触とか柔らかさが。」
「そうですか…?」
他意はないとわかっていても、恥ずかしくなる。
髪を褒められるなんて、普段あまりないから。
「まぁ、言えるほど触ったことはないんだけど。」
「それは嘘でしょう?」
「本当だよ。」
絶対に冗談だと思ってクスクス笑いながらカップに口をつけたけれど、嘉禄さんはニコッと口角を上げた穏やかな微笑みで私を見ている。
嘘…じゃない?
嘉禄さんなら…女の子が放っておかなかったでしょう…?
おかしいな…
ドキドキしすぎて人相を読めなくなっちゃったかな。
そういえば、どうして私はドキドキしているんだろう。
勝手に一人気まずくて、どうにかしたくて、どんどん紅茶を飲んでカップが空になっていく。
喉が渇いているわけでもないのにね。
なんとかごまかそうと、ポットを持って二杯目を注ぐ。
「好きなの?」
「えっ!?」
「紅茶、好きなの?」
…え、ああ、紅茶!?紅茶ね!?
「あ、は、はい。好きです。すっごく好きです!!」
「そうなんだ。さっきからすごく飲んでるから。」
び、びっくりした。
なにを動揺しているんだろう。
…なにと、間違えたの?私………おかしいよ。
「それじゃあ、紅茶の有名な産地を知ってる?」
「え?産地?」
「今度、もし艇で寄ることがあったら、是非行ってみて。世界中の紅茶も揃っているみたいだから。」
「あ…ありがとうございます。」
正直、あまり紅茶の種類を気にしたことはない。
でも…嘉禄さんがそう言うなら…。ちょっと気になった。
行ってみたくなった。
それまでにたくさん勉強して、美味しい紅茶を飲んでもらいたい…って、思ったの。
パチッと目が合って、フッとそらしてカップに目を落とした。
私の顔を映した紅茶が揺れてる。
「買ってきてあげられたらいいんだけどね…ごめんね。」
「え!?どうして嘉禄さんが謝るんです!?」
「守られるばかりで、返せることが何もなくて。」
「そんなことないですよ。无ちゃんはずっと嘉禄さんを探していましたし…嘉禄さんのおかげで、きっと火不火との戦いも進展に向かいますよ…。」
「………そっか。」
一生懸命に私なりに言葉にしてみたけれど、なぜか嘉禄さんは浮かない顔のまま。
どうしてだろう。
どうしたらいい?
「私も嘉禄さんと知り合えて嬉しいですよ?」
これは本当だよ。
知り合えて嬉しいよ。
だけど、やっぱり嘉禄さんは笑わない。
「火不火との戦いが進展したら…当然、リイナさんも戦いに出るんだよね…?」
「はい、もちろんですよ。絶対に倒してみせますから安心してください!」
「そうだね。リイナさんは輪だから…当然、行くよね。」
さっきまで見つめていた紅茶みたいに、嘉禄さんの瞳が私を映しながら揺れている。
今度は何故かそらせなくて、見つめ合ってしまう。
「絶対に、無事に帰ってくるって約束してくれる?」
「まだ先の話ですよ?いつになるかわかりませんし…」
「お願いだから。…約束してほしい。」
私の言葉をさえぎり声を荒くして話すなんて、珍しい。
驚いて黙ってしまったけど、かわりに首を縦に振った。
「約束だよ。」
「は、い…。」
本当にどうしたの…?
わからなくて視線をさ迷わせると、いつの間にか嘉禄さんのカップが空になっていることに気づいた。
「あ、おかわり入れます…」
テーブルに置かれたそのカップに手を伸ばしたとき、その手を握られた。
(………え?)
すぐそこに、嘉禄さんの顔があった。
「本当は怖いんだ。この記憶で火不火との本格的な戦いが始まって…一生懸命に、守ってくれたみんなが戦いに行くのが。傷つくのが。」
「嘉禄さん…」
「でもなにより一番、君が傷つくのが怖い。」
「え…」
「君が傷ついたらいくらでも治療するよ。だけどできたら少しでも無事に戻ってきて…無茶だとはわかっているけど。せめて命だけは絶対に無事に…。」
揺れた瞳が近づいてきたかと思うと、閉じたと同時に唇に柔らかいものが当たった。
嘉禄さんの……唇?
なんで私、いま嘉禄さんにキスをされているの?
なんで私、逃げも拒みもせずに、じっと受け入れているの…?
なんで私、目を…閉じたの…。
スルッ…と、優しい指が私の髪を撫でた。
「やっぱりリイナさんの髪、やわらかくてキレイだね。」
毛先にまで口づけられ、心臓が高鳴った。
「好きなんだ…君が。」
だから絶対に無事に戻ってきて。
嘉禄さんはそう言って、また私にキスをした。
私は黙って、赤くなった顔を縦に振った。
必ずこの人の元に帰ると、自分にかたく誓って。
おわり
嘉禄の穏やかな笑顔が好きです。