(甘)望みはただあなたのぬくもり
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しょんぼりとしていると、思っていたよりずっと早く帰ってきたのか、小走りに階段を登る音が聞こえた。
ええ?もうコンビニから帰ってきたの!?
「ただいま!まずは薬を飲んだほうがいいよね。飲める?」
そう言いながら私を抱き起こし、胃に何かをいれたほうがいいとゼリーをスプーンで掬い差し出された。
恥ずかしいけどそうも言っていられず、ドキドキしながら口に入れた。
みかんの甘酸っぱい味。
「いま、お粥を用意するから。ほら、薬。」
「早かったね…コンビニ…」
「コンビニ??…ああ!そっか。ゼリーはたまたまうちにあったから。薬は…トキヤからもらってきちゃった!」
「ええ!?」
ていうか、一ノ瀬くんも風邪とか引くのかな…。
一ノ瀬くんにまで迷惑かけちゃったな。
体調管理がなってない、とか怒られそうだけど。
「トキヤってば体調管理がなってないなんて言ってたけど、心配してたっぽいよ。何か胃に入れてから飲ませてってアドバイスしてくれたのも、トキヤだから。」
「そうなの…?」
ああ、やっぱり言われてた…。
でも、そっか。心配してくれたんだ。
音也くんは苦笑いしながら、もう一口ゼリーをくれた。
「俺じゃあ全然そんなのわかんないからさ…今度からもっと勉強するね。」
「じゃあ…音也くんが病気になったら…私が看病するから。言ってね。」
「うん、お願い。へへ、ちょっと楽しみかも?」
…私の大好きな、優しい笑顔。
なるべく病気はしてほしくないんだけど…もし、そうなったなら…。
全力でお世話しよう。
それから、お水でコクンと薬を飲み、ひんやり絞ったタオルを額に当ててもらった。
下に降りてお粥を作ってもらっている中、明らかに熱が上がってさらにつらくなって、すごく心細い。
一人で寝込むのは、こんなに寂しいなんて。
「うわっ!ちちっ!」
ガターンッ
…下から、なんか騒音がするけど、そういえば音也くんてお粥つくれるのかな…。
すっっごく不安になってきた…。
「かなでー、おまたせ…お粥が出来たけど…食べられそう?」
「おと…や、くん…」
そうだね、今は音也くんがいるね。
一人じゃない…寂しくない。
私のそんな表情を読み取ったのか、音也くんは私のそばにきて床に座り、私の手を握った。
「心細かった?大丈夫だよ、ずっと傍にいるから…」
「うん…」
繋いだ手から伝わるぬくもり。
それが愛しくて。
だんだん薬が効いてきたのか、眠気でとろんとしてきた…。
寝てしまえば、楽になるかな…。
「眠い?なら寝て。お粥は起きてからでもいいから…」
「う、ん……」
せっかく一緒にいるのに、もったいない気も、するけど…。
ずっと看病してもらうのも、申し訳ないね…。
「音也くんも…休んで…」
「君って…病気のときにまで、俺のことを心配しなくていいのにね…。」
そう言いながらも、音也くんも嬉しそう。
ゆっくり目を閉じて眠ろうとしたけれど…
今度は猛烈な寒気に襲われ、体が勝手にガタガタ震える。
さ、寒い…
深く布団を被ったけれど寒気はなくならず、震えが止まらない。
「寒い?」
額に乗せられていたタオルがなくなって、音也くんの手が離れた。
急に不安に襲われる。
「何か、他に掛けるものは……と。女の子の部屋をあまり物色するのもなぁ…どうしよ…。」
考えたすえ、音也くんはしばらく黙って困ったような、迷うような目で私を見た。
その間にも、私の体は寒さに震える。
寒くて眠れない。
やがて音也くんは、私のそんな姿に意を決した表情をした。
「…かなで、ごめんね?」
へ…?
と言葉にする間もなく、そっと掛け布団と毛布がめくられ、ゆっくりと音也くんが中に入ってくる。
え?え?
…えええっ!!??
こ、これは…添い寝!?
「ごめん、ちょっと恥ずかしいんだけど…我慢してね…?」
せまいベッドだから自然と体が密着して、私も顔が違う意味で熱く…音也くんも頬が赤く、目を伏せて私を見ないようにしている。
腕が私の背中に回ってすっぽり包まれて
髪に…額に、音也くんの息がかかる距離。
いつも抱き締められるのとは…全く違う…っ。
恥ずかしさに目が回りそう。
「あ…あのっ!あの…うつっちゃったら大変っだ!から…!」
「嫌?」
「ち、違、けど…っ!嫌じゃない、けど…っ」
嫌じゃない…
嫌じゃないけど…っ
「せめて、寒くなくなるまでと思ったんだけど…」
と、音也くんは起き上がり離れようとしたから、私は無意識に手を伸ばし、音也くんの服をつかんでいた。
私を包んでいたぬくもりが…なくなってしまったから。
「嫌じゃない…っ行かないで…」
「…っ…かなで…」
自分でも矛盾していると思う。
恥ずかしいし、うつしちゃいけないのに…。
もっといてほしいと、思ってる。
「…わかった」
そう言って、また抱き締めてくれる腕に安心してる。
いつのまに、こんなに音也くんじゃないと…音也くんがいないと、ダメになってしまったのだろう…。
温かいぬくもりに包まれて、だんだんと寒気がなくなっていく。
だけど、まだそれは言わない。
ドキドキはしているけれど、不快じゃない。
嬉しい…幸せなの。
そんな幸せなまどろみの中、ゆっくり私のまぶたが閉じそうになる。
その手前で、ゆっくりと私の服の第二ボタンまでが外され、ジーンズのボタンにも手がかけられた。
びっくりしてまた目を開けると、慌てた様子の音也くんが手を引っ込めた。
「ご、ごめ!!さすがに着替えは手伝えないから…せめて少しでも楽になるようにって…別に変な気を起こしたわけじゃないから!」
あ、私、外出の服のままだった…。
「へ…変な気…?」
「そうそう!!これ以上は何もしない…だから…眠って…?」
「あ…うん…」
でも確かに、ボタンが外れたことで体への圧迫感はなくなった。
ジーンズのまま眠るのは、少し窮屈だけれど…。
そこまで、気を使ってくれたんだ…。
やっぱり音也くんは、優しい人。
「あの…下に、昨日打ち込んだ音源があるから…後で聞いてみて」
「ああ、うん…わかった。」
髪や背中を優しく撫でられながら、今度こそ私は、ゆっくりと眠りに落ちていった。
「そう…看病を…しているだけ…変な気は起こさない…っ」
意識が夢の中に入る前に、何やら話す声が聞こえた気がしたけど…
そのあと目覚めたときには、覚えていなかった。
おわり
2013.07.08
ええ?もうコンビニから帰ってきたの!?
「ただいま!まずは薬を飲んだほうがいいよね。飲める?」
そう言いながら私を抱き起こし、胃に何かをいれたほうがいいとゼリーをスプーンで掬い差し出された。
恥ずかしいけどそうも言っていられず、ドキドキしながら口に入れた。
みかんの甘酸っぱい味。
「いま、お粥を用意するから。ほら、薬。」
「早かったね…コンビニ…」
「コンビニ??…ああ!そっか。ゼリーはたまたまうちにあったから。薬は…トキヤからもらってきちゃった!」
「ええ!?」
ていうか、一ノ瀬くんも風邪とか引くのかな…。
一ノ瀬くんにまで迷惑かけちゃったな。
体調管理がなってない、とか怒られそうだけど。
「トキヤってば体調管理がなってないなんて言ってたけど、心配してたっぽいよ。何か胃に入れてから飲ませてってアドバイスしてくれたのも、トキヤだから。」
「そうなの…?」
ああ、やっぱり言われてた…。
でも、そっか。心配してくれたんだ。
音也くんは苦笑いしながら、もう一口ゼリーをくれた。
「俺じゃあ全然そんなのわかんないからさ…今度からもっと勉強するね。」
「じゃあ…音也くんが病気になったら…私が看病するから。言ってね。」
「うん、お願い。へへ、ちょっと楽しみかも?」
…私の大好きな、優しい笑顔。
なるべく病気はしてほしくないんだけど…もし、そうなったなら…。
全力でお世話しよう。
それから、お水でコクンと薬を飲み、ひんやり絞ったタオルを額に当ててもらった。
下に降りてお粥を作ってもらっている中、明らかに熱が上がってさらにつらくなって、すごく心細い。
一人で寝込むのは、こんなに寂しいなんて。
「うわっ!ちちっ!」
ガターンッ
…下から、なんか騒音がするけど、そういえば音也くんてお粥つくれるのかな…。
すっっごく不安になってきた…。
「かなでー、おまたせ…お粥が出来たけど…食べられそう?」
「おと…や、くん…」
そうだね、今は音也くんがいるね。
一人じゃない…寂しくない。
私のそんな表情を読み取ったのか、音也くんは私のそばにきて床に座り、私の手を握った。
「心細かった?大丈夫だよ、ずっと傍にいるから…」
「うん…」
繋いだ手から伝わるぬくもり。
それが愛しくて。
だんだん薬が効いてきたのか、眠気でとろんとしてきた…。
寝てしまえば、楽になるかな…。
「眠い?なら寝て。お粥は起きてからでもいいから…」
「う、ん……」
せっかく一緒にいるのに、もったいない気も、するけど…。
ずっと看病してもらうのも、申し訳ないね…。
「音也くんも…休んで…」
「君って…病気のときにまで、俺のことを心配しなくていいのにね…。」
そう言いながらも、音也くんも嬉しそう。
ゆっくり目を閉じて眠ろうとしたけれど…
今度は猛烈な寒気に襲われ、体が勝手にガタガタ震える。
さ、寒い…
深く布団を被ったけれど寒気はなくならず、震えが止まらない。
「寒い?」
額に乗せられていたタオルがなくなって、音也くんの手が離れた。
急に不安に襲われる。
「何か、他に掛けるものは……と。女の子の部屋をあまり物色するのもなぁ…どうしよ…。」
考えたすえ、音也くんはしばらく黙って困ったような、迷うような目で私を見た。
その間にも、私の体は寒さに震える。
寒くて眠れない。
やがて音也くんは、私のそんな姿に意を決した表情をした。
「…かなで、ごめんね?」
へ…?
と言葉にする間もなく、そっと掛け布団と毛布がめくられ、ゆっくりと音也くんが中に入ってくる。
え?え?
…えええっ!!??
こ、これは…添い寝!?
「ごめん、ちょっと恥ずかしいんだけど…我慢してね…?」
せまいベッドだから自然と体が密着して、私も顔が違う意味で熱く…音也くんも頬が赤く、目を伏せて私を見ないようにしている。
腕が私の背中に回ってすっぽり包まれて
髪に…額に、音也くんの息がかかる距離。
いつも抱き締められるのとは…全く違う…っ。
恥ずかしさに目が回りそう。
「あ…あのっ!あの…うつっちゃったら大変っだ!から…!」
「嫌?」
「ち、違、けど…っ!嫌じゃない、けど…っ」
嫌じゃない…
嫌じゃないけど…っ
「せめて、寒くなくなるまでと思ったんだけど…」
と、音也くんは起き上がり離れようとしたから、私は無意識に手を伸ばし、音也くんの服をつかんでいた。
私を包んでいたぬくもりが…なくなってしまったから。
「嫌じゃない…っ行かないで…」
「…っ…かなで…」
自分でも矛盾していると思う。
恥ずかしいし、うつしちゃいけないのに…。
もっといてほしいと、思ってる。
「…わかった」
そう言って、また抱き締めてくれる腕に安心してる。
いつのまに、こんなに音也くんじゃないと…音也くんがいないと、ダメになってしまったのだろう…。
温かいぬくもりに包まれて、だんだんと寒気がなくなっていく。
だけど、まだそれは言わない。
ドキドキはしているけれど、不快じゃない。
嬉しい…幸せなの。
そんな幸せなまどろみの中、ゆっくり私のまぶたが閉じそうになる。
その手前で、ゆっくりと私の服の第二ボタンまでが外され、ジーンズのボタンにも手がかけられた。
びっくりしてまた目を開けると、慌てた様子の音也くんが手を引っ込めた。
「ご、ごめ!!さすがに着替えは手伝えないから…せめて少しでも楽になるようにって…別に変な気を起こしたわけじゃないから!」
あ、私、外出の服のままだった…。
「へ…変な気…?」
「そうそう!!これ以上は何もしない…だから…眠って…?」
「あ…うん…」
でも確かに、ボタンが外れたことで体への圧迫感はなくなった。
ジーンズのまま眠るのは、少し窮屈だけれど…。
そこまで、気を使ってくれたんだ…。
やっぱり音也くんは、優しい人。
「あの…下に、昨日打ち込んだ音源があるから…後で聞いてみて」
「ああ、うん…わかった。」
髪や背中を優しく撫でられながら、今度こそ私は、ゆっくりと眠りに落ちていった。
「そう…看病を…しているだけ…変な気は起こさない…っ」
意識が夢の中に入る前に、何やら話す声が聞こえた気がしたけど…
そのあと目覚めたときには、覚えていなかった。
おわり
2013.07.08
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