(甘)君は妹
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
幼い頃、かなではお人形のように喋らない、無口な子供だった。
両親を事故で一度に無くし、一人生き残った。
引き取り手決めで親戚の間でかなりもめたらしく、すっかり心を閉ざした彼女は、自ら施設を選んだ。
一人で絵本を読み、人と関わらない。
誰かが話しかけても反応を示さず、どんどん孤立していた。
親の顔をよく覚えているからこその悲しみと孤独は、音也もよくわかる。
だから、彼女のことを音也はすごく気にしていた。
ある日の夜中、なんとなく目が覚めた音也は、小さなすすり泣きが聞こえてきたのに気づいた。
その元をたどるうち、それがかなでの布団からだとわかり…
彼女も本当は悲しくて寂しくて仕方なかったのだと、幼いながら思った。
「大丈夫…?」
小声で話しかけると、かなでの肩がピクリと動いた。
音也はとくに何も考えず彼女の布団にもぐり、よしよしと頭を撫でた。
「かなしいね…でも。もう一人じゃないからね。俺も、みんなもいるからね?」
かなでは声を抑えて泣き、それから毎日、一緒に布団で寝た。
まだお互い男の子と女の子だと意識もするはずがないほど、幼い頃。
音也はすこしづつボール遊びなどに誘い、彼女は明るくなっていき、友達が増えていった。
可愛い妹。
それが幼かった顔立ちはすこしづつ大人びて、まだ成長途中だが身体つきも女性になってきている気がする。
(…って、俺はなにを考えているんだ)
ただ、妹の成長を兄として喜んでいるだけだ、うん。
そう思いながらチラチラ隣のかなでを見ているうち、はたと目が合った。
「あ……」
どうしよう、ごまかせない。
なにか、話さないと。なにか…。
「…かなではさ…ST☆RISHで誰が好きなの?」
「えー?」
突然の質問に、かなでは顔を赤くした。
「うーん、そうだなぁ…」
思いの外、その返事がどうくるかドキドキしている。
かなではニコッと笑って音也を見た。
「やっぱり音兄かな!」
「えっ…あ、ありがとう…」
「嬉しそうじゃないね?」
「そんなことない、よ」
実際、複雑だった。
そんな答えがききたかったわけじゃない…。
妹としてではなく女の子として、様々なタイプがいるメンバーの中で、どんなタイプが好きなのか…
知りたかった。
いつのまにか、可愛い妹が、一人の女の子になっていた。
この子ために、この子の笑顔になりたい。
かなでにとって、俺はいつまでも兄貴なのかな…。
「え、じゃあさ…近くに俺みたいなタイプがいたら、好きになっちゃう?」
「え?」
「付き合っちゃう…?」
おどけて見せたけど、本気だった。
…今の君には、そういう特別な相手はいるの…?
それを知りたくて。
「わかんないよ、そんな…音兄みたいな人、まわりにいないし。」
「そう?」
「うん…」
少しだけ、ホッとした。
付き合っちゃう、とかいわれたら、どうしようかと思った。
この気持ちは、なんなのだろう。
ずっと幼い記憶しかなかった子と、たまたま再会しただけなのに。
思いの外成長していたことに、ビックリしただけなのか。
それとも…?
「私、本当はずっと寂しかったよ」
「え?」
「音兄がいなくなって…すごく寂しかったよ…」
「…かなで…」
「テレビで見るようになって、嬉しかったけど…遠い存在になっちゃったんだなって…ごめん、勝手だね。」
「………………」
ああ、俺は自分の夢のために、この子をこんなに寂しがらせたんだ。
「遠くなんてなっていないよ。いつだって、みんなの傍にいるよ。」
「そうかな…」
「傍にいる。…いたい、んだ…」
誰の?…みんなの?
それとも…
これは、俺自身知らなかった、俺の本音だ。
君の特別になりたい。俺にとって君は、もう特別だから。
音也はかなでの横顔にかかっている髪に触れると、そっと耳にかけた。
これで、はっきり顔が見える。
「音兄………?」
違う
俺はもう、兄貴じゃない。
そっと肩に手を添えると、片手は頬に触れた。
ふっくらしていて、柔らかい。
まだ意図がわからないのか、じっと見つめてくる。
ゆっくりと顔を近づけて、その距離が数センチにまでなったとき、ようやくしようとしていることがわかったのか、腕を掴まれて止められた。
「な、なに?」
音也はその数センチのまま、じっと見つめた。
さすがに、中学ともなれば、わかるだろう。
…キス、したい。
「これからは、一番傍にいさせて。」
「えっ?」
「かなでが好きだよ」
ずっと兄妹みたいに育ってきたけれど。
いつだって一緒にいたのは自分だった。
これからも一緒にいたい。
かなではとても驚いて、かたまっている。
しかし、すぐに視線を泳がせ、ぎこちなく口を開いた。
両親を事故で一度に無くし、一人生き残った。
引き取り手決めで親戚の間でかなりもめたらしく、すっかり心を閉ざした彼女は、自ら施設を選んだ。
一人で絵本を読み、人と関わらない。
誰かが話しかけても反応を示さず、どんどん孤立していた。
親の顔をよく覚えているからこその悲しみと孤独は、音也もよくわかる。
だから、彼女のことを音也はすごく気にしていた。
ある日の夜中、なんとなく目が覚めた音也は、小さなすすり泣きが聞こえてきたのに気づいた。
その元をたどるうち、それがかなでの布団からだとわかり…
彼女も本当は悲しくて寂しくて仕方なかったのだと、幼いながら思った。
「大丈夫…?」
小声で話しかけると、かなでの肩がピクリと動いた。
音也はとくに何も考えず彼女の布団にもぐり、よしよしと頭を撫でた。
「かなしいね…でも。もう一人じゃないからね。俺も、みんなもいるからね?」
かなでは声を抑えて泣き、それから毎日、一緒に布団で寝た。
まだお互い男の子と女の子だと意識もするはずがないほど、幼い頃。
音也はすこしづつボール遊びなどに誘い、彼女は明るくなっていき、友達が増えていった。
可愛い妹。
それが幼かった顔立ちはすこしづつ大人びて、まだ成長途中だが身体つきも女性になってきている気がする。
(…って、俺はなにを考えているんだ)
ただ、妹の成長を兄として喜んでいるだけだ、うん。
そう思いながらチラチラ隣のかなでを見ているうち、はたと目が合った。
「あ……」
どうしよう、ごまかせない。
なにか、話さないと。なにか…。
「…かなではさ…ST☆RISHで誰が好きなの?」
「えー?」
突然の質問に、かなでは顔を赤くした。
「うーん、そうだなぁ…」
思いの外、その返事がどうくるかドキドキしている。
かなではニコッと笑って音也を見た。
「やっぱり音兄かな!」
「えっ…あ、ありがとう…」
「嬉しそうじゃないね?」
「そんなことない、よ」
実際、複雑だった。
そんな答えがききたかったわけじゃない…。
妹としてではなく女の子として、様々なタイプがいるメンバーの中で、どんなタイプが好きなのか…
知りたかった。
いつのまにか、可愛い妹が、一人の女の子になっていた。
この子ために、この子の笑顔になりたい。
かなでにとって、俺はいつまでも兄貴なのかな…。
「え、じゃあさ…近くに俺みたいなタイプがいたら、好きになっちゃう?」
「え?」
「付き合っちゃう…?」
おどけて見せたけど、本気だった。
…今の君には、そういう特別な相手はいるの…?
それを知りたくて。
「わかんないよ、そんな…音兄みたいな人、まわりにいないし。」
「そう?」
「うん…」
少しだけ、ホッとした。
付き合っちゃう、とかいわれたら、どうしようかと思った。
この気持ちは、なんなのだろう。
ずっと幼い記憶しかなかった子と、たまたま再会しただけなのに。
思いの外成長していたことに、ビックリしただけなのか。
それとも…?
「私、本当はずっと寂しかったよ」
「え?」
「音兄がいなくなって…すごく寂しかったよ…」
「…かなで…」
「テレビで見るようになって、嬉しかったけど…遠い存在になっちゃったんだなって…ごめん、勝手だね。」
「………………」
ああ、俺は自分の夢のために、この子をこんなに寂しがらせたんだ。
「遠くなんてなっていないよ。いつだって、みんなの傍にいるよ。」
「そうかな…」
「傍にいる。…いたい、んだ…」
誰の?…みんなの?
それとも…
これは、俺自身知らなかった、俺の本音だ。
君の特別になりたい。俺にとって君は、もう特別だから。
音也はかなでの横顔にかかっている髪に触れると、そっと耳にかけた。
これで、はっきり顔が見える。
「音兄………?」
違う
俺はもう、兄貴じゃない。
そっと肩に手を添えると、片手は頬に触れた。
ふっくらしていて、柔らかい。
まだ意図がわからないのか、じっと見つめてくる。
ゆっくりと顔を近づけて、その距離が数センチにまでなったとき、ようやくしようとしていることがわかったのか、腕を掴まれて止められた。
「な、なに?」
音也はその数センチのまま、じっと見つめた。
さすがに、中学ともなれば、わかるだろう。
…キス、したい。
「これからは、一番傍にいさせて。」
「えっ?」
「かなでが好きだよ」
ずっと兄妹みたいに育ってきたけれど。
いつだって一緒にいたのは自分だった。
これからも一緒にいたい。
かなではとても驚いて、かたまっている。
しかし、すぐに視線を泳がせ、ぎこちなく口を開いた。