(甘)君は妹
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「ありがとうございました!失礼します!!」
スタッフ一人一人に元気に頭を下げて挨拶をした後、音也は単独で出演したラジオ番組のスタジオを出た。
次のスケジュールの取材ではトキヤと合流することになっているが、まだ少し時間があり、どうつぶすかを考えながらアーケード街をぶらぶらした。
ST☆RISHとしてデビューしてからしばらく、だいぶ顔を知られるようになったため、度が入っていないオシャレ眼鏡をかけ、つばを掴んで帽子を目深にかぶった。
なのにも関わらずこんなにも人が多い場所をぶらついたら、きっとトキヤあたりには自覚しなさいと怒られそうだな…と笑いながら。
するとやはり、目の前を制服の女子高生の集団が笑い話をしながら歩いていく。
とくに女の子の集団はアイドルへの認知度が高く、バレやすかった。
少し前にはつい気を抜いてコンビニにたいした変装もせずに入り、やはりバレてトキヤに怒られた。
さすがにヒヤヒヤしたがなんとかバレずにすれ違うことが出来てホッとした矢先、ドンッと胸元に何か衝撃が走り、ドサッと大きな音がした。
「キャッ…」
小さな悲鳴があがり、誰かとぶつかってしまったのだとわかった。
自分の目の前を、自分よりずっと小さな制服姿の女の子が、尻餅をついている。
「だっ…大丈夫?ごめんね!?」
正体がバレるかも、そんな考えは音也の性格上すっかり吹き飛んで、目の前で痛そうに顔を歪める女の子に手を伸ばした。
「いえっ…すみません…」
女の子は素直にその手を取った。
すっぽり包めてしまうほどの、華奢で小さな小さな手。
見たところ中学の制服だが、普通の中学生より細くか弱く見えた。
170以上もある自分とぶつかっては、飛ばされもするだろう。
軽く引っ張っただけでヒョイッと立ち上がった女の子は、もう一度すみません…と謝り、音也を見た。
瞬間、その目は大きく見開かれ、音也に釘付けになった。
…バレた、かな?
そう思ったが、小さな唇から発せられた言葉は、音也がまったく予想だにしない言葉だった。
「音兄…?」
「え……?」
自分をそう呼ぶ人物は、ごく一部に限られる。
音也もまじまじと女の子を見つめ…ある情景が頭を掠めた。
"音兄!!"
「かなで…?」
その少女は、かつて自分が施設にいたころ、妹のように可愛がっていた女の子だった。
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