「ふ、振られただとぉーー！」

突然、廊下まで響き渡るような大声が教室をうめつくす。そこにいる誰もが視線を移し替えた。注目する先は私に迷惑なことしかしてこないあの男、清田信長。
わなわなと震えながら目じりに涙を浮かべて、

「ちくしょー！　俺の高校最初の告白は失敗なのかよー!」

と、歯をぎしぎし音をたてながら悔しそうに拳を握っていた。
ポカンとする周りからは、先ほどまでの嫌な空気を一切感じない。
どこからか「ざまぁねぇな清田！」と1人の男子が言うと、クラス中に笑いが起きた。
　何が起きたかも分からず、私はただ唖然としていた。清田信長のまわりに男子が集まり、彼にからかいという名の慰めをし始めた。一方、私の周りには「瞬殺だったね!」と女子たちが集まり始め、教室内は今までに無いほどざわめいていた。
担任が教室に来るまでの時間、私はただただ呆然としていて、あまり覚えていないが、まわりに人が多く集まったことだけはぼんやりと思い出せた。