練習を終えると、あたりは真っ暗になっていた。いつもの事なので特に思う事はないのだが、練習が終わった事で恥をかいた朝のことを思い出してしまった。さっきまで集中して練習していた仲間も終わった途端に思い出したかのように俺に絡んでくる。正直もう鬱陶しい。
　逃げ出すため、

「しまった！教室に忘れ物をしたんだった！そうだ、お前たちもう帰るといいぞ！もう遅いからな！カッカッカッー！」

と言って部室から出ていった。

　うまく逃げ切れ、安堵でため息が漏れる。今日はとことん疲れた。しばらく、こんな感じでからかわれる毎日を過ごす事になりそうで肩が重くなる。後悔しても遅い事はわかっているが、今更あんなことしなければ良かったと後悔して、またため息が漏れた。
　
(そもそも、なんで振られなきゃならんのだ。あの女が俺を振らなければこんな思いしなくてよかったんだ)

ものすごい責任転嫁をしているが、そうやって思わないと恥ずかしさで悶え死にそうだ。間違いなく、今日の出来事は黒歴史として俺に一生ついてくるだろう。

　静まり返った教室の中に入る。しばらくここに居ればみんな帰るだろう。ようやく一人の時間ができた気がする。今日は一日が長かった。
やることもないのでボーッと周りを見渡す。誰もいない教室は一人取り残されたような孤独感がありどこか不気味だが、今はそれが心地よかった。自分の席の机に腰を下ろす。特にやる事もないので雲で覆われた真っ暗な窓の外を見つめた。