素
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こんなところで、こんなもの作って部下の修行。後輩もいいように使って、自分はお気に入りの本を読んで。
『カカシって、いい身分よねぇ』
『そんな風に見える?』
『何もしてないじゃない』
『アハハハ』
ヤマト特製の木製ベンチに座るカカシとナナシ。
視線の先にはヤマトの術により作り出された滝と、それに向かって両手を付きだし修行に励むナルトの姿。
ベンチの傍にはナルトの九尾化に備え、封印術で監視をするヤマトの姿。
『カカシにコキ使われてる先輩が可哀想。随分カカシの事信頼してるみたいだけど、私には‥‥‥』
カカシの姿をチラ見して“わからない”呟き、ハァと小さな溜め息。
『そう言ってる割に、差し入れなんかしちゃって俺に会いに来てくれてるのは何故かな?』
『誰がカカシに会いに来たって?私は先輩に会いに来たの!この前“修行に付き合ってて家に帰る暇もないんだ”って、ゲンナリした顔して嘆いてたから』
セリフが聞こえたのか、ヤマトがこちらを向く。
ナナシはそれに手を振って応えていた。
それを横目に眺めるカカシ。
随分ヤマトに懐いている様子の彼女に、愛読書の内容が頭に入ってこない。
『何か俺、涙出そうなんだけど』
『そんなに感動する本なの?気にせず泣いてイイよ』
全く見当違いの返事に、ますますテンションは下がっていく。
『ね、ナナシって俺の事嫌い?』
わざと悲しい表情をして悲しい声で問いかけると、ナナシは神妙な面持ちでカカシを見た。
『なんで?何、急に。どうしたの?』
『何かテンゾウと扱いが違う』
『違うって言われても‥‥‥』
『何か凹む』
ハァと溜め息をつくカカシに、彼女は首を傾げた。
『カカシにも気を使えって事?』
『気を使えって言うか‥‥‥え?』
彼女のセリフに何か気付いた様子で、カカシは顔を上げた。
『何?』
『“にも”って、テンゾウには気を使ってんの?』
『先輩だもん。当然でしょ。その点カカシには気を使う必要無いし』
一応、その先輩の先輩にあたるのがカカシな訳だが、彼女とは直接暗部での繋がりは無かった。
今は同じ上忍。
しかし任務が一緒になることがなく、これといった接点もほぼ無かったため、“先輩”という意識は持たれていないようだ。
ついでに言うと、関わりが無いはずなのに、カカシが彼女に好意を持ち、やたら絡んでいるせいでナナシの中では“イケメンだが鬱陶しい上忍”という位置付けだった。
『それ、素でいれるって事だよね?』
『まぁ、そんなとこかな』
その返事にカカシは再び本に視線を戻した。
『やっぱりいつも通りでいいから』
『うん、そのつもり』
最近ではその好意も徐々に実を結びつつある、気がする。
『でも、もうちょっと優しくして欲しいかも』
『調子に乗るからイヤ』
やっぱり気がするだけのようだ。
『じゃ、私帰るから』
『もう?もっと一緒に居たかったなぁ』
寂しそうな笑顔を向けると、彼女が少し赤くなり椅子に座り直した。
『じゃ、もう少しだけ居よっかな』
すかさずカカシはコロンと彼女の膝に寝転んだ。
『ちょっ‥‥‥!?』
『まぁまぁ、気にしない気にしない』
始終を横目で眺めていたヤマト。
『何だかんだ言って気が合ってるというか、仲良いというか‥‥‥もう付き合えばいいのに』
ハァと溜め息をつくのだった。
終
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