虚心、否 scene.2
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マフラーを買う約束をし、待ち合わせ場所に行くと遅刻魔のカカシが先に来て待っていた。
『ごめん、待った?』
『いや、さっき来たところだよ』
恋人同士の定番のような挨拶が、なんだかくすぐったくて恥ずかしくなる。が、恋人ではないのが現実。
目の前に立つ私服のカカシを、足元から眺め顔で止まった。
今日は額当てが無いため、前髪が下り左目はやや隠れているが、相変わらず顔だけはカッコいいと思ってしまう。
細身で長身の身体にチェスターコートがよく似合う。
シンプルな服装だからこそ引き立つ隠しきれないイケメンのオーラ。
通りすがる女の人の視線が向けられている事に、彼は気付いているのだろうか。
無自覚に女の人を引き寄せるだけの魅力を持っている。
『しっかり口元は隠してるんだ』
忍装束の時のように私服に口布は無いので、大判マフラーを自然な感じで巻いて口元を巧く隠していた。
『寒いからねぇ‥‥‥』
口元が見えるように指で少し下げてナナシに笑みを向ける。
わざとだ。確信犯だ。
さりげなく素顔を晒すカカシの行為に、顔を赤くするしか出来なくなる。
誰にも見せたくない。
自分だけが知っていたい姿。
『そのマフラーじゃダメなの?』
『ダメなの。コレは大事なマフラーだから大切に使いたい』
質問してから気付いた。
『それ‥‥‥前に私があげた‥‥‥?』
カカシは嬉しそうな笑みをナナシに向ける。
『そ。貰ったけど勿体無くて、任務には使いたくないんだよね。プライベート専用』
プレゼントしたものを使ってくれている事を知り嬉しくなる。
『俺が選ばないような色合いだけど、巻いてみたらどの服にも合うんだよねぇ』
私服が無彩色ばかりでシンプルなものが多いと聞いた事がある為、青を基調としたマフラーをプレゼントした。
しかし、イケメンでスタイルがいい人が着れば、色合いなど関係なくなんでも似合う。
と、思ってしまうのは惚れた弱みだろうか。
『似合ってる?』
『うん、似合ってるよ』
何気ない会話が続いている中、カカシもまたナナシの私服姿を眺めた。
普段の装束の方が露出は多いはずなのだが、身体のラインがよくわかる細身スキニーにヒールの高い靴‥‥‥色気がダダ漏れている。
ショート丈のアウターはファスナーを開けていて、中に着ているピッタリした服が華奢な体をあらわにしていた。
淡いピンクとベージュのチェック柄のマフラーが、自分が巻いているマフラーと色違いに見え、思いがけないペアルックとなっていて、嬉しくなる。
ラフにまとめ上げた髪も大人っぽくも可愛い。
いつものナチュラルメイクも可愛いと思っていたが、どこか色気を感じさせる今日のメイク。
パッチリした目元と、艶のある唇に目を奪われていた。
『‥‥‥‥‥‥好き』
『ん?どうかした?』
思わず抱き締めたい衝動にかられる。
マフラーを買いに行くのをやめて家に連れ帰りたい。
『ん、いや。私服姿、雰囲気変わってイイなって』
『カカシの私服も見慣れてないから違和感ある』
『変だった‥‥‥?』
『ううん。悔しいけど似合ってる』
『悔しいは余計じゃないかな』
『だって‥‥‥何着てもやっぱりカッコいいな、って思ったんだもん』
照れたようにはにかんだナナシの姿に、色気満載の私服姿も相まって、いつもは冷静なカカシも冷静じゃいられなくなっていく。
『じゃ、行こ』
『そうだね。じゃあ、先ずは‥‥‥』
と、歩き出した直後、ナナシがバランスを崩しよろめいた。
『おっ‥‥‥と』
すかさずカカシが手を引き抱き止める。
『ご、ゴメン。履き慣れない靴だから‥‥‥』
恥ずかしそうに俯く彼女の手を取り繋いだカカシ。
『じゃあ、今日はこうして歩こうか』
『カカシ、誰かに見られたら‥‥‥』
と、ナナシは慌てていたが。
『腕組む方がイイ?』
『そうじゃなくて‥‥‥!』
『ナナシが転ばないようにしたいんだよ。支えがあった方が安心して歩けるでしょ?』
理にかなったセリフだが腑に落ちていないナナシ。
『じゃあ、今ここで抱き締めてキスしてもイイなら離すよ?』
カカシは冗談めかしてさらりと本音を言う。
『ダ、ダメに決まってるでしょ!?』
『それくらいの衝動抑えてるから、手を繋ぐのは許して欲しいなぁ』
指を絡めると恋人繋ぎにし直した。
諦めたような、呆れたような‥‥‥そんな溜め息をつくナナシ。
もうカカシのペースでイイやと開き直る。
『嫌だった?』
『カッコいい男の人がエスコートしてくれるのに、嫌なわけないでしょ?』
そうして2人で顔を見合わせ笑いあったのだった。
終わり
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