女の命
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カカシは少し驚いた表情でナナシを見つめていた。
というのも、あれだけ長かったサラサラな髪が、肩にも届かないくらい短くなっていたからだ。
ナナシはあの長い髪が気に入っていた。
何よりも自慢できる髪だった。
風になびくサラサラの髪。
柔らかく艶やかな髪。
そしてカカシが“綺麗だね”と言ってくれた大切な髪だった。
彼女は必死で笑顔を作りながら、口を開く。
『そんなに驚いた顔しないでよ。いいイメチェンになったでしょ?』
“イメチェン”などと自分の言い放った嘘の言葉に、胸が締め付けられ泣きそうになってしまう。
仲間を守るためにとった行動に後悔などなかったのだが。
『イメチェンか‥‥‥』
カカシは手甲を外し、ナナシの頭を撫で下ろすと、毛先をチョイっと掴んでみたりと、まじまじと彼女を見つめた。
ナナシは視線から逃れるように、思わず下を向いてギュッと目を閉じてしまう。
『可愛いね。よく似合ってるよ』
“短い髪型もイイね”と、カカシは続けるとニッコリと笑いナデナデ。
大きく温かな手の感触とその言葉にナナシは目を開けたが、せきを切ったように、我慢していた涙が両目から溢れ頬を伝い落ちた。
涙を拭くが後から後から零れる。
『私、長い髪が好きだった。カカシが“綺麗な髪だね”って。“ナナシはロングがよく似合う”って褒めてくれたから‥‥‥』
撫でるカカシの手首をキュッと握り締め、涙で濡れた顔を上げた。
『こんなに短くなったら、きっとガッカリするんじゃないかって』
自分の為に伸ばした大切な髪。
それが好きな人のための大切な髪へとかわり。
ひとつの自信になっていた。
好かれる要素。
『長い髪のナナシは、勿論好きだったけど‥‥‥』
カカシは涙が伝う頬を指で拭き、ナナシの体を引き寄せる。
小さく震えている体を胸に抱き納めた。
『目の前にいるナナシが何よりも好きだよ』
ポンポンと落ち着かせるように背中を擦りながら優しく語りかける。
『ナナシはナナシでしょ?ガッカリなんてしないよ』
カカシは静かに言う。
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