スリル
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ここは生徒がすでに帰った後のアカデミーの一室。
『んもぅ、遅いなぁ』
任務を終えたナナシは机の上に座って、足をプラプラ振りながらカカシを待っていた。
“今日は、報告書を届けるだけ”そう言っていたからもう来てもいいはずなのだが。
『待ち合わせ時間決めると、いつも遅刻するんだもん』
ブツブツと彼の悪い癖を咎める。
遅刻するのを見透かし、遅めに来たのだがカカシは更にその上をいく遅刻魔のようだ。
ナナシは1人待ちぼうけ。
教室の扉が開いたのは、それから1時間後の事。
『や。待った?』
反省の様子もなく、ヒョコっと笑顔で登場のカカシ。
『遅い!』
いたずらっ子がよくやる、黒板消し落としの罠でも仕掛けておけばよかった、と心底思いながら、ナナシは怒って口を尖らせる。
『ゴメン、ゴメン』
怒っているのを見てさすがに悪いと思ったのか、カカシは苦笑いし彼女の前へと行き手を合わせ謝る。
すると彼女は机からストンと降り、腰に腕を回しギュッと抱きついた。
『遅すぎると心配するし‥‥‥1人でいると忘れられたんじゃないかって、不安になるんだからね』
カカシの胸に顔を埋め、不安そうな声。
それが胸につき刺さる。
カカシは謝るかわりに、その華奢な体を抱き締め、『遅くなって、ゴメン』と呟きしばらくの間、頭を撫でていた。
『遅刻も程々にしてよ?』
それから少しして、ナナシが顔をあげる。
もう怒ってはいないようで、口調はいつも通りに戻っていた。
それにはカカシも一安心。
『ハイ。努力します』
口布をずらし優しくキスをすると、互いに笑顔を見せ合った。
それから2人で机に腰掛け、カカシの遅刻の理由や任務の事、会えなかった時の話で盛り上がる。
『ねぇ、今日はなんでアカデミーの教室で待ち合わせにしたの?』
話の最中、ふと思い出したように切り出したナナシ。
『報告書届けた帰りにも寄れるし、なんとなく懐かしくなって。それだけだよ』
『そう。でもホント懐かしいなぁ。ここ卒業してもう何年になるんだろ。待ってる間も、昔の事色々思い出したなぁ』
忍になるための基礎を学んだ場所。
改めて見回すと、教室や机が小さく感じる。
自分がそれだけ成長したんだと実感し、気が付けばアカデミー時代の話になっていた。
『ねぇ、カカシは好きな子の隣に座れた?』
『好きなコ?‥‥‥んー、いたかどうかすら覚えてないなぁ』
『そうなの?』
『随分前だからねぇ。ナナシはいたの?』
『えーっと、確かー‥‥‥』
思い出そうと考え始めたナナシ。
しかし、すかさず顔を捕まれ彼の方を向かされ‥‥‥唇が少し触れる位のキスをされる。
『な、なに?』
『やっぱり言わなくていい』
『どうして?』
その問いかけに、カカシは彼女と向かい合うと、机に手をついて下から見上げてきた。
『嫉妬するから』
『嫉妬って‥‥‥12歳の時だよ?昔の事じゃない』
軽く笑うナナシだが、カカシは至って真面目な表情を崩さない。
そして、唇が触れそうな距離まで顔を近付けた。
『それでも、ナナシの口から別の男の名前なんて聞きたくない』
そう呟いて唇を重ねた。
カカシの嫉妬がなんだか嬉しい、と、思いながらナナシも彼の首に腕を巻きつけそれを受け入れる。
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