ブラック・ホスピタル
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(あんなあいつは初めて見る。笑ってる。普通に。何の違和感もなく!いや!俺には十分不自然だ!)
病室にてライドウは目の前の光景に目を見張っていた。
ゲンマの見舞いにフルーツの盛り合わせを持ってきた女性。彼が『ナナシ』と、馴々しく呼び捨てで呼んでいるのを見ると彼女らしい。
(何であの仏頂面にあんな可愛いコが?)
羨ましそうに、もの欲しそうにしながらライドウは彼らを眺めていた。
“せっかく持ってきたんだし、リンゴの皮むいてあげるね”
“ん。サンキュ”
和やかな雰囲気漂うラブラブカップル。
“待て‥‥‥危なっかしいから貸せ”
“大丈夫だってば!”
“そう言ってこの前、指切って泣いてたろ。病院じゃアノ時と同じように慰めてやれねぇぜ?”
“ぅ゙ゔっ‥‥‥オネガイシマス”
ニヤッと笑うゲンマにナナシは赤面して固まってしまう。そしてすんなり皮剥き交替。
(何だあの爽やかすぎる好青年っぷりと、ちょっと気になる後半の会話は!?)
彼女に対するゲンマの優しい姿と、意味深なセリフでイチャつく様子に、ライドウはムカついたみたいだ。
ごく普通の事なのに、過剰に反応してしまう。
きっと羨ましくて仕方ないのだろう。
ライドウは、“目に毒”と判断すると、気を紛らわす為にガイの見舞い品『木の葉列伝』なる堅苦しい熱血文書に集中することにした。
(暑苦しくてウザいお前で、見舞いにこんな本持ってくる野郎だけど、今だけは感謝する!)
ライドウは本を前に手をあわせたのだった。
少しして。
『おーい、ライドウ。おーい‥‥‥』
向かいでゲンマが呼んできた。
が、ムカついてるから無視を決め込むライドウ。
『おー‥‥‥い。オイ!チィッ!』
(イラついてるな、ヨシ!イラついてる!‥‥‥さすがに彼女を前にキレらんねーよなー)
活字を眺めながら、ライドウはささやかな優越感に浸っていた。
『無視ってんじゃ‥‥‥っねぇ!』
『ん?』
しかし、勢いを付けた最後の一声にふと顔をあげる。
『ぅおゎぁああーっ!?』
叫び声と共に前から飛んできたソレを間一髪で避けた。
ビビィーンと、しなりながら背後の壁に突き刺さっていたのは果物ナイフ。
あと少し反応が遅かったら眉間にグッサリだ。
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