B.D-9.15
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ナナシは胸に袋を抱き抱えて歩いていた。
中を見下ろすと手の平サイズの箱が目に入る。
『ケーキ、無駄になっちゃったなぁ』
少し悲しくなって、ハァと溜息をついた。
今日はカカシの誕生日。
ケーキを作ってプレゼントしようと思い、待機室で遅くまで待っていたのだが。
“任務が長引き今日は帰れないらしい”
そんな情報を耳にして、仕方なく家路につくところだった。
以前は彼女がカカシの下についたりぺアを組んだりと、任務をよく一緒にしていた。
ナナシにとってカカシは、共に過ごす時間が一番多い人で、信頼のおける大切な人だった。
『先生って大変なのかな』
教え子を持つようになり、カカシは前線を離れた。それはナナシとの時間が少なくなった事を意味する。
以前はわかっていた彼の事も今はわからない。
『時間もあわなくなったし‥‥‥寂しいなぁ』
ハァ、とまた溜息をつき、足を止めた場所はアカデミーの前。もう門は閉まっている。
なんとなくモヤモヤした気持ちを晴らしたくて、悪い事とわかっていたが。
『忍び込んじゃえ!』
障害を軽がる飛び越え屋場まで一気に上った。
ケーキの箱を置き、フェンスに寄り掛かかって里を見下ろす。
『見晴らしがイイからここにも来たっけ』
一緒にいた時もそうだったが離れてからより強まった想い。
カカシが好きということ。
『ハァア‥‥‥考えても仕方ない。ケーキ、食べちゃお』
モヤモヤを消し去るように自分に言い聞かせ、置いていたケーキ箱の前にしゃがみ込んだ。
『拙者、甘いモノが好きで‥‥‥』
『うわぁ!?パパパ、パックン!?何でこんな処にいるの!?』
箱の上にチョンと座る、ほおっかむり風額当てをした茶パグ。
カカシの忍犬、パックンだ。
『何故、じゃと?む!‥‥‥ワワン、ワン!』
“イヤイヤ、喋れよ犬‥‥‥”と、心中ナナシの鋭いツッコミが冴える。
『おーい、パックン早いって』
よっこらせ!と、フェンスをまたぎ緊張感無しのセリフを吐くのは。
『カカシ!?』
『や、ナナシ』
『では拙者、失礼するでござる。ニンニン』
カカシの登場にパックンは胡散臭い忍者言葉を携え煙と共に消えてしまった。
そして思いがけず、ふたりきり。
『こんなとこで何やってんの?』
『カカシこそ。今日中に帰れない任務じゃなかったの?』
『その予定だったけど、こうして帰ってきたんだよ。それにしても驚いたな。パックンがアカデミーの屋上に誰かいるって言うから来てみたら‥‥‥この時間は不法侵入じゃない?』
『ゔ‥‥‥違う‥‥‥人生‥‥‥という道に‥‥‥迷っただけで‥‥‥』
苦しい言い訳にカカシは笑っていた。
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