おもひこふ
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無事に任務を終え、里に帰ったハヤテ率いるフォーマンセル。
怪我人を病院へ連れて行ったあと、利き手を負傷したハヤテに代わり、ナナシは報告書の手伝いを買って出た。
『私の怪我は大した事ないのですが‥‥‥せっかくなので貴女の厚意に甘えることにします』
と、ハヤテに頼られ嬉しくなる。
雑談を交えながら、サクサク報告書も進み終わりに近づいた頃。
不意にハヤテにこの後の暇を聞かれた。
『デートしましょう、と言いましたよね?』
『えぇ‥‥‥っと』
そのセリフに思わず固まってしまう。
任務中のデートの誘いは、半分冗談だと思っていたが半分は期待していた。
一体どんなデートなのかも気になったが。
『今日は行けない。さっき怪我人連れて行ったときに、詳しく報告して欲しいって言われて、この後病院に行かなきゃならなくて‥‥‥』
断りの文句に、申し訳なさとガッカリと、少しホッとしている自分がいた。
『そうでしたか。残念ですがデートは後日にして‥‥‥私も行くとしましょう』
『ハヤテも?』
『先程寄った際に、私も声を掛けられていまして。引き継ぎを頼んでいたものの中に、いくつか不備があったようなのでその対応に』
しれっと仕事を詰め込んでいるが、彼の行き先はナナシと同じ。
ホッとしたのも束の間、『私も』と言われ、一緒についてくるのか、などと勘違いしてしまったことに恥ずかしくなる。
『休む暇ないですね、お互い』
不健康そうな顔が見せる笑顔。
時折見せる優しい表情は、自分しか知らない特別なもののように思え、再びハヤテを意識してしまう。
『必要としてる誰かの為になってるんだし、仕方ないんじゃないかな』
『だからといって任務も終わったばかりです。きちんと休息はとってください』
『それ、ハヤテもだよ。暇さえあれば調合室にこもって薬草触ってるでしょ』
『見られていましたか』
困ったような笑みを浮かべるハヤテに、ナナシも軽く笑う。
白衣を羽織っている彼の姿は、いつもとはまた違ったカッコ良さがあり、見掛けた時に目で追っていたとは言えない。
それを思い出し、再び勝手に恥ずかしくなりながらも、この後もその姿が見られるかも‥‥‥と、嬉しい気持ちにもなった。
『デートの件は残念ですが、この後も同じ場所と思うと、もう少し一緒にいられるのは嬉しいですね』
『えっ!?』
一緒に居られることを嬉しいと感じた同じ気持ちを言葉にされ、心を見透かされたのか?と、思わず声をあげてしまう。
ハッとして口を押さえたが、不思議そうなハヤテの視線にみるみる顔は赤くなる。
先程から勘違いしてばかりのセリフに、イヤでも好きを意識していた。
『どうかしましたか?』
『な、なんでもない』
『表情が色々変わって楽しい人ですね』
『からかわないでよ』
『可愛いと思った私なりの誉め言葉なんですが』
その言葉にますます赤くなってしまう。
『それを“からかってる”って言うの!』
『あ‥‥‥怒りましたか?』
『怒ってない!』
言葉とは裏腹に、怒ったようにフイッと横を向いて顔を背けたナナシを、向かいで頬杖ついて目を細めるハヤテ。
『好きな子ほど、いじめたくなるって言うアレに似てますね』
“また‥‥‥!”と、睨むように視線を送るが、彼は涼しい顔で相変わらず穏やかに笑みを向けてくる。
『ソレですよ』
フフっと小さく笑う声が聞こえるが、何も言い返せない。
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