栄養ハグ
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『紅茶淹れるから、ソファー座ってて』
彼女の言葉にカカシは遠慮がちにソファーに腰掛けた。
ふぅ、と息を吐くと目だけ動かし部屋を見渡す。
片付けられた室内の所々に可愛らしい置物が飾られたり、柔らかな色の家具が置かれたり。
シンプルながら女の子の部屋を感じさせる。
『そんなに観察しないでくれる?』
少しして2つのカップを持ったナナシが、テーブルに紅茶を置き隣に座った。
『片付いてるなぁ、って思って』
『家にいる時間が少ないから散らからないだけよ。カカシもじゃないの?』
『まぁ‥‥‥』
そう答えて紅茶を口にすると、ふぅ、と息をつく。
と、隣から何やら彼女の視線を感じた。
『元気ないし、さっきも溜め息吐いてたけど、疲れてる?』
『あ、いや‥‥‥んー‥‥‥』
曖昧な返事ながら“イエス”の意思を伝えると、『そう』と、そっけなく短く返事を返された。
連日の任務で疲れていると言えば疲れている。
元気がないのではなく。
ナナシの家にいる事に緊張しているというのが正解。
本日、初・ナナシ宅訪問。
綺麗にしているしイイ匂いもするし、ナナシはラフな部屋着に髪型もラフなまとめ髪で、いつもより緩い雰囲気。
素を自分に晒してくれているようで、それが余計に彼女に対する“好き”を加速させている。
平静を装っているがそうじゃいられない、何かがありすぎる。
カカシは柄にもなくドキドキしていた。
『まぁ、任務はハードだけど‥‥‥』
“これくらいじゃ疲れない”と続けようとしたところでナナシがこちら向いて両手を広げてきた。
『ハイ』
『へ?』
物凄くマヌケな声をあげてしまうカカシに対しナナシは至って真面目な顔。
このポーズはもしかしてもしかしなくても。
『ギュッてするとストレスが減るんだって。疲れは身体のストレスでしょ?』
平然とハグ体勢をとり見つめてくる。
心配からの優しさを見せてくれる彼女に、どこまで無防備なのかと思ったが。
それ以上に、自分に対してここまで気を赦してくれていると思うと、なんとも心を擽られる幸せな気持ちになった。
それがただ嬉しくて、カカシは勢いよくナナシに抱き付く。
『そんなに慌てなくても逃げないから』
押されるようなハグに思わず呟きながら、『ヨシヨシ』と肩に置かれた彼の頭を抱えるようにして髪を撫でた。
カカシは抱きしめられる幸せに目を閉じる。
あたたかいし、いい匂いだし、柔らかい。
『任務が無い時はちゃんと休む事』
『そうしたいけどイロイロ呼ばれるしねぇ』
『‥‥‥ごめん、私もそのひとりだった』
今日はお互い休日。
申し訳なさそうな声に思わずカカシの手に力が入った。
『それは違うよ。ナナシといる時間は、大事な癒しの時間でちゃんとした俺の休息の時間だから』
擦り寄って力説するカカシにナナシは呆れながらも笑みを溢す。
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