不意の日常
夢小説の名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
入り口のドアの外側には【使用中】の札。
その為人が入ってくる気配はない。
密室空間にカカシと2人きり、ナナシは報告書の文字の多さに辟易していた。
上忍ともなれば任務内容も高ランクで複雑且つ危険を伴うもの、長期に渡るものもザラではない。
当然報告内容も増える。
書き進めるナナシと、必要な部分だけを補う形で口頭で指示するカカシ。
圧倒的にカカシは楽をしている。
隊長権限を最大限に利用し過ぎではないか。
と、言いたいところだが。
前回の任務で隊長を務めていたナナシには、同じことをカカシにしたので文句を言えない。
『‥‥‥コレ仕返しだよね』
思わずもれたボヤキ。
ただ、前回カカシ本人はナナシに指示されても、ご機嫌で書いていたように見えたので、これが仕返しかどうかはわからない。
そんなことを思い起こしていると、集中力も途切れてきた。
『ねぇ、前から気になってたんだけどさ』
『んー、何?』
集中力切れにプラスして手も疲れてきた事もあり、キリのいいところまで書き終わると、ペンを置き休憩とばかりに手首を振りながらカカシに話しかけた。
『私と2人だけの時って、額当て外して口布も下ろしてるでしょ?なんで?』
そう問いかけると、手を組んで“うーん、休憩~”と背もたれにもたれながら伸びをする。
素顔をほとんど隠しているカカシが、今は額当てを外し口布を下げている状態。
随分前から2人きりの時は素顔を晒した今のスタイルだったな、という記憶はあるがキッカケのようなものに思い当たる節がない。
ふと気になったので訊ねてみた。
一瞬驚いた後、考え込むように沈黙していたカカシだが。
『‥‥‥ナナシに言われたからだよ』
ボソリと呟く。
異様なほどのテンションの低さとその返事に、思わず彼の方へ顔を向けた。
『私、そんな事言った?』
『顔を見せろって直接言われたわけじゃないんだけどさ‥‥‥』
『じゃあ、何?』
言いにくそうに口籠るカカシに説明を求める。
『“顔がほとんど隠れてて気持ち悪い”って言われて‥‥‥』
凹みながらどこか哀愁漂う表情を向けられた。
『そ、それはヒドイねー』
気まずさを感じながらも他人事のように棒読みで切り返したが、覚えていない。
カカシの事だからきっといつもの冗談で‥‥‥とも思ったがそうとは思えない沈みよう。
これは事実だろう。
何て言葉を続けようか視線を反らしていると。
“あれは、待機室でふたりきりになった時‥‥‥”と、勝手に語り始めた。
『待機室で2人きり‥‥‥?』
その言葉と同時に頭の中は、過去の記憶の引き出しを高速で開けていく。
その中で。
例の台詞を吐いた時の事を思い出した。
1/4ページ