片想い≒両想い
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カカシが病院を出るのと入れ違いのようにナナシを抱きかかえたゲンマに出くわした。
気を失っているのか、顔を伏せ動きのない彼女にカカシの顔が曇る。
腕や足にも出来たばかりの傷がいくつか見受けられるのも気になる。
『彼女、どうしたの?』
『任務で‥‥‥ちょっとな』
その“ちょっと”の部分の説明が聞きたいところだが、気まずいのか面倒なのか、ゲンマの表情からは読み取れない。
『ぅ‥んん‥‥‥』
話し声に意識を取り戻すナナシ。
『‥‥‥ゲンマ』
『病院着いたぜ。すぐに診てもらえるようにする』
『ゴメン、ありがと。もう歩けるから下ろして。後は自分で行くから』
『大丈夫か?』
『平気』
下ろされたナナシは壁に手を付きながら立ち上がる。
『悪いが戻らねぇと‥‥‥』
『もう病院なんだし付き添わなくて大丈夫だから、行って』
心配そうなゲンマだが後がつかえているらしい。
“後でまた来る”と告げ名残惜しそうにその場を立ち去った。
『任務って聞いたけど?』
2人のやり取りにすっかり存在を無視されていたカカシ。
2人きりになり、彼女の隣に立つと問いかける。
『うん。さっき帰ってきたとこ』
ナナシは弱々しく返事をすると、壁づたいにしゃがみこんでしまった。
『あぁー、大丈夫じゃないでしょ』
言いながら、カカシはヒョイっと彼女を抱きかかえる。
『ゲンマに気使ったの?』
『カカシがいたから‥‥‥見られたくなかった。自分の足で帰れない程の任務じゃなかったのに、怪我までしてチャクラ切れとか‥‥‥上忍失格だよね』
自分で呆れるくらいだ。
きっとカカシも呆れて説教のひとつやふたつ、言ってくるだろうと思った。
今、抱えられているのだって本当はしてもらうものじゃないとわかっているが、まともに立てない状態。
申し訳ない気持ちしかない。
『まぁ‥‥‥確かに見たくなかったなぁ』
自身の言葉に同意するカカシの声が胸に突き刺さった。
どこかでカカシは優しい言葉をかけてくれるんじゃないかと、期待していたのかもしれない。
情けなくて悔しくて。
自分でダメな事がわかっているのだから追い討ちをかけなくても‥‥‥と、説教を覚悟していたにもかかわらず、色々な思いに思わず涙が滲み俯いて唇を噛んだ。
『俺だってまだナナシの事、お姫様抱っこした事無かったのにゲンマなんかに先越されるし。しかも何だかサマになってるし‥‥‥あんなに密着してさぁ、ものすごく見てて嫌だった』
『は?』
『ん?』
思わず見上げるナナシと、彼女の間のぬけた声に見下ろすカカシ。
『なにそれ?』
『何って‥‥‥嫉妬だけど?』
『私の失態に呆れてるんじゃないの!?』
『ナニソレ??』
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