恋人未満
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ガヤガヤワイワイと周りが騒がしい。
“オイ、ナナシ‥‥‥ナナシ”
名前を呼ばれゆさゆさと揺さぶられる。
(誰‥‥‥?)
しかし、そんな事どうでもいいくらい体が重い。動かない上、まぶたが上がらない。
次第に周りの雑音も呼ばれる声も遠ざかっていく。
(まぁ、イイか)
そのままナナシの意識は途切れてしまった。
ぼんやりしながら彼女が目を覚ましたのはどこかの部屋。体には布団がかけられている。
どうやらベットの中のようだ。
ズキズキと痛む頭。
意識も視界もハッキリしない。
『何やってたんだっけ‥‥‥』
不意に触った額の濡れタオルを取りながら何気なく隣りを見る。
途端に目に飛び込んできた人物。
『ゲンマ!?』
スヤスヤと真横に眠っていた同僚。
『ちょ‥‥‥ッ離れて!』
突然のこの状況にナナシは反射的にゲンマを蹴飛ばし、ベットから突き落としてしまった。
『っ痛゙!?』
ゴトンという鈍い音と共に響いた低い声。
そして少し間をおいてモソモソと動く気配。
『あぁー、ってぇなぁ』
上体がベット下から現れ、もの凄い不機嫌な顔をしたゲンマが呟きながら頭をさすりナナシを睨んできた。
『何すんだよ、いきなり』
『“いきなり”って、それはこっちのセリフ!何でゲンマが横に寝てるの!』
『あー、叫ぶな。耳が痛ぇ。ったく、横に寝てって‥‥‥自分のベットで寝てどこが悪ィんだよ』
『自分のっ‥‥‥て?』
『俺だよ。ここ俺ン家。コレ俺のベット。寝床。分かるか?』
なんとなくバカにしたような返答が気になったがそれより気になった言葉。
『ゲンマん‥‥‥ち?』
『ハァ。酔い潰れたお前をここまで運んでやったってのにこの仕打ちかよ』
小さく舌打ちし独り言のように答えるゲンマ。
『酔い潰れて?‥‥‥って、私がお酒にやられるわけないじゃない!』
『んじゃ、ここ来る前何処にいたんだ?』
『えぇーっと‥‥‥さぁ?』
『みろ、居酒屋行った事すら覚えてねぇ。酒にやられてる証拠じゃねぇか』
ナナシは『ぐっ!』と押し黙ってしまう。
ゲンマは立ち上がるとベットに腰掛けた。
『お前がいくら揺すっても起きねぇし、家知らねぇから、仕方なく俺の部屋まで運んだんだよ』
どうやらゲンマの言っている事は本当らしく、ナナシは急に申し訳ない気分になってしまった。
更に、そんな事とは知らなかったとはいえ、彼をベットから蹴り落としてしまった。
気まずい事この上ない。
しかし、さっきから嫌味のようにトゲトゲと責めてくる彼に、素直に謝るのもなんだかシャクだ。
『だからって一緒に寝るなんて‥‥‥』
小さな声で独り言のような反論。
『仕方ねぇだろ、ベットこれしか無ェんだからよ』
聞こえていたようで何気に返されたその言葉に、お姫さま抱っこされベットに寝かされた自分の姿を想像してしまう。
(恥ずかしすぎる‥‥‥)
自分勝手な妄想に、赤面するナナシ。
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