休日の特別上忍
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『ゲンマ、まだぁ?』
キッチンに立つエプロン姿のゲンマ。
『はーいはい、もう出来た』
ダルそうな口調と共に深い溜息。
と、同時にフライパンを持ち火を止める。
そうして準備していた白いお皿に移すと、そこには見事に形の整ったオムライスが1つ姿を現した。
ケチャップで“ナナシ”と書き、完成したそれを眺め、安堵の溜息を溢す。
つい先刻ゲンマ宅にやってきたナナシ。
予定では彼女の都合で夜に来るはずだったのだが、訪れたのは昼過ぎ。
そんな時間にも関わらず爆睡中だったゲンマは訪問の呼び鈴に叩き起こされた。
不機嫌極まりない表情で出迎えたものの、ナナシは彼の不機嫌など気にも止めず、『はい』と、あっけらかんとした態度で料理の材料を手渡した。
そして『オムライス食べたいから作って?』と笑顔で言うと、彼の返事も聞かずさっさと部屋へと侵入。
寝起きの悪いゲンマに追いうちをかける態度に、キレそうになったのだが。
『予定無くなっちゃったから早めに来たんだけど‥‥‥ゴメン、怒った?』
クルリと振り向き不安顔を向けられた。
背が低いから自ずと上目遣いでの問いかけ。
『イヤ‥‥‥別に怒ってねぇ』
面と向かって言われると弱い。
“捨てられた子犬みたいな上目遣いは反則だろ”
と、不機嫌だった顔が一瞬で緩んでしまう。
それに料理を作ってと頼まれるのは、嫌じゃなかった。
『オムライスだったな。すぐ作るから座ってろ』
そんな流れでオムライスを作る事となった。
『ほらよ。出来たぜ』
ナナシの前に置かれた、出来立て熱々のオムライス。
『おいしそう〜!』
目の前に差し出されたオムライスに感嘆の声をあげ、瞳を煌めかせる彼女。
視線を向けた先のその嬉しそうな顔に。
(作り甲斐があるってもんだ)
つられてゲンマも笑みをこぼす。
『あれ?ゲンマの分は?』
『いらねぇ。寝起きにそれは重い』
『そうなんだ。じゃあ、いただきます』
『どうぞ、召し上がれ』
ナナシは、満面の笑みでスプーン片手にザックリすくって口に運ぶ。
『んー、美味しい。お店のオムライスより、ゲンマが作ったオムライスの方が好き。1番好き』
(まったく‥‥‥嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか)
顔をほころばせ向けてくる彼女に、向かいで顎に肘をついていたゲンマも心の中では嬉しさを爆発させていたが、表面上は軽く笑って返していた。
『美味そうに食うんだな』
『だって美味しいもん』
そう言って食を進めるナナシの姿が何だか可愛くて、思わず声を出さず笑ってしまった。
『何で笑うの!あ、よく食べる女だなぁ、って思ってるんでしょ。いいもん、食べてる時は幸せだから』
ちょっと拗ねた態度をとりながらも、特に気にする様子もなくスプーンは口に運ばれていく。
『いやいや、そうじゃ無くてな』
とは言ったものの、見ていて気持ちいい食べっぷりに、思わずゲンマは声をあげて笑ってしまった。
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