微妙で絶妙な距離
夢小説の名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
上忍でも風邪は引くらしい。
『カカシみたいな人でも、風邪でダウンするのね』
ゼィゼィと苦しそうな早い呼吸をし、眠っているカカシを前にナナシは冷めた口調で呟く。
流行の風邪にかかり休養を余儀なくされたカカシ。
待機室で雑談中、彼が一人暮らしというのもあり見舞いに誰か行こうという話になった。
結果、このあと時間が空いているのがナナシしかいないということで、彼女が来たのだが。
『みんな私がカカシと関わりたくないの知ってて行かせるんだから‥‥‥』
ハァと溜め息を漏らす。
『お見舞いついでに様子見て看病してこいって言われたけど‥‥‥』
来たはいいがカカシはこの通り苦しそうに寝ていた。
これは都合が良い、帰ろう‥‥‥と思いながらも。
その姿を見ていると放っておくことが出来なかった。
顔を合わせる度に笑顔を向け、突き放しても人懐っこく接してくるカカシ。
いつもは鬱陶しいはずなのに、彼がこんな辛そうにしているのを見たことが無い。
初めて見る弱い姿に心配で傍を離れられなかった。
『本当に熱あるの?』
そういう自分を認めたくなくて、心境とは裏腹にセリフは荒くなる。
けれど態度はやっぱりカカシを心配してのもの、という矛盾。
『ぅ゙‥‥‥ホントに熱い』
開いた襟元から首筋に触れ思わず素で呟く。
『ぅ、んん‥‥‥』
すると、眠っているカカシがその手に擦り寄るように寝返ってきた。
慌てて離したものの、そのせいで目を覚ましてしまったようだ。
『ン‥‥‥誰?』
ゆっくり開けた目。
虚ろな瞳がナナシを見つめてくる。
『ゴメン、起こした』
いつもならこんなに優しく声を掛けるはずがないのに。気付かないうちに心配顔を浮かべてしまう。
『‥‥‥ナナシ?』
カカシはかすれた低い声で力無く笑った。
『目が覚めてナナシがいるなんてねぇ‥‥‥嬉しいなぁ』
そっと伸ばした手を、ポンとナナシ頭にのせ撫でると、髪を伝って頬をさする。
『熱でおかしくなってるんじゃないの?』
『ハハ‥‥‥そうかもね』
熱のせいで覇気がなく喋る事すら力ないのに。
キツいセリフを言ったにも関わらず、彼女には見慣れた笑みを向けた。
1/3ページ