触覚
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頭の中のアナタは
何もくれない
その腕に包まれて
その胸に抱かれて鼓動を聞きたいのに
実体のないアナタがくれるものは
不安だけ
それでも思い描いてしまうのは
寂しさに耐えられないから
※※※※※※※※
任務が終わり、待機室に立ち寄ったナナシ。
『アレ?』
そこには先客が1人。
冷めた表情と口にくわえたが千本が印象的な不知火ゲンマだ。
何を隠そうナナシの恋人。
同じ特別上忍同士。
度々ある長期任務や、遂行しても次から次へと舞い込んでくる任務で多忙なため中々会えなかった2人。
だからこんな偶然嬉しい。
『ゲーンー‥‥‥』
2人っきりだから本当は嬉しくて飛び付きたかったのだが、そう思ったのも束の間。
ふと気付く。
椅子に座るゲンマは、足を組んで腕を組んで少し俯き加減で目を閉じて。
『寝てるじゃない、お兄さん』
静かに寝息をたてていた。
少しつまらなそうに思ったナナシだが、ゲンマの隣りに腰掛けてしばし寝顔を観察。
『千本くわえたまま‥‥‥』
こんな時くらい取ればいいのに、と続けて呟くとそれを取ってテーブルに置く。
起きるか?と、警戒したが大丈夫そうだ。
『うーん。無かったら、何か違和感あるよねぇ』
物足りないゲンマの寝顔を見て、ムムゥと眉を寄せ見つめてしまっている自分に気付きハッと顔を戻した。
『私まで仏頂面になってた』
ゲンマの仏頂面を見つめクスッと笑ってしまう。
しかしジーッと見つめてその笑みが消えた。
『‥‥‥任務ばかりで疲れてるよね』
待機室でうたた寝をしてしまう位だ。
それに顔色もあまりよくない。少し痩せたようにすら見えて、彼のハード任務を思うと胸が苦しくなった。
ナナシは無意識にゲンマの頬に触れた。
『無理しちゃダメだからね?』
静かに呟いて寝顔を見つめ目を細める。
『離れててもいつも考えてるんだよ?』
何をしているのだろう。
怪我はしていないか。
無事に帰ってきてくれるか。
忍をやっている以上、命の危険は当たり前。
心配せずにはいられない。
『起きてる時に言ったら“心配されるほど弱くねぇ”って、ますます不機嫌な顔して怒られそう』
ナナシは少し苦笑して寝顔を見つめた。
『ホント、不機嫌な顔‥‥‥』
しかし。
それは見慣れたいつもの、安心をくれる大好きな顔だった。
頬に触れていた手が確認するようにパーツを軽くなぞっていく。
『って、特上さん起きないね。鈍すぎじゃないですか?』
起きる気配のないゲンマに思わずツッコミなんか入れながら、指はツーッと唇をかたどっていった。
時々ゲンマがするキスの前の仕草。
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