3時間cooking
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『ねぇ、ゲンマ。コレ食べたい』
『晩飯に苺ショートって‥‥‥』
『コレはデザート!晩ゴハンはこっち!!』
呆れた彼の言葉に対し、ナナシは怒ったように返すとドサドサと本を置いた。
『えぇ‥‥‥と。栗ゴハンに、クラムチャウダー、生‥‥はるまき。‥‥‥は?』
しばしの沈黙。思わず考え込む。
“な、何だこりゃ。どう考えたらこんな組み合わせになるんだ?”と、言葉には出さなかったが、ゲンマはハァと溜め息を洩らした。
『‥‥‥どあほぅ』
『な!?ゲンマが何でも好きなの作ってくれるって言うから好きなものにしたんじゃない!』
『食い合わせってもんがあるだろ。栗ご飯にクラムチャウダーが合うか?生春巻きがあうのか?!』
『そんなの別々に食べたらイイでしょー!!第一、美味しいもの×美味しいものは、美味しいに決まってるんだから!!』
『ぐっ!?』
なに理論かはさっぱりわからないが、妙に説得力のある最後のセリフに、見事に畳み込まれてしまい言葉に詰まるゲンマ。
もう口で言っても勝てないと悟り諦めた。
『わかったよ‥‥‥』
色々意見したかったが、何だかんだ言って結局折れたのは、やっぱり彼女が好きだったからで。
“まったく、俺も甘いよなぁ”と、エプロンをつけながらチョット赤くなる29歳だった。
『じゃ、私も手伝う』
そんな中、隣にやって来て背を向けるナナシ。
ゲンマは彼女のエプロンの紐を結ぶ。
仕草がいちいち可愛くて仕方ない。
『ケーキから作るか』
『うん!』
甘い物好きのナナシは自然と笑顔になる。
『ね、私は何したらイイの?』
小麦粉や砂糖を計量しているゲンマにナナシが尋ねる。
ここにお菓子の本など存在しない。
言うなればゲンマ自身がそうである。
彼の料理の腕前はプロ級。
レシピもその辺の本に載っているものなら完璧だった。
だからゲンマと料理を作れば自ずと美味しい料理が出来るというもの。
『そこにある卵を3個割って、電動の泡立て器で泡立ててくれるか?砂糖はここにあるから、少しずつ入れて泡立ててくれ』
『卵……砂糖‥‥‥うん、わかった』
張り切っていたナナシの表情が、不安が混ざったような笑顔になっていった事など、気付かないゲンマ。
“電動なら、あっという間だし簡単だよな。うん、大丈夫”などと頭の片隅で思いながら作業を進めていた。
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