THANK YOU FOR YOUR LOVE♡

僕が初めて選んだ君へのプレゼント(南ver.)

期末テストを終え、教室には安堵の雰囲気が漂う。友だち同士でカラオケに行く人もいれば、恋人とデートに行く人もいる。でも私は何となく一人でいたくて、駅とは反対の方向に歩いていた。

高校に通って三年にもなるというのに、こっちの方に来たことが無かった。そもそも学校の敷地が広すぎて歩く気になれないからだ。

待てよ…歩けば歩くほど駅からは遠ざかるのでは…?

そう思い脚を止めると、コンビニの前だった。

こんな所にコンビニなんてあったんだ…。よし、記念に何か買って帰ろう。

テスト終わりで私もテンションが高かったのか、よく分からない発想でコンビニに入った。すると、すぐに棚の上から頭が見えている人物に目がいく。

同じクラスの南だった。

途端に目が合い、近付いてきた南は部活の格好をしていた。


「珍しいな、ここで会うとは」

『南こそ』

「俺は常連や。体育館のすぐ裏やしな」

『え、そうなんや』


体育館のすぐ裏だということも知らなかった私は、南にここに来た経緯を話した。笑われるかとも思ったが、怪しまれたくなくて正直に話してみる。すると想像とは違う反応が返ってきた。


「…ほな俺が買うたるわ」


そう言って南は商品を手に取ってレジに向かい、すぐに会計を済ませて私の所に戻ってきた。そして、目の前には棒がついたキャンディーが二つ差し出された。


「どっちがええ?」

『…こっち』

「ふぅん…思ってたんとちゃうかったな」


南はそんな風に言っていたけれど、正直何味があったのかもよく分からずに手に取っていた。現実離れしたこの状況に頭がついてきていなかったから。

口に含んだそのキャンディーはコーラ味だった。


『南のは何味なん?』

「マスカット。期間限定やて」

『ホンマや。めっちゃ意外っ』

「せやろ」


初めて見る、南のくすぐったいような笑顔が私のハートを突き抜けて行った。


忘れられそうにない、プレゼントの味。



おわり


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