THANK YOU FOR YOUR LOVE♡

僕が初めて選んだ君へのプレゼント(清田ver.)

私は今、学校の廊下を限りなく走るのに近い速さで歩いている。向かう先は購買のパンコーナーだ。

長く苦しいダイエット生活を終え、見事目標体重に到達した。そして頑張ったご褒美にと真っ先に食べると決めていたのが購買に売っている焼きそばパンだった。何か特別な感じもしないのに何故か物凄く美味しくて人気のパンで、つまり競争率が高い。それなのに今日に限って授業が長引き、今に至る。

パンコーナーが見えてきた。

焼きそばパンがある…!

奇跡だ…!神様、ありがとう…!

そう思いながらあと数歩の所で手を伸ばそうとした時、焼きそばパンが無くなった。いや、正確には誰かに買われてしまったのだ。その誰かとは、騒がしいことで有名なバスケ部の清田だった。私は思わずジッと見てしまう。


「お、コレか?一足遅かったな」


いつもなら何かリアクションが出来たかもしれない。でも今日だけは笑うことも怒ることも出来なかった。そして私はそのまま結果的に無視する形でその場を去ってしまったのだった。


翌日

登校すると、私のクラスのドアの前にジャージ姿の清田が立っていた。そして私を見つけると一目散に駆け寄り、目の前に大きなビニール袋を差し出した。


『え…な、何?どうしたの?』

「昨日の詫び」


よく見ると、袋には美味しいと評判のパン屋さんの店名が書かれていた。受け取って中身を確認すると大量の焼きそばパンが入っていた。


「店にあったやつ全部買ってきた。朝練終わってソッコー走って行ってきたんだぜ?」

『だからジャージ着てるんだね。え、でも何でこんなこと…』

「すげー悲しそうだったからよ。悪いことしちまったなって思って…」


清田は少し照れながらゴニョゴニョと語尾を濁していた。その姿が何だか可愛らしく思えて思わず吹き出してしまう。


「なっ…!何で笑ってんだよ!」

『んーん、何でもないよ。ありがとうね。でもこんなに食べきれないから、良かったらお昼一緒にどう?』

「…仕方ねぇなぁ」


言葉とは裏腹に清田は顔を真っ赤にしながらそう言った。そしてまた私は思わず笑ってしまうのだった。

袋の中には焼きそばパンと清田の優しさがたくさん詰まっている気がする。

全部ちゃんと受け取るからね。


ありがとう。



おわり

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