始まる
NAME CHANGE
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それからすぐにホームセンターに着き、買い物リストの物を順番に買っていった。さっきの何となく物静かな雰囲気とは打って変わり、名字は楽しそうに買い物をしていた。笑うとこんなに可愛いんだな、と思った。
買い物を終え、荷物を持って車まで行くと、俺たちは嫌な予感に襲われた。
『先生、コレ本当に全部車に乗りますか?』
「ん?あぁ、シートを倒せば大丈夫だろう」
「シートを倒すって…俺たちが乗れないんじゃ…?」
「……まぁ、何とかなるだろう」
『先生が結婚できない理由、分かった気がする…』
結局、助手席も使って何とか詰め込むことができた。俺と名字は後部席に無理矢理座らされた。荷物があり過ぎて、先生の姿が全く見えない。
「よし、お詫びに家まで乗せてってやるぞ。遠いのは名字の方だよな?どっち方面だ?」
名字は先生に場所を伝えた。そんな所から通って来ているのか…やっぱり俺は名字のことを何も知らないんだと改めて思った。
少し動くと肩が触れそうになるくらい近くに名字がいる。何だか急に意識し始めてしまった。心なしか良いにおいさえする。名字はどう思ってるんだろう?俺なんかがこんなに近くにいて嫌じゃないだろうか…。名字の方を見たいけれど、きっと顔が物凄く近くになるだろう。どうすれば良いのか分からず、俺はただ黙って前を見るしかなかった。
暫くすると疲れてきたのか、誰も話さなくなった。俺はもうすっかり暗い外の景色を見ることしかできない。もう少しで名字の家の近くに着く頃か…そう思っていると突然、左肩がズンと重くなった。
見なくても何か分かった。
名字が俺の肩にもたれ掛かっている…。
チラリと目線をやると、気持ちよさそうにスースーと寝息を立てていた。さっきから感じていた良いにおいがもっと強くなった。きっとシャンプーのにおいなのだろう。
暑いのか名字は汗ばんでいた。時折当たる外灯が肌を光らせる。何だか物凄くセクシーな感じがして、思わず喉を鳴らして唾を飲み込んだ。
(さて……どうしようかな…)
今日は一つ、君のことを知ることができた。
寝顔が凄く、可愛いということ。
もうすぐ起こさなければならないのが、名残惜しい。
君が僕の気持ちを動かしたんだから、知らん顔なんてさせない。
まずは今度、パン屋さんに誘うところから始めてみようかな。
おわり
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