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NAME CHANGE
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「はい、それじゃあ買い出し担当は木暮と名字に決定〜!放課後、駐車場集合な」
文化祭でうちのクラスは模擬店をやることになった。俺は担任の車で皿やフォーク等、ホームセンターでの買い出しに行くことになってしまった。
『木暮くん、クジ運悪いね〜』
「ハハハ…それはお互い様だよ」
一緒に買い出しに行くことになった名字は、明るくていつもニコニコしているイメージだ。普通に話すくらいで、俺はあまり彼女のことを知らない。こんなことでも無い限り、彼女と学校外に行くことなんて早々無いだろう。
放課後
「それじゃ、出発すんぞ〜!テキトーに乗ってくれ」
担任の車は7人乗りのワゴンタイプだった。こんなに広いのに名字の隣りに座るのもどうかと思い、俺は一つ後列の席に座った。
普段電車で通学しているせいか、ホームセンターまでの景色が何だか新鮮だった。ぼんやりと見ていると、名字が俺の方を振り返って言った。
『木暮くん!あそこのパン屋さんの焼きそばパン、めちゃくちゃ美味しいんだよ!』
「え…どこ?」
『ほら、あの赤い看板の…!』
「あぁ、知ってるよ。あそこの美味いよな。よく部活の後輩たちに買わされたよ」
『へ〜!可愛いじゃん。後輩たち』
「そうだな。何だかんだ言っても可愛い奴らだよ」
最近は受験勉強ばかりで、あまり部活に顔を出していない。アイツらの話をしたら、何だか急にボールの感触を手に感じた気がした。たまには行ってみようかな…。
『木暮くん?』
「えっ…あぁ…ゴメン。ちょっと部活のこと思い出しちゃって」
物思いにふけ、俺は無言になっていたようだ。こういう独りよがりな性格、良くないよなぁ…なんて思いながら名字を見ると、優しく微笑んでいた。
『今度さ、木暮くんの部活の話、聞かせてよ。インターハイまで行ったんでしょ?』
「いいよ。語り出したら止まらなくなるかも」
『えー、そんなにドラマがあったの?』
「…あったよ。全部がドラマだったって言っても良いくらい」
車の窓から見える景色が夕空に変わってきた。それが余計に気持ちを切なくさせる。名字は何か言いたげにしていたが、俺と同じように外の景色をただ黙って見ていた。
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