花、咲く
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翌日
南は子どもたちを何とか幼稚園に送り出し、店を臨時休業にして病院へと向かった。
病室を開けるとベッドに名前の姿は無い。トイレか?と思い、待っているとガラリとドアが開いた。振り返ると名前がいて、その腕には赤ちゃんが抱かれている。南は状況が把握できず、混乱していた。
『烈、来てくれたんや〜』
「え…う、産まれたん…?」
『あぁ、うん。あの後すぐ陣痛きて、あっという間に。ほんでもあの時間に言うてもバタバタするし、朝言おう思て』
ニッと歯を出して笑う名前は顔色も良く、南はホッとした。
『ほら、お父ちゃんやで〜』
初めて見る娘の顔は、南にそっくりだった。
「…間違いなく、俺の子やな」
『何やねん、ソレ。身に覚えないとは言わせへんで』
南は昨晩と同じように、名前の頭にポンと手を置いた。
「お疲れさん」
『烈、ありがとうな。こんなに大切なモン3人も…』
「アホ。礼を言うんは俺の方や」
南はそのまま名前の頭を自らの肩に引き寄せた。髪から汗のにおいがした。昨晩、手を握ってやれなかったことが少し悔やまれる。
「2人で守っていこうな」
『…うん』
また一つ、守るべきものが増えた。苦労はあるけれど、その分、喜びも増える。
『花火みたいに、家族に笑顔を咲かせてな』
いつの間にかスヤスヤと眠る娘に、2人の目は細くなった。
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