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出産とほぼ同時に離婚し、実家に戻ってきたことは近所の井戸端会議のネタにはうってつけだった。小さい頃は優しく接してくれたおばちゃんたちも、少しくたびれた名前を見ると〝旦那の浮気くらい〟だとか〝ひとり親だと子どもが可哀想〟だとかそういった類の話をしていることを名前は知った。
まぁそのくらいなら想像の範囲内、と思っていたが〝烈くんらに子育て手伝わせて、図々しい〟とか〝結局男に媚びないと生きていけないタチ〟と言っているのを聞いた時はさすがにショックだったという。
だから今も自分と並んで歩くのを好奇の目で見ていたのか、と南は悟った。
「お前、そんなん言われ続けて平気なんか?」
『…平気じゃなきゃアカンねん』
「は?」
『だって私は、一番信用してた人に裏切られたことがあんねんで?それより酷いことなんて無いし、乗り越えられたやん。だから、耐えられるはず…っちゅーか、耐えなアカンねん』
この場合、〝一番信用してた人〟は元旦那が当たるのだろう。妊娠中の浮気、しかも相手と身体を重ねている場面に遭遇してしまった。ただでさえ妊娠中は心も身体もデリケートなのに…。
幼い頃からいつも4人は一緒だった。高校生になったくらいからそれぞれのコミュニティが増え、段々と会う頻度は減っていった。それでも会っては近況を報告し合ったり、悩みを聞き合ったりしていた。そして、名前が就職してすぐに彼氏ができたと騒ぎ、あっという間にプロポーズされ、花嫁姿を拝むことになった。臨月のオードリーヘップバーンのようなあの姿を見てから半年も過ぎているのだから、この数年で名前を取り巻く環境は変化が激しい。
そんな中でも、ベビーカーの中でスヤスヤと眠る小さな命を守っていかなければならない。決して3人に媚びている訳ではないと皆分かっている。
昔からそうだった。名前は基本的に陽気でおちゃらけているが、深刻な悩みは抱え切れなくなってからようやく話す。そしていつも岸本が怒り、土屋が庇い、南が慰めていた。
今回のことも、名前は自分が強く在れば大丈夫だと思っているのだろう。南はため息をつき、口を開く。
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