君が好きな僕の苦手な物を、嫌いになれなくなった。
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ゼミの飲み会は、名字さんが参加するなら自分も行こうと思っている。名字さんとゆっくり話せるチャンスだし、飲み会での名字さんはどんな風なのか興味があった。
何となくいる気がして喫煙所の横を通ると、思った通り名字さんがいた。
「名字さん、ゼミの飲み会行く?」
『…神くんは?』
もしかして、名字さんも俺がどうするのか気にしているのだろうか。よし、それなら…
「名字さんが行くなら、行こうかな」
名字さんは一瞬目を見開き、頬を赤く染め、あの時と同じように俯いた。
『…じゃあ、行く』
そう言って、恥ずかしそうにコーヒーが入った紙コップにむぅっと口をつけた。何だよ、そんな可愛い仕草もするんだ…声には出さなかったけれど、俺の心はどんどん名字さんに惹かれていった。
飲み会は、所謂〝学生のノリ〟というのが凄くて、普段おとなしそうな人も大声で喋ったり、笑ったりしている。酒って凄いな、と改めて思う。そんな中、名字さんと俺は出入口に近い、端の席に並んで座っていた。
『神くん、結構飲むんだね』
「まぁ、それなりかな。名字さんは、あんまり飲まないの?」
『こういう大勢で騒ぐ飲み会、苦手なんだよね』
どうりでさっきからチビチビ飲んでる訳だ…。俺はテーブルの下にある名字さんの手に、自分の手を重ねた。触れた瞬間、名字さんの肩がビクリと震えた。
「抜け出さない?」
耳元に顔を近付け小声でそう言えば、名字さんはコクリと頷いた。
『私の部屋近いから、良かったら…』
本当は別に店を変えるだけで良かった。静かな所でコーヒーでも飲みながら、話すだけで良かった。
俺は確信した。
名字さんは、俺のことが好きなんだと。
そして、彼女も俺が好きだということに気付いていると。
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