繰り返す8月の夕空
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(最近ここ行ったばっかやから、何か鮮明に思い出せるなぁ…)
名前は静かにアルバムを閉じた。もっと見ていたいが、今日はこの美しい思い出に浸っていたいと思ったからだ。
そして気がつくと、次男を幼稚園に迎えに行く時間になっていた。結局部屋の片付けはほとんど出来ず、バタバタと出掛ける準備をした。店の方に顔を出し、声を掛けてから行こうと廊下を進む。
通用口を開けると、南がウトウトと船を漕ぐ長女を抱え、肩に頭を乗せて背中をトントンしている後ろ姿が見えた。
後々聞いた部活での出来事は、高校生が背負うにはあまりに重い物だった。それからは彼女として、妻として、子どもたちの親として、あの背中と一緒に色んな物を背負ってきた。
あの頃より少し線が細くなった気がするが、今でもやっぱり美しいと思った。向こうにあの日の夕空が見えるようだった。
名前はそっと近付き、長女の顔を覗いた。寝顔まで南にそっくりで、この子が自分のお腹の中に10ヶ月いたことが何だか信じられなかった。
(大きなったなぁ…)
目を細め長女を見ていると、南が気付いたようで顔だけ振り返り、小声で話した。
「眠なってグズって、抱っこしたら寝よったわ。重なったなぁ」
名前はその言葉にクスクスと笑う。南は不思議そうにそれを見ていた。
「何、笑ろてんねん」
『いや、同じこと考えとってん。…なぁ烈、そのまま背中の写真撮ってもええ?』
「は?背中?」
名前は南の背中に抱きついた。
温もりもあの頃と変わっていない。
この背中が色んな物を背負ったのを見てきた。
そしてそれは、これからも続いてゆく。
南の腕の中で眠る小さな背中もまたこれから先、色んな物を背負っていくのだろう。
いつか巣立つその日まで、二人で大切に守っていきたいと改めて思った。
『好きやねん。烈の背中…』
この言葉で南もまた、インターハイから帰ってきたあの日の夕空を思い出していた。
あの日も今日のように、酷く暑い8月の日だったことも。
おわり
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