だけど愛はいつだって答えがある訳じゃない
NAME CHANGE
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
名前は何が起こっているのか分からなかった。想いを寄せる深津が自らの手を掴み、歩いている。
もしかしたら、これは夢、もしくは拗れた妄想かもしれない…。
胸の鼓動が速い。
血液の流れが速すぎて、大量出血で死んでしまうかもしれない。
名前は声を出すこともできず、為すがままで、気付けば保健室に到着していた。中に入ると、保健の先生は不在だった。深津は慣れたようにコットンに消毒液を吹き掛け、名前の指に当てた。少し染みて、ビクリと肩が上がる。
絆創膏を貼って、処置は終わった。マラソン大会の日に自分が沢北にした処置と全く同じだった。
『あの……ありがとうございました』
「君みたいにキレイな動きでは無かったけど…ピョン」
『お、覚えてたんですか?』
そう言うと、深津はあの日と同じように目を細め、名前の目をジッと見つめた。
「忘れられないくらい、キレイだったピョン。動きもそうだけど、沢北を見る君自身も。…沢北のこと、好きなのかピョン?」
覚えて貰えていたことと、予想外の言葉に名前の心臓はさらに速さを増す。
『えっ…いや…沢北くんは…ただのクラスメイトですけど…』
「そうか…あの日、沢北を見る君が凄くキレイで…忘れられないんだピョン」
これは本当に現実なのだろうか…名前は心がついて行けず、クラクラしてきた。すると深津が絆創膏を貼った方の手を取り、指を絡めた。
「もう沢北に、あの顔は絶対見せちゃダメだピョン。俺だけにするピョン。分かったピョン?」
少しゾッとするような冷たい目で、深津は名前を見つめる。この冷たさにさえも、好きという気持ちが溢れていってしまいそうになる。
『…私は、深津先輩のことずっと見てましたから』
勇気を振り絞ってそう言えば、深津は再び目を細める。
「それで良いピョン」
友だちが何と言おうと構わない。
世界で自分だけは、深津を好きでいたい。
自分の髪を撫でる深津の指から全てを奪われても構わない。
そう思いながら、絆創膏が貼られた指を強く握りしめた。
おわり
あとがき→