だけど愛はいつだって答えがある訳じゃない
NAME CHANGE
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渡り廊下を互いに進み、すれ違った。その瞬間、心臓が止まりそうになる。少し俯き、横目で見ながら後ろ姿を見送る。
「もー、何て顔してんのよ」
『えっ…?』
「恋する乙女の顔になってるよ」
『や、やめてよ!恥ずかしいっ』
友だちにからかわれ、名前は顔が熱くなるのが分かった。そこによく聞くあの声が耳に入ってくる。
「おーい、名字!プリント落としたぞー」
沢北が背後から呼んでいる。ドキドキしながら振り返るとやっぱり深津に挨拶をしていて、深津も名前の方を見ていた。
「名前!ピョン先輩と話すチャンスじゃんっ」
友だちがドンッと背中を押したため、名前は沢北と深津の方に向かうしかなかった。おずおずと近付き、立ち止まる。深津をこんなに近くで見たのはマラソン大会以来だった。
「はい、コレ」
『あ、ありがとう』
沢北からプリントを受け取ろうとしたその瞬間、紙がスッと名前の指先を流れた。
『痛っ…』
「あっ!悪い!切れたか?」
『うん…でも平気だよ、このくらい』
名前はハンカチを取り出し、切れた部分を押さえようとした。しかしそれは、左側からのびてきた手によって遮られた。
「ハンカチに血が付くピョン。保健室、行くピョン」
深津はそのまま名前の手を取り、保健室に向かって歩き出した。
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